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民生セットメーカーのリストラの話題と、成長狙うグローバル化の話題が混在

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パナソニック、ソニー、シャープといった民生エレクトロニクスメーカーの赤字立て直しが求められる中、先週はソニーが1万人を削減するという計画を発表した。セットメーカーの再建策を見ても、再生するとは思えない計画が相次ぐ。従来のビジネスモデルや経営手法から一歩も出ていないからだ。

ソニーは、2015年度に連結売上高8兆5000億円、営業利益率5%を目標とする中期計画を発表、同時に13年度終了までに1万人を削減する計画についても発表した。2005年にCEOに就任したハワード・ストリンガー氏は営業利益率5%を目標に上げながら一度も達成できなかった。4月1日に新CEOになった平井一夫氏は、これからのソニーの中核事業として、デジタルカメラや放送機器のデジタルイメージングと、スマートフォンやパソコンのモバイル、そして家庭用ゲーム機のゲーム部門を挙げ、これらに研究開発投資の70%を投じていくと述べたと、13日の日本経済新聞は報じた。

しかし、この3つの中核領域でさえ、疑問が残る。デジタルイメージングは放送機器での独自の市場をソニーが確保しているため良しとしても、モバイルとゲームは今後、互いに競争していく領域となる。このため2重の投資となり、どちらかが負けることは明白だ。現に、13日の日経産業新聞には、NTTドコモが人気アニメ「エヴァンゲリヲン」をイメージしたスマホを6月に発売、そのゲームソフトもスマホに最初から搭載する、という記事が掲載された。つまり、ゲームはもはや携帯電話やスマホで十分楽しめる時代に入りつつあるのである。イマジネーションテクノロジーズの最新グラフィックスIPは、スマホでも最新鋭のゲーム機に遜色のない画質を提供する。nVidiaの最新モバイルプロセッサTegra-3チップに搭載されたグラフィックス回路は、波しぶきの変化をリアルタイムで表現できるほど高速・高画質の機能を提供している。今後、ゲーム専用機市場は縮小していきそうな気配にある。

ソニーは、目標を達成できなかったCEOに数億円の報酬を毎年与えていたといわれている。海外企業の多くは、目標を達成して初めて経営陣はボーナスをもらえる仕組みを導入している。目標を達成できるかどうかは経営者の覚悟(別の言葉でいえば責任感)による。前にも述べたが、日産自動車のカルロス・ゴーン氏は社長に就任した年に「日産サバイバルプラン」を掲げ、これを達成できなければ社長を辞めると宣言した。ソニーは経営者に寛容な会社だった。今度はどうか。13日の日経を読む限り、目標を達成できない場合の覚悟について述べられていない。すなわち、体質は変わっていないと見てよいだろう。

このことはパナソニックやシャープも同様だ。大きな赤字を出した社長が責任をとることなく会長に収まるという経営陣の人事は、見事に生ぬるい日本の企業体質を表している。二度と赤字を出さない覚悟を示し、それを実行することを本気で進めるのなら、過去の人は妨げになる。最初に従来のビジネスモデルや手法からは一歩も出ていないと述べたのはまさにここにある。

一方、明るい話題もある。日立製作所がレアアースを用いずにモータ効率94%の産業用11kWの永久磁石同期モータを開発した。中国に資源が集中するレアアースに代わり、ステーターの鉄心にアモルファス鉄金属を用いた。

富士電機は中国広東省深せんにパワー半導体の後工程とテストラインを新設することを決めた。中国ではエアコンなどやモータ類がインバータ化されていない。省エネの切り札となるインバータ方式のエアコンはほぼ日本だけだが、今後省エネや電力削減が求められることは中国でも同じ。同社は中国におけるパワー半導体市場を3000億円と見ており、2015年度まで8%成長を見積もっている。中国に後工程を持っていき、テストを通じて現地仕様を知り、開発から販売まで一貫した体制を築くことを狙う。いわば地産地消を実現すると共に、為替変動にも対応するとしている。

13日の日刊工業新聞は、シャープがイタリアの電力会社のエネル社と合弁で作ったIPP合弁会社がイタリアの5カ所で太陽光発電所の稼働を始めた、と報じた。これはシャープとエネル、STマイクロエレクトロニクスの3社で設立した薄膜太陽電池会社のモジュールを使う。これはシャープのグローバル化を進める上で期待できるニュースだろう。

(2012/04/16)

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