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メガソーラーのビジネスチャンスに国内市場へ殺到する海外パネルメーカー

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先週は、メガソーラー(1MWを超すような大規模太陽光発電所)の話が比較的多くあった。大阪瓦斯が自社の工場跡地を転用して3〜5カ所に2MWクラスの発電所を建設すると25日の日本経済新聞が報じた。メガソーラー建設が活発なのは、再生可能エネルギーの全量買取制度が昨年法制化され、今年の7月から始まるためである。

欧州ではリーマンショックの後からフィードインタリフ制度が廃止されたり補助金が減額されたりするなど、ソーラー事業が踊り場に来ている中、日本が補助金復活を制度化したため、日本企業だけではなく海外勢も日本市場を狙い参入してきている。中国のサンテックパワーを始め、カナディアンソーラー、米国のサンエジソンといった大手太陽光企業が続々国内市場へ参入してきている。

日経によるとサンエジソンは国内の住宅太陽光発電設備の施工で大手のウエストホールディングスと資本業務提携する。ウエストが3月に設立する新会社にサンエジソンが10%程度の資本を出資する。サンエジソンはこれまで世界390カ所に太陽光発電所を建設、運営してきた実績がある。ウエストとサンエジソンは2016年までに1000MW(100万kW)分の発電所を建設する。

世界大手のカナディアンソーラーは、福島県や宮城県での工場建設に向け、自治体と話し合いに入った、と23日の日経新聞が報じた。生産能力150MWの太陽光パネル工場を作る計画だ。東日本大震災の被災地に設けられる特区では、規制緩和などで事業を支援する。昭和シェルの子会社も宮城県での太陽電池工場建設を計画している。

直流発電の太陽光を交流の送電網で使えるようにするために必要なパワーコンディショナに参入するメーカーもある。ドイツのSMA社が8月をめどに国内に装置を発売する計画だ。国内では圧倒的に強い三菱電機を追いかけ、世界大手のSMAが発売するのは、550kWと880kWの2種類で、いずれもメガソーラーのパワコンであり、メガソーラー発電所に向けて売りだす。

韓国のハンソルグループ内のハンソルテクニクス社が日本市場に4月に参入し、住宅向けに2012年には総計12MW、15年には50MWの販売を目指すとしている。国内のリサイクル装置販売の日本グリーンパックスと提携し、1kWあたり10万円、パワコンと工事費込みで40万円という低価格のシステムになる。5kWのシステムでも100万円を切る価格になる計算だ。

日本市場を虎視眈々と狙っている海外勢に対して日本勢の動きが悪い。シャープは奈良県葛原市にある160MWの薄膜太陽電池の工場を停止し、550MWの結晶系の工場は減産すると、21日の日刊工業新聞は伝えている。海外向けの太陽電池は中国、台湾、韓国の製品を利用する。円高による競争力悪化を国内生産縮小の理由に挙げている。

海外勢が組む日本企業には、大手のシャープや三洋、三菱といった所はいない。太陽光発電では新規の企業が多く、ここに低価格で国内に参入する仕掛けがあるように思える。日本のメーカーは半導体もそうだが、自社ブランドにこだわり、国内の低コストに作れる企業とは手を組まない所が多い。競争力に関して、円高のせいにしたり、税制のせいにしたり、ここに低コスト化への意識が海外勢とは違うように見える。

話は変わって、アップルが3月から中国で2社目となるチャイナモバイルに向けたiPhoneを供給する、と22日の日経産業新聞が伝えた。これまではW-CDMA向けのiPhone4Sをチャイナユニコム向けに供給してきたが、CDMA2000方式を使うチャイナモバイルにも提供する。

一方、中国では登録商標の問題も浮上している。早い者勝ちの商標登録では、iPhoneという呼び名を懐中電灯企業が保有を主張しているという。中国では39以上の企業がiPhoneやiPadの商標を主張しているとして、新たなチャイナリスクになっている。日本でもリンゴやうどんの呼び名を使われたとして中国で商標を訴えられている。

(2012/02/27)

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