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日本企業の健闘目立つ先週、久しぶりに投資ニュースが駆け巡る

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先週は、大きなニュースはなかったものの、日本の半導体メーカーは積極的に攻勢をかけ始めている。ソニーがイメジャーへの1000億円の投資、富士電機がパワー半導体で2015年度に売り上げを倍増、ルネサスがプログラマブルなアナログ回路を集積したマイコンを製品化、といった動きがあった。太陽電池は国内出荷量が3割増になっている。

ソニーの半導体製造子会社であるソニーセミコンダクタの長崎工場に総額1000億円を投資、最新鋭生産ラインを導入し、このほど稼働させた、と11月15日の日本経済新聞が報じた。これによるとソニーは2010年12月時点で月産25,000枚(300mmウェーハ換算)のイメジャー生産能力を2012年3月末までに5万枚に倍増するとしている。さらに今後2~3年で月産75,000枚の体制にもっていきたいとする。イメジャーはスマートフォンには表裏2個搭載され、クルマには数個搭載される見込みがはっきりしている。米国では2014年までに全新車にバックモニター搭載が義務付けされることが決まっており(参考資料1)、イメジャーの将来の市場拡大が見えている。

富士電機はパワー半導体の売り上げを2015年度までに10年度比で2倍の1500億円に上げるという目標を明らかにした。計画ではIGBTを拡販し13年にその市場シェアを5ポイントアップの20%に上げるとしている。山梨県の工場の生産ラインを6インチから8インチへと大口径化し対応する計画。SiCに関しては11年度中に産業技術総合研究所のラインで少量生産を始めるとしている。

さらにルネサスエレクトロニクスは、Smart Analog MCUと呼ぶ、回路構成や特性を変更できるアナログ機能を集積したマイコン、RL78/G1Eグループを製品化、2012年からサンプル出荷すると発表した。これはセンサからの信号を増幅し、分解能12ビットでA-D変換してマイコンにつなぐ。センサとの調整(トリミング)の自動化やセンサの経時変化に対応できる。センサ信号は通常、高インピーダンスなのでノイズが乗りやすく、アンプは信号を増幅すると同時にインピーダンスを下げる役割がある。このためアンプとA-Dコンバータはセンサシステムには必ずと言っていいほど使われる。

一つ気になるニュースとして、太陽電池発電協会が発表した、国内出荷量の数字である。これは17日の日経に載っている。同協会によると、2011年度上半期(4~9月期)における太陽電池の国内出荷量は前年同期比29.6%増の約60万6000kWに達した。4月に補助金のレベルが引き下げられたため4~6月は成長ペースが鈍化したが、震災などの影響で電力供給不安の高まりで夏以降、購入する家庭が増えたためだとしている。

一方で輸入品の比率が前年同期比3ポイント上昇し17.5%になった。中国や欧州の太陽電池各社が日本への出荷を増やしてきたため。特に円高の影響で国内メーカーより2~3割安い製品もあるという。中国には、サンテックやJAソーラー、Yingli、Gintechなどトップ10社に入るメーカーが多くある。シャープや京セラは、Photon International誌によると各8位と10位だから、中国のソーラーパネルメーカーが世界市場に食い込んでいることになる。

2012年7月には国内で全量買取制度が始まることが最近決まった。このため中国の太陽光パネルメーカーは日本市場に積極的に乗り込んでくる。住宅用ではなくむしろ産業用として発電所としてのメガソーラーの建設や産業用施設の建設も活発になり国内需要が拡大する。日本のソーラーメーカーはこのビッグ市場をどのように考えているのだろうか。

最後にスマートフォンの市場がさらに活発になることも述べておこう。17日の日経はスマホにマイクロソフトのWindows PhoneがこれまでのAndroidとiOSに加わり、OSのシェア争いが活発になってくる様子を伝えている。iPhoneをこれまで独占的に販売してきたソフトバンクモバイルは900MHz帯の割り当て獲得を強く希望している。iPhoneが予想以上に売れすぎ、現在の2GHzの周波数帯が満杯になり、「つながりにくい」という不評を買うようになってきている。さらにKDDIもiPhoneを販売するようになったため、ソフトバンクとしては多くのユーザーの通信を確保できるようにするため900MHzの帯域はのどから手が出るほど欲しい。総務省の割当先の決定は、ソフトバンクの経営を左右すると言っても過言ではない。


参考資料
1.米アナログ半導体メーカーがカーエレ市場にトップギアチェンジ(Intersil編)

(2011/11/21)

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