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450mmウェーハの先延ばしニュースは本当か?サムスンの白血病問題も注目

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今朝の日刊工業新聞は、半導体ウェーハの450mmの大口径化が先延ばしになりそうだというニュースを伝えた。7月14日には、韓国のサムスン電子の国内工場の従業員が白血病に相次いでかかったとされる問題で、第三者機関の調査の結果、勤務環境と白血病とは関係しないと同社が発表した。7月15日に日本経済新聞が報じた。

日刊工業の報道は、サムスンが450mm化を決断すれば東芝も追従するという捉え方をしており、最近サムスンが投資を縮小していることから、450mmへの決断はしないという読みから書かれた記事である。この読みが正しいかどうか、判断しにくい。というのは、サムスンは韓国の工場への投資は控えているものの、米テキサス州オースチンにあるファウンドリ工場には投資を継続しているからだ。サムスンはメモリーからファウンドリへ舵を切り始めている。この記事には、450mm化を推進してきた肝心のインテルと、TSMCの動向については書かれていないため、450mmの先送りはあくまでもサムスンの韓国工場に限定した話と捉えるべきだろう。

サムスンの白血病問題は海外メディアも注目していた。韓国のメディアのThe Hankyorehが伝えたところによると、第三者機関の米国Environ社は、患者を出したといわれているサムスンのキーフン工場の第5および第12ライン、オンヤン工場の第5ラインにおける発がん性物質の使用に対する必要性と、従業員が浴びた発がん性物質のレベル、作業者が曝される発がん性物質と白血病発病との相関関係、について調べたという(参考資料1)。白血病患者6名の内4名は発がん性物質に曝されておらず、残り2名が曝された量は国際基準を下回ったレベルだったとしている。ただし6月にソウルの行政裁判所は、白血病発症との因果関係を認める判決を下しており、今後も尾を引きそうだ。

明るいニュースとして、クルマの部品メーカーとして世界大手の独ボッシュが、クルマの電動化に研究開発費を9.5%増やした、と7月15日の日刊工業が伝えた。2011年の研究開発費は250億円になり従来のABS(アンチブレーキングシステム)など安全性を高める研究に加え、EVやハイブリッド車用の電動システムに重点投資する。半導体メーカーにとってボッシュにECU向けや電動制御回路向けのパワー半導体を売り込むチャンスになる。

シャープと鴻海精密工業が50%ずつ出資して、テレビ用の大型液晶パネル部材を共同調達する合弁企業を年内にも設立する、と7月19日の日経産業新聞が報じた。ガラス基板やカラーフィルタなどの部材をこの合弁会社が調達し、鴻海傘下の奇美電子とシャープに供給する。調達規模の拡大でコスト削減を狙う。シャープはさらに、省エネ性能を高める技術も奇美に指導し、自社製パネル並みの品質を確保するとしている。

アドバンテストがNANDフラッシュメモリー用テスターを発売したというニュースを7月15日の日経産業が伝えた。このニュースは、Semicon Westの時期(先週)にNANDフラッシュ用テスターを出す計画を松野晴夫社長が4月に述べていたが(参考資料2)、予定通りの運びとなった。ウェーハテスト用のHA5100CELLは、同時に4枚のウェーハ、または6144個のチップを100MHzの周波数でテストできる。パッケージに収容したNANDフラッシュ用テスターT5773は、200MHzの周波数で768個のICを同時にテストできる。

最後のニュースとして、東芝がMRAMを韓国のハイニックスと共同で開発するという発表(7月13日発表、14日の日経産業など報道)を紹介する。DRAM専門のハイニックスとNANDフラッシュに強い東芝がコラボすることで将来の不揮発性RAM開発に乗り出すことは、素晴らしいニュースである。製品化で先行しているフリースケールのMRAM製品は電流駆動型で高集積にしにくい構造だが、東北大学の大野泰男教授らが提案しているスピントロニクス利用のMRAMは高集積にしやすいという特長を持つ。サムスンがスピン注入書き込み型のMRAMを開発中であり、同社との競争に備えるという意味もある。ただし、これまで提案のある不揮発性RAMと言われるメモリーは、どれもROM的、ストレージ的であり、DRAMのようにRAM的な使われ方はしていない。どのマーケットを狙うのかをしっかり市場調査することは、研究開発に加え、成否のカギを握る重要なファクタである。東芝が独自にマーケティングをどう強化するかどうかが問われている。


参考資料
1. Samsung Commissioned-study rejects leukemia claims, in The Hankyoreh (2011/07/14)
2. アドバンテスト、3期ぶりに黒字化達成、買収・コア拡大で積極的な攻めを展開 (2011/04/28)

(2011/07/19)

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