セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト
セミコンポータル

マイコンメーカーの中国市場への取組状況

|

 中国におけるMCU(マイコン)市場では、マイコンメーカーが32 ビットマイコン製品の市場投入を始めており、一番需要の多い8 ビットマイコンの使用方法を家電メーカーやIT メーカーに教え、市場が拡大している。ここでは、主要マイコンメーカーの中国市場への取り組みを紹介する。

1)フリースケール
 中国市場で、ローエンドの8 ビットマイコンの販売拡大の余地は大きいと見ており、8 ビットマイコンの販売に注力している。2005 年に中国は日本を抜いて世界第2 位の自動車市場となった。世界の自動車の平均普及率は1,000 人に104 台の割合であるが、中国の普及率は1,000人に8 台である。よって、中国はこれから自動車の需要は大きく、巨大な潜在需要がある。フリースケールは、中国市場でマイコンの販売で成功する鍵は「いかに小型で、安いマイコンを作るかである」と言っている。
 フリースケールは、電動歯ブラシに搭載でき、伝統的な電子機器やポータブル電子機器に最適な極めて小さく、50 セント以下というローエンド8 ビットマイコンRS08 シリーズを中国市場で積極的に販売攻勢をかけている。


2)インフィニオン
 顧客にマイコンとパワーIC の組み合わせを推奨してサポートをしている。
 インフィニオンは、中国で直接販売と販売代理店という2つのルートを使って半導体製品を販売している。同社は、顧客ニーズに応じて、必要なソフトウェア、IP、低価格マイコンやパワーIC を的確に選択して、技術サポートとソリューションを提供してマイコンを販売している。同社の販売代理店は、半導体の輸入、物流サービス、及び在庫管理を担っている。
 インフィニオンは、電子制御、洗濯機、エアコン、自動化などに最適である新製品8 ビットマイコン「XC800」の販売に力を入れている。


3)NEC エレクトロニクス
 豊富なマイコンのラインアップと短納期で販売に力を入れている。
 NEC エレクトロニクスの半導体製品は、基本的に代理店を通じて販売されている。日系販売代理店は、佐鳥、三信、新光などであり、中国系の販売代理店は、同創、格州などである。
 NEC エレクトロニクスは、設計企業(デザインハウス)やIP ベンダーなどサードパーティとパートナーシップを結び、また、大学と共同開発設計を行い、MCU の販売に取り組んでいる。
 同社は、中国で10 年以上の設計経験を積んでおり、空調、白物家電、情報家電、医療保健機器、中国特有の電動自転車、自動車など中国市場の需要に適したマイコンを設計して、生産・販売に注力している。DIP タイプのパッケージング製品にも力を入れている。2010 年度には中国市場向けのマイコンの売上高を現在の3 倍にすることを目標にしている。


4)アトメル
 アトメルは、直販と代理店の両方を使った販売に加え、専門の設計センター網を構築
し、中国の顧客向けに中国語サポートと設計専門技術を提供している。同社は、家電製品市場向けにフラッシュマイコンMegaAVR にフォーカスした4KB内蔵の新製品を販売している。また、ポータブル製品向けにも注力している。北京、上海、深センにある専門設計センターを通じて、地場の設計企業、販売代理店と提携し、中国市場の開拓を行っている。


5)上海【石夕】創微電子 − リモコン、PC 周辺、小型家電の3 分野にフォーカスしたマイコンの販売
 同社は、直接販売と間接販売がそれぞれ50%である。
 同社の販売代理店は、ソリューション応用開発をする企業であり、主に顧客にシステムソリューションを提案している。2007 年の主力製品は、リモコン市場向けのOTP 型8ビットマイコンである新製品「BL35P12」とPC 周辺市場向けのPS2 に対応したマウスに使われている「BM2004」である。同社は中国市場において、リモコン、PC 周辺、小型家電の3分野にフォーカスしているが、この3 分野の共通点は価格に敏感なことである。よって、コストと品質を厳しく管理して、価格性能比に優れたマイコンを提供している。


6)マイクロチップ−中国の8 ビットマイコン市場でトップの地位を維持
マイクロチップは、中国市場で主に販売代理店を通じて事業を展開している。現在、中国には17 社の販売代理店があり、顧客ニーズに応じる技術のサポートとトレーニング、リファレンス設計ソリューション、設計コンサルティング、物流サポートなどを提供している。また、顧客に直接注文できるチャンネルのインターネット電子商取引サイト「microchipDIRECT」を提供している。
 2007 年には、中国市場では主に、モーター制御とデジタル・スイッチング電源市場を対象とした8ビットと16 ビットのマイコンとDSC(デジタルシグナルコントローラ) 製品の販売促進をしている。同社の2007 年の中国でのマイコン市場戦略は、8 ビット市場でトップの地位を維持しながら、16 ビット製品のシェアを拡大することである。


7)NXP−継続的にIC チップの研究開発を強化
 NXP は、世界の流通販売大手のArrow、Avnet に加え、中国地場の半導体商社及び設計企業と緊密に協業している。具体的な中国地場パートナーは、周立功、北天星、豊宝などである。同社は、8 ビットから32 ビットまでのマイコンを販売しており、LPC2000/3000、LPC9xx、LHxx シリーズが中国市場向けの新製品である。
 2007 年は、性能、省エネ、コストに引き続き注力し、中国のマイコン設計チームの強化に取り組んでいる。


8)上海エプソン−新製品16 ビットマイコンの販売拡大に取り組み
 エプソンは、中国では安富利、中電などの販売代理店を通して販売している。これら販売代理店は、主に物流サービス、顧客開拓、技術サポートを行っている。エプソンは、北京、上海、深セン、香港にマーケティング部門とFAE(フィールドアプリケーションエンジニア)チームを設けている。上海エプソン電子は、エプソンの中国でのマイコンの設計開発拠点である。同社の4 ビットマイコンは電子時計市場をリードしている。また、32 ビットマイコンは、電子辞書や電子学習機器にも多く搭載されている。新しい16 ビットマイコンは、デジタル民生機器、医療電子、家電製品、産業用制御装置などをターゲットにしている。


セミコンダクタポータルのコンテンツパートナー、アレグロ インフォメーション・インク(以下アレグロ)による、中国のエレクトロニクス・半導体・液晶分野のマーケット情報です。アレグロは、同社独自の調査及び、中国国家統計局、CCID、中国電子報、経済参考報、国際金融報などから得たフレッシュな情報をベースに、特に中国のIT、エレクトロニクス、半導体・液晶関連の情報収集・提供、分析、調査を行っています。今回、提供したのは、同社の月刊レポート「中国レポート:Electronics and Semiconductor China」

月別アーカイブ

Copyright(C)2001-2024 Semiconductor Portal Inc., All Rights Reserved.