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インドの小型自動車市場拡大

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小型自動車の生産ハブへ

インドの自動車市場は、2005-2006年の国内販売台数では891万台と前年比16%の伸びを示している。その80%近くを二輪車が占める。四輪車全体では149万台となり、その7割が小型車(Mini,Compact)が占める。そのインドの小型車が今、小型車革命第二弾をむかえている。

インド自動車産業国内販売台数種別シェア

インド2005/06自動車の国内販売・生産台数(出典:SIAM)
インド2005/06自動車の国内販売・生産台数(出典:SIAM)


最初の小型車ブームではサントロ(Santro)、マティス(Matiz)、インディカ(Indica)、アルト(Alto)といった車がインド市場を席巻した。

トヨタ(Toyota Kirloskar Motor)からホンダ(Honda Siel Cars)、スコダ(Skoda Auto India)、GM(GM India)に至るまで、業界のトップが新製品の準備中である。

市場を牽引するマルチ(Maruti Udyong 注:スズキとインド政府の合弁企業)、ヒュンダイ(Hyundai Motor India)、そしてタタ自動車(Tata Motors)は、いずれも新製品の発表を控えている。


インドの小型車市場の第一回革命は1990年代末のサントロ(Hyundai)、マティス(Daewoo、GM傘下)、インディカ(Tata)、アルト(Maruti)の登場に遡る。それ以来、特に大きな動きはみられなかった。今回、業界トップのトヨタ、GM、ホンダ、スコダ、ヒュンダイ、そして勿論マルチも新製品の準備をしており、さらにはフォルクスワーゲンまでもいるのである。これらの小型車市場への各社の投入は、昨年インド政府が打ち出した小型車生産への優遇税策も大きな促進剤となっている。


インドの四輪自動車、企業別国内販売シェア


乗用車市場でシェア5割を誇る、Maruti Udyongは、1981年、スズキ自動車とインド政府の合弁によって設立された企業である。(スズキの持ち株54.2%)同社は本年1月、2007-08までに、271.8億ルピ(約108.7億円)を投じて、新車の開発に当たることを発表。さらに、新自動車工場とディーゼルエンジン向上建設に更に320億ルピ(128億円)を投じる計画。同社が5年間に開発を予定している5機種のうち、3機種は小型車と予想されている。

Marutiのライバルである、現代自動車の100%子会社である、Hyundai Motorは、インドを世界でも唯一のサントロ生産基地として位置づけしており、インドを生産拠点として、世界に輸出している。同社は、既存のサントロと併存可能な新たな小型車を2007年第4四半期には市場に投入することを予定している。

MarutiもHyundaiも、能力の向上した新たな工場を建設している。Marutiの新工場は既存の工場の生産高が年間100,000台であるのに対して、年間250,000台まで拡大した。

その一方でHyundaiも、現在は国内全体で年間600,000台であるのに対して、2007年までには第二工場の生産高は年間300,000台にまで拡大するという。


Toyota Kirloskar Motorは、トヨタ自動車99%、Kirloskar 1%の合弁企業であるが、小型車開発においては、傘下のダイハツとの協業で小型車プロジェクトを手がける一方、欧州で流行している自社開発の小型車Yarisをインドに投入することもありうる。

トヨタは、低コスト労働市場をもつインドで、小型車を改良させていく可能性に目を向けているといわれる。同社は、現在(2004/05年)、インドにおいて、乗用車で1.33%、多目的車で13.37%シェアを有するが、2010年までにインドの自動車市場におけるシェア10%を目指している。そのためには小型車でのシェア拡大が必須となるのである。


市場の先導者たちが大きく動いているが、第二次小型車ブームをにぎわせているのは、フォルクスワーゲンのようなニューカマーや、ホンダのような定番メーカーに拠るところが大きい。

インドの小型車市場は、2005/06年60万台を超えた。世界の小型車市場としては、日本の150万台、ブラジルの70-80万台である。欧州合計で50万台である。インドが小型車市場として有望視されるとともに、有望視される市場に近い、生産ハブとしても急速な注目を浴びている。しかも米国での生産に比較して、1/3のコストで生産が可能といわれる。自動車産業の周辺産業もインドでは急速に育っている。Tata Motorsの小型車、Indicaは、インドローカルの部品メーカーからの供給で組み立てられている。

中国と比較されるインドであるが、企業を大手顧客とした中国では、セダン乗用車市場をほぼ独占しているが、消費者向けの小型車市場に対する政策や金融優遇策はまだ始めたばかりである。インドは、世界の小型車市場として、また生産ハブとして、独自性を見せて伸びることが期待されている。

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