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直近の世界ファブレス半導体ランキング、平均32%成長

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2022年第2四半期における世界ファブレス半導体のトップテンが発表された。Qualcommのトップは1年前よりも揺るがないものの、3位にはBroadcomを抜いてAMDが飛躍した。上位10社の合計金額は、前年同期比32%増の395.6億ドルと大きく成長した。これは台湾系半導体市場調査会社のTrendForceが調査したもの。

Table1: Global Top Ten IC Design House Revenue Ranking 2Q22 / TrendForce

図1 世界ファブレス半導体トップテンランキング 出典:TrendForce


上位10社のうち最も大きく成長したのはAMDであり、前年同期比70%成長を遂げた。特にFPGAメーカーのXilinxを買収したことが大きい。データセンターや高速演算処理が必要なHPC(High Performance Computing)などの分野では、ソフトウエアで演算能力を最大に伸ばすならGPU、ハードウエアで伸ばすならFPGAがそれぞれ必要。AMDはかつてカナダのGPUメーカーATIを買収して手に入れているため、これまでもゲーム用コンピュータでは強かったことに加え、Xilinx買収で、デーセンターやHPCでも業績を伸ばした。

2022年2月にはXilinxの買収を完了させ、さらに5月には分散型サービスプラットフォームに強いPensandoを買収し、データセンター、クラウド、HPC市場を強化した。Pensandoは、分散型のサービススイッチだけではなく、分散ネットワークやセキュリティ強化にも適したパケットプロセッサに強いため、仮想化環境のクラウド市場にも適したチップを供給できる。

トップのQualcommは、乱暴な言葉で言えば4GのLTEを捨て5Gを強化してきた。3GのCDMA基本特許を持っている同社は、OFDM時代のLTEで業績を伸ばせなかったが、その分5Gには力を入れてきており、5GではモデムだけではなくRFフロントエンドやIoTにも力を入れてきた。アプリケーションプロセッサSnapdragonでは、スマートフォンから自動車やパソコンなどのコンピュータ領域まで手を広げ始めた。もちろん、5Gのスマホ向けでは圧倒的に強い。22年2Qでは、前年同期比45%増の93.8億ドルを売り上げた。

2位のNvidiaは2Qになるとこれまでの猛烈な勢いから21%成長へと緩んできた。これまで同社のビジネスをけん引してきたゲーム用GPUが買い手市場になり、前四半期比で13%減とスローダウンしてきた。しかし、データセンターでのGPUは大きく伸び、53.5%増を示したものの、Nvidia全体の売上額は70.9億ドルに留まった。ゲーム市場が供給過剰で在庫が大きく溜まっているため、次の第3四半期もゲーム用GPUの見通しは芳しくない。Nvidiaはデータセンター市場向けにGPUに加え、GPU制御用のCPUも開発、ネットワークプロセッサのMellanoxを買収で手に入れたことから、今後はデータセンターとAIに特化する半導体企業に変わっていくことは間違いない。

4位のBroadcomは、クラウドサービスやデータセンター、ネットワーキングに強い半導体を設計しているため、着実に31%成長し、その売上額は64.9億ドルとなった。5位の台湾MedixTekも5Gスマホで、Qualcommに次ぐ地位を占めているが、中国市場で稼いできて今、中国市場が落ち込んできたため、この2Qは18%成長の52.9億ドルにとどまった。

ファブレスは1位から5位までは世界半導体企業全体でもトップ10社に入る成長企業であるから6位以下を大きく引き離している。6位以下で最も大きな伸びを示した企業がMarvellであり、前年同期比50%増の14.9億ドルの6位に上昇した。台湾のファブレスは中国向けのテレビやパソコン向けのディスプレイドライバICをはじめとする民生用が多く、売上額はマイナス成長の所もある。

米国のSynapticsが久しぶりに10位に戻ってきた。車載ディスプレイ用ドライバICの他、IoT用のデバイスが同社の7割を占めており、これが大きく伸びたことで、売上額が45%成長の4.76億ドルで10位となった。

参考資料
1. 「2021年のファブレス半導体トップテンランキング、2位にNvidiaが急浮上」、セミコンポータル (2022/03/29)

(2022/09/08)

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