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クラウドサービス市場、2022年第1四半期は34%増の559億ドル

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クラウドサービス市場は2022年第1四半期に前年同期比(YoY)34%増の559億ドル(1ドル=130円として7.27兆円)に上ることがわかった。中でも上位3社はクラウド市場全体の62%を占め、3社合計は同42%も成長した。トップはAWS(アマゾンウェブサービス)、2位Microsoft、3位Googleという順である(図1)。

Worldwide cloud infrastructure services spend, Q1 2022 / Canalys

図1 クラウドサービス市場 出典: Canalys


この市場規模を調査したのは(参考資料1)、シンガポールに本社を置き、米国、英国、インド、中国にもオフィスを構えるCanalys社。クラウドベースへのビジネス転換を図る企業や公共機関などが世界的なサプライチェーンやサイバーセキュリティの脅威、地政学的な不安定などに直面しており、自社のオンプレミスからクラウドへの移行が顕著になっている。クラウドへの移行はこういった問題を解決できる。

特に、中小企業はクラウドサービスを積極的に利用しており、コンピュータ演算だけではなくストレージやクラウドネイティブなアプリケーシ
ョンの開発などに活かしている。もちろん大企業や公共機関でさえも自社の持つオンプレミスコンピュータとクラウドの両方(ハイブリッドクラウド)を持つことで、セキュリティを強固にするだけではなく、リジリエンス(事故などからの回復力)にも活かせている。さらに複数のクラウドサービスを利用するマルチクラウド化も立ち上がりつつある。上記のようなクラウド業者は受注残を増やしてきて入り、その結果将来に向けた売り上げ増を期待している。クラウド業者はセキュリティを強化するため人材や技術に投資している。

クラウドコンピュータを物理的に設置しているのはデータセンターであり、クラウドサービス業者は、世界各地にデータセンターを散らばらせている。例えば、Microsoftは世界中に54カ所、日本にも2カ所に大学キャンパスほどの規模のデータセンターを設置しており、それらを光ファイバで結んでいる。海底ケーブルを敷設するための専用船まで持っている(図2)。まるでKDDIなどの国際通信業者並みの設備である。ただしデータセンターの場所は明らかにしていない。物理的な攻撃から守るためだ。


光ファイバ敷設船 / Microsoft

図2 Microsoftの持つ光ファイバ敷設船 出典:Microsoft

ただし、データセンターが使う電力規模は極めて大きくなり、原発1基分と言われており、消費電力の削減が急務となっている。AWSやMicrosoft、Googleなどが自社チップを設計する最大の理由は、チップあたりの消費電力を削減することが大きい。例えば、サーバーの電力を半減すれば、コンピュータを倍増でき、ライバルに差をつけることができる。コンピュータを増やしても、仮想化技術で多数のユーザーに提供するため、ユーザーが増えれば増えるほどコンピュータを増強すればよいことになる。ここに半導体が大量に使われることにつながる。ただし、その半導体は消費電力が少ないことが求められる。

クラウドサービスの市場シェア33%でトップのAWSは、前年同期比37%増の金額を投資してきた。米国内に16カ所のデータセンターを立ち上げ、世界26ヵ国、32カ所に追加投資を行っていく計画だ。AWSはT-SystemsやVerizon、Telefonicaなどの通信業者も獲得したと発表している。

Microsoft Azureは21%のシェアをもち、同46%成長を遂げた。Azureユーザーの数は2倍の1億ドル以上となった。世界的なシステムインテグエータとしてフランスのAtos社や富士通も確保したと発表している。Google Cloudの追い上げも急でシェアは8%まで伸ばし、同54%成長を果たした。

参考資料
1. "Global Cloud Services Spend Hits US$55.9 Billion in Q1 2022", Canalys (2022/04/28)

(2022/05/06)

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