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2022年半導体工場の製造装置市場は過去最高の1070億ドルへ

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最新のSEMIの見通しでは、2022年の半導体製造装置市場は前年比18%増の1070億ドル(約12兆8000億円)と、過去最高を記録しそうだ。2021年は前年比42%増を記録したため、従来だと次の年(2022年)は少し落ち込むはずだが、さらに製造装置が伸びるということになる。これで3年連続成長し続ける。

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図1 今年の製造装置市場は初の1000億ドルを突破しそう 出典: SEMI


「世界の半導体製造装置が1000億ドルを初めて突破することは半導体産業の歴史的な一里塚となりそうだ。これは半導体産業の広がりと新しい市場の創出が加速しており、さらにデジタルの世界を実現するエレクトロニクス技術が長期的に成長することを期待できる」とSEMI会長のAjit Manocha氏は述べている。

2023年も1000億ドルを突破するが、さすがに2022年よりも伸び続けるわけではなく一服するだろうと見ている。

2022年の地域別では、台湾の設備投資額が最も大きく、前年比56%増の350億ドルに及ぶ。次が韓国の9%増の260億ドル、第3位が中国の175億ドル。中国は前年比30%減となっている。伸びは欧州・中東がもっとも大きく同248%増、すなわち約3.5倍の96億ドルに達した。

こういった投資により、半導体工場の生産能力は世界全体で2021年の7%増に続き、2022年はさらに8%増となる。2023年の設備投資額は若干減少するが、1000億ドル程度と予想されており、世界の生産能力は6%増加することになる。

生産能力で見ると2010年は月産1600万枚(200mmウェーハ換算)だったのが、2023年には同2900万枚(同)となり、ほぼ倍増することになる。

ここまで生産能力の向上が見込めるのは、単なる半導体不足の解消だけでは説明できない。これまで通りの市場規模の成長なら、半年〜1年で需給バランスを戻すことができたからだ。今回の半導体不足は、これまで1年半も続いている。さらに続くという見通しに変わってきている。昨年暮れには今年半ばには半導体不足が解決されると予想されていたが、早くもそれが崩れ、今年いっぱいかかりそうだというアナリストの予想が複数出ている。

最大の原因は、半導体市場の広がりがITの成長と密接して進んできたためであろう。それも単なるハードウエア機器の進展だけではなく、ソフトウエアがハードに制限されずに遠慮なく大きなモデルやアルゴリズムを生み出しても、ハードウエアで対処できる見込みが出てきたからだ。仮想化技術、超並列技術(アムダールの法則の崩壊)などコンピューティング技術の進展で、ソフトが進展するとハードも進展するのである。

これを支える半導体はそれ以上に進展する。ハイエンドだけではなく、コンピュータシステムが組み込みシステムと名前を変えて、知らず知らずの間に人々の生活に浸透、拡大しているからだ。電池を使ったり電源コードに差したりする全ての電子機器が半導体を使うようになった。さらに電池を使わないRF-IDやタグ、IoTセンサチップなどエネルギーハーベスティングの省電力デバイスにさえ半導体が重要な技術となっている。生産能力を増加しても需給バランスが保てるような未来が描けるようになったといえそうだ。

参考資料
1. "Global Fab Equipment Spending Expected to Hit New High of $107 Billion in 2022, SEMI Reports", SEMI (2022/03/22)

(2022/03/24)

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