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半導体製造装置はピークに来たか?TSMCの売上から見える現状

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2021年10月における北米製、日本製の半導体製造装置はいずれも前年同期比40%増を超える大きな成長率を示した。北米製の装置は同41.2%増の37億4,160万ドル、日本製は同49.1%増の2719億400万円と順調に成長した。直近で見ると前月比で北米製が同0.6%増、日本製は2.0%減とほぼ横ばいといえそうな状況になっている。

図1 日本製および北米製の半導体製造装置販売額の推移

図1 日本製および北米製の半導体製造装置販売額の推移


北米製、日本製の半導体製造装置の販売額は共に3カ月の移動平均値で表しており、それぞれSEMI、SEAJから発表されている。今回の数字から、そろそろ頭打ちの状況のように見えるが、そのように結論付けるにはまだ早そうだ。日米とも中国への輸出で大きく稼いでおり、中国需要が頭打ちであれば、そう言えるかもしれないが、今のところはまだそのようには見えていない。

半導体不足は、一部ではもうピークアウトになっていると言われているが、半導体メーカー側の様子からはまだピークアウトには見えていない。2022年もさらに成長するように映っている。車載メーカーはようやく3〜4ヵ月の半導体在庫を持つようになり、車載向けだけを見ていると、半導体不足は解消される方向に向かっているように見える。しかし、半導体不足は産業用で著しく、結論はまだ早そうだ。

TSMCの車載向けの売上額は、この第3四半期は前四半期よりも成長しており(図2)、全体売上額を押し上げている。つまり、車載向け半導体は、TSMCが生産する半導体と比べ、単価が安いのにもかかわらず、車載半導体を増やしてきたという証拠になっている。


TSMCの業績から見る車載半導体の売上額の見積もり 出典:一連のTSMCの決算報告をセミコンポータルが整理

図2 TSMCの業績から見る車載半導体の売上額の見積もり 出典:一連のTSMCの決算報告をセミコンポータルが整理


半導体製造装置は、半導体メーカーの設備投資とリンクしており、売上額とは直接リンクしていないが、TSMCの売上からその傾向を読み取ることはできる。TSMCは、2022年には熊本にソニーと共同で新工場を建設することに加え、高雄にも新工場、米アリゾナ州にも新工場と続々建設する計画がある。設備投資すなわち半導体製造装置を大量に購入することになり、来年も製造装置は伸びそうだ。つまり、製造装置販売額が頭打ちと見ることは未だ早計かもしれない。

参考資料
1. 「半導体製造装置の販売額、日米とも好調続く」、セミコンポータル (2021/10/27)

(2021/12/03)

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