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台湾の半導体製造能力がいかに高いか、IC Insightsが定量的に分析

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米市場調査会社のIC Insightsは、世界半導体産業の生産能力を設計ルール別に示した(参考資料1)。同社は米国の視点で、台湾が世界の半導体産業にとっていかに重要なのかを再認識させている。中国において半導体産業が思うように発展しないと輸入超過による経済損失をいつまで我慢できるか。さもないと台湾侵攻が現実的な脅威となってくる、と示唆している。

Monthly Installed Capacity for Each Min. Geometry Group at Dec-2020 - by Geographic Region / IC Insights

図1 設計ルールごとの世界各地の半導体生産能力 2020年12月時点 出典: IC Insights


IC Insightsは、将来に向けた健全なグローバル経済成長は、最新の電子システムを絶えず導入することにますます強く依存している、と主張する。最新の電子システムを左右する重要部品が集積回路(IC)であるからで、これなしで最新電子システムは作れない。華為、SMICをエンティリストに加えるなど、昨今の米中貿易戦争は特にIC技術を巡るものが多い。

IC Insightsの調査レポートは、改めて台湾が米国の半導体産業に与える影響の大きさを示している。中国が台湾に侵攻する場合の半導体産業に与えるリスクはどのくらいになるだろうか、という視点で問題を提起している。図1は、2020年12月時点での世界各地の半導体生産能力をプロセスノードごとにみるものであるが、第1位の台湾の21.4%シェアを、中国の侵略によって取られてしまうと中国のIC生産能力は世界の36.7%にもなってしまう。これは米国の3倍に相当する。さらに米国の視点で見ると、世界の300mmウェーハ工場の内、米国のシェアはわずか11%しかないため、韓国の25%、台湾の22%から見ると極めて見劣りする。

台湾はTSMCやUMC等ファウンドリの生産能力が極めて高く、その生産能力は地元の企業が90%を持つ。残りの10%はMicronの複数の300mmDRAM工場などだ。また、TSMCやUMC、Powerchip、Vanguardなど台湾のファウンドリのシェアは世界の80%と圧倒的に大きい。つまり台湾ほどIC生産能力で重要な地域はない。

日本の視点で図1を見てわかるのは、10nm以下のプロセスで日本の半導体が製造していないことは仕方ないとして、40nm〜20nmプロセスがごっそり抜けていることだ。日本のキオクシアと米Western Digitalの共同運営工場は20nm以下のプロセスを使っているため、20nm〜10nmでの日本の存在感はある。Micronの存在感もある。

しかし、40nm、28nm/32nmでの存在感がゼロである。TSMCが日本に工場を作れば28nmと22nmプロセスは日本の生産能力が高まることになる。しかし、決して日本の半導体メーカーではない。このことは、日本企業がもしファウンドリを行うならTSMCのように28nmと20〜22nmというのは合理的かもしれない。

参考資料
1. "IC Industry at Heart of Possible China Takeover of Taiwan", IC Insights (2021/10/13)

(2021/10/19)

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