直近の世界ファウンドリ企業トップテンランキング

図1　世界の半導体ファウンドリトップテンランキング　出典： TrendForce

トップ10社の合計は、QoQで6.2%増の244億700万ドルとなったが、トップのTSMCは3.1%増に留まった。最大の原因は、4月に起きた台南工業団地でのファブ14 P7工場での停電事故である。製造処理中の40nmと16nmノードのウェーハの一部を廃棄せざるを得なくなった。さらに追い打ちをかけるように5月に電力会社による事故が起き、やはり稼働が止まったものの、この時は運良く廃棄ウェーハは発生しなかった。しかしこの間ファウンドリ価格を上げられなかったために売り上げ増は少なかった。

2位のSamsungも同5.5%に留まったが、2月の米寒波の影響が大きく、テキサス州オースチン工場のS2ラインが4月になってようやく再開したばかりだ。それでもCMOSイメージセンサと5G用RFトランシーバIC、OLEDのディスプレイドライバICなどの需要が旺盛だったため頑張って5.5%増まで伸ばしたとしている。

3位のUMCは、PMIC（電源用IC）やTDDI（タッチ制御回路を集積したディスプレイドライバIC）、Wi-Fi、OLED（有機EL）ドライバICなどの高需要が続いており、QoQで8.5%成長した。同社の生産能力は100%を超えており、需要に全く追いつかない状況だ。さらに28nm/22nmノードの生産能力を追加したこともあって、見積価格をQoQで5%値上げした。

4位のGlobalFoundriesは、同2桁成長の17%増で15.2億ドルを売り上げた。同社は2019年に米国のFab 10ラインとシンガポールのFab 3EラインをそれぞれON Semiと台湾VISに売却したが、自らは既存ラインを集約し、14/12nm FinFETおよび22/12nmのFD-SOIプロセスの開発、55/40nmの高耐圧製品プロセス、BCDプロセスの技術プラットフォームに集中するようになった。さらに、米ニューヨーク州とシンガポールに新工場を設立し2022年後半から23年にかけて稼働を始める計画だ。またON Semiに売却した工場は契約上、2022年の完全な引き渡しまでまだ使える状況にあり、半導体不足に対応していくという。

最も高い成長率を示した5位の中国SMICは、0.15/0.18µmのPMICや55/40nmプロセスのMCU（マイコン）、RF（高周波）やHV（高耐圧）、CMOSイメージセンサなどへの強い需要に支えられた。同時に単価も値上げした。14nmプロセスは期待以上に採用が進み新規顧客を獲得したようで、現在1万5000枚/月の生産能力いっぱいで稼働している。

6位のHuahongグループは傘下に組み込んだHHGraceとHLMCの販売額もTrendForceは加えた。これによりHuahongグループ全体での売上額は10%増の6億5800万ドルになり、市場シェアは2.6%と上がった。NORフラッシュやCMOSイメージセンサ、RF、IGBTなどの製品を製造しているが、ラインの稼働率は100%を超えているという。

最も大きな18.3%の成長を遂げたPSMCはTowerとの差を広げ、VISもTowerを抜き去った。PSMCは、スペシャリティDRAMやディスプレイドライバ、CMOSイメージセンサ、PMICなどに加え、自動車用のIGBTが大きく売れた。加えて単価の値上げもあり、高い成長率を達成したとしている。

TSMCとSamsungは今後不慮の事故がない限り、成長率はもっと高いはずなので、次の第3四半期は第2四半期以上の売上額になるとTrendForceは見ている。ファウンドリの生産能力不足が2019年後半から続いているからだ。半導体不足は当分解消せず、平均単価も値上がりすることで第3四半期は過去最高を記録することは間違いないだろう。

参考資料
1. "Foundry Revenue for 2Q21 Reaches Historical High Once Again with 6% QoQ Growth Thanks to Increased ASP and Persistent Demand, Says TrendForce", TrendForce (2021/08/31)