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世界の半導体販売額は1月に15%も減少、我慢の時に

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SIA(米半導体工業会)が2019年1月の半導体販売額が前年比5.7%減の355億ドルに減少したと発表したが、実は単月の数字は306億ドルで14.8%も減少していた。SIAは3カ月の移動平均値で発表するため、落ち込みは平均化され少なく見える。しかし実際の落ち込みはもっと大きいのである。数字のマジックには注意した方がよい。

図1 世界半導体販売額の推移 出典:WSTSの数字と最新のSIAの移動平均値から1月単月の数字をセミコンポータルが見積もった

図1 世界半導体販売額の推移 出典:WSTSの数字と最新のSIAの移動平均値から1月単月の数字をセミコンポータルが見積もった


3カ月の移動平均でならしているSIAの数字では、この1月で初めてマイナスに落ちたように伝えられた。しかし、実際の単月の数字で比較すると、2018年12月にすでに前年比で7.7%減だった。

WSTSの精密な数字がまだ出ていないが、SIAの数字はWSTSをベースにしているため、3カ月の移動平均の数字355億ドルから、2018年11月と12月の単月の数字から2019年1月単月の販売額を見積もることができる。セミコンポータルで計算した結果、2019年1月単月の販売額は306億円となった。これは2018年1月の単月の14.8%減である。つまり、単月の1月は前月の12月よりもさらに落ち込む結果になった。

最近の半導体市場が急激に落ち込んでいることを業界では肌感覚で感じているはずだ。ところが、SIAの数字は生ぬるくて何かおかしいと感じている。このため実際の単月の数字で表す方が肌感覚に近い。ただ、3カ月の移動平均を決して否定している訳ではない。過去の傾向を見るのには単月の凸凹のグラフよりはならしている方が傾向をとらえやすい。しかし、未来がどうなるかを知りたい場合には過去の3カ月の移動平均は過去に引きずられ過ぎるため意味を持たない。

2018年11月までは単月の半導体販売額はプラス成長できた。しかし、12月に大きく落ち、1月はさらに大きく落ちた。その理由はメモリの暴落とリンクしており、特にDRAMがこの第1四半期は20%減、第2四半期もさらに12〜15%減とみられている。この暴落ぶりは、DRAMメーカーが生産量をさほど増やさずにDRAM単価の値上がりだけを期待したため、ユーザーであるスマートフォンやパソコンメーカーからのしっぺ返しとみることができる。ユーザーは二重、三重にDRAMを発注し、メモリを確保した。しかし最大2.5倍まで値上がりしたため、スマホもパソコンも値上げした。この結果、スマホやパソコンの価格は高すぎて消費者からそっぽを向かれた。データセンターもクラウド需要に合わせるため、メモリを欲しいが、単価が2.5倍では多数増設できなかった。

在庫を抱え始めたメモリユーザーはメモリ単価交渉で今度は強気に出るようになった。NANDフラッシュは生産を増やしてきたため、単価は2018年はじめから3〜5%程度で少しずつ下げてきた。歩留まり向上→生産量増加→単価の値下げ→大量購入、のルートで販売額は増えた。ところが、DRAMに引きずられて12月、1月は20%近く値下げを背負わされたため、NANDもマイナスになりそうな勢いとなった。

ちなみに単月の数字の算出は以下の式に従った。
2018年11月は397.1億ドル、12月361.7億ドル、3カ月の移動平均値は355億ドルであり、1月の販売額xは、次式で求められる;
X=355×3-(397.1+361.7)=306 すなわち306億ドル

参考資料
1. 世界の半導体市場、12月に7.7%も落ちていた

(2019/03/11)

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