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AppliedもTELも2019年は2020年に備える年と位置付け

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半導体製造装置メーカーのApplied Materialsが2019年度第1四半期(2019年1月27日期)の売上額が前年同期比11%減の37億5300万ドルになったと発表した。先日東京エレクトロンは2019年度第3四半期(2018年12月期)の売上額は同4.0%増の2681億円であったが、直近の数字は落ち込んでいる。Applied社CEOのGary Dickerson氏は市場をどう見ているか。

図1 Applied Materials社CEOのGary Dickerson氏 出典:Applied Materials, Inc.

図1 Applied Materials社CEOのGary Dickerson氏 出典:Applied Materials, Inc.


わずか1カ月の差とは言え、12月の世界半導体市場は前年同月比7.7%のマイナスであり、製造装置市場もマイナスになっており、1月もマイナスが続いているようだ。Appliedの粗利益率は売上額の44.4%、営業利益率は同24.2%となっており、それぞれ前年同期比で1.7%ポイント、4.7%ポイントの減少である。2019年度第2四半期の見通しは、第1四半期よりもさらに売上額は少なく、33億3000万ドル〜36億3000万ドルの範囲になると見ている。損益は黒字を見込んでいる。

この落ち込みは、DRAMとNANDフラッシュのメモリ価格の下落とリンクしており、需給関係が緩んできたものといえる。NANDフラッシュは3D-NANDプロセスへのシフトにより、エッチングとデポジション、洗浄などの設備投資によって、2017年と18年が潤ったわけだが、18年はチップ単価が値下がりしてきているものの、健全な値下がりだとDickerson氏は評価する。DRAMは2019年値下がりが続くが、NANDフラッシュのビット成長は30%増えるだろうと見ている。

東京エレクトロンの河合利樹代表取締役社長・CEOは、2019年(カレンダー年)にはロジック・ファウンドリ向けが回復するが、前年比で15〜20%減少するだろうとみる。AppliedのDickerson社長も2019年はマイナスになるという見方をしている。

2020年は、東京オリンピック/パラリンピックに合わせ、5G(第5世代の携帯電話通信)の商用利用が始まる。このため、5Gスマートフォンの需要が沸き上がることは間違いない。メモリ価格が下がってきたため、その勢いは加速するであろう。Dickerson氏は、2020年に向けてEUVリソグラフィが量産向けに本格化するため、そのことに対して備える、としている。これまでのArFリソグラフィでは、工程数が長くなり納期遅れが顕著になってくるためだ。

ただし、長期的な2020年以降は、半導体だけではなく、ディスプレイ市場も回復し、半導体の牽引車は従来のスマホから、データセンターやIoT、5G、クルマ、ゲームなどの市場で成長していくとみている。加えて、AIやビッグデータなどのテクノロジーが汎用コンピュータを変えていくことになるとしている。この2月8日には、AppliedはAIチップの開発において、IBMとコラボレーションすることを発表している(参考資料1)。材料からシステムまでのエコシステムを築き、AIチップ向けの半導体の設計と製造のガイドブックを作る上でAppliedが先導するという。Appliedは、まずIBM Research AIハードウエアセンターで共同開発を進めるメンバーに加わる。

参考資料
1. Applied Materials Collaborates with IBM on AI Chip Technology (2019/02/07)

(2019/02/18)

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