NANDフラッシュ、単価値下がりで市場拡大の気配
3D-NANDフラッシュの生産歩留まりが上がり、それを搭載したクライアント向けSSDの価格が値下がり始めた。台湾系の市場調査会社TrendForceは、ノートパソコン向けのSSD採用が2018年は50%を超えそうだと見ている(参考資料1)。
TrendForceによると、PCIe(PCI Express)をインタフェースとするSSD(半導体ディスク)がSATA IIIインタフェースのSSDを置き換える動きがこのところ急速に進んでいる。パソコン向けのクライアントSSD市場でもPCIeインタフェースの採用が今年中に50%を超えるとみている。PCIeはパソコンやサーバーなど標準的なコンピュータのインタフェースであり、SATAインタフェースはストレージ専用のインタフェースであるため、SATAからPCIeへの流れは、最も市場の大きなコンピュータであるパソコン市場にSSDがどっと使われるようになることを意味している。
PCIeインタフェースのSSDは、ストレージが主体のSATAインタフェースのSSDよりも読み出し/書き込み性能が優れており、競争の激しいパソコン市場ではスペックのアップグレードセールスポイントになる。加えて、PCIeのSSDとSATA IIIのSSDとの価格差が縮まってきており、大手パソコンメーカーやモジュールメーカーはPCIeのSSD採用が急速に増えてくるとTrendForceは見ている。
また、NANDフラッシュの供給過剰気味になってきたため、SSDメーカーは容量を使い切るプレッシャーを感じている。64層あるいは72層3D-NANDを搭載したSSDのビットコストが下がったことで、SATAクライアントSSDは、前四半期比(Q-on-Q)6〜11%価格が下がり、PCIeのSSDは同3〜10%下がった。共に2四半期連続で価格が下がっている。
PCIeのSSD製品の平均契約価格は、SATA III製品と比べ、2018年の第2四半期にはまだ10%程度高いという。ただし、今年中にはこの価格差はかなり縮まるとみている。加えて、エントリレベルやミッドレンジのPCIeインタフェースSSD向けコントローラチップがこの差を狭めていくことになる。
SSDコントローラチップのメーカーとして既存のMarvellやSMI、Phisonなどに加え、ASolidやMaxiotek、Realtek、Sageなども新規参入している。既存のチップメーカーは、エントリレベルのSATAからハイエンドのPCIeまでカバー範囲は広い。
対する新規参入組は、SATAインタフェースのDRAMレスのコントローラチップにまずはフォーカスしており、その次にPCIe製品向けに広げていくようだ。
参考資料
1. Price Decline Will Drive the Adoption Rate of SSD and PCIe SSD to over 50% this year, Says TrendForce (2018/05/30)