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2015年の世界半導体は3.4%増の3472億ドル、WSTSの予測

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WSTS(世界半導体市場統計)が2015〜2017年の半導体市場の見通しについて発表した。これによると2015年の世界半導体市場は前年比3.4%増の3472億4800万ドルになると予想する(図1)。これは、5月19〜21日に開かれた市場予測会議において各社からの予測をまとめ、WSTSの予測統一見解としたもの。世界の半導体メーカー18社から25名が参加した。

図1 地域別市場予測 出典:WSTS

図1 地域別市場予測 出典:WSTS


2014年は過去最高で前年比9.9%増の3358億ドルを記録したが、2015年はさらに3.4%伸びると予測した。2016年も3.4%成長、2017年は3.0%成長と緩やかな伸びを予測している。もちろん、リーマンショックの時のような突然の景気変動がないことを前提としている。

昨年のWSTSは、ネガティブな予想が多く、2013年の11月には2014年の成長率を5.1%増と予想していたが、2014年5月には6.5%と上方修正した(参考資料1)。しかし、実際には9.9%増だった。昨年の上方修正の要因はDRAMがけん引した。PCのWindows-XP買い替え需要、さらにはSK Hynixの中国工場の火災によるメモリ供給不足、などによってDRAM価格は高止まりしていた。スマートフォンやタブレットなどのストレージデバイスであるNANDフラッシュメモリもDRAMほどではないが、単価は大きく下がらなかった。メモリメーカーは潤い、世界半導体上位ランキングでメモリメーカーは大きく伸びた。SK HynixやSamsung、Micron Technologyなどのメモリメーカーは2桁成長を遂げた(参考資料2)。


図2 IC製品別の成長率予想 出典:WSTS

図2 IC製品別の成長率予想 出典:WSTS


今年のPC需要は良くない。DRAMの単価は下がってきている。このためメモリメーカーは昨年ほどの勢いはないだろう。メモリの伸びは2014年が18.2%増だったが、2015年は2.8%増という予測になった。メモリではNANDフラッシュが1桁半ば(5%前後とみられる)の伸びだろうが、DRAMが伸びないため、メモリ全体で2.8%成長と見ている(図2)。ウエアラブル端末や民生用IoTなどは半導体需要全体を押し上げるほどの勢いにはまだなっていない。

製品別に見ると、アナログ市場が堅調で5.6%成長し、次がロジックの3.6%増、メモリ2.8%増、マイクロの0.8%増という予想である。IC全体としては3.1%増と見ている。ロジックが昨年の6.6%増から減速したのは、パソコン用のチップセットが減速しているため、だとWSTSは見ている。ロジックというカテゴリには、スマートフォン用のアプリケーションプロセッサ(APU)も含まれているが、APUはさほど落ち込まない。ロジックの中でPCチップセットの売り上げが最も大きいという。アナログは、ユーザーインタフェースデバイスとして、タッチパネルや、加速度・ジャイロなどのセンサとの組み合わせ、パワーマネジメントなどの需要が常にある。むしろ、ユーザーエクスペリエンスがヒット商品のカギとなる今、アナログは成長のけん引になっている。

IC以外では、光デバイスが昨年の8.3%に続き、今年も8.3%成長で323億6000万ドルと予想する。光デバイスで最大の製品はLEDであり、照明の置き換えが続いている。さらにCMOSイメージセンサも堅調で、スマホやタブレット、デジタルカメラなどからクルマ用へと新しい用途も開きつつある。また、ディスクリートではパワー半導体が堅調に伸びているが、小信号トランジスタなどの汎用品の単価が下落しているため、ディスクリート全体では伸びが低い。

参考資料
1. 「2014年後半の半導体市場展望〜2014年は固く見ても6〜9%成長へ上方修正に」、セミコンポータル エグゼクティブサマリーレポート、2014年8月発行
2. Appleが23位にランクインした2014年の世界半導体ランキング (2015/04/20)

(2015/06/03)

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