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半導体製造装置のB/Bレシオを3ヵ月移動平均値で表す意味は何か、再考しよう

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日本半導体製造装置協会(SEAJ)は、9月における半導体製造装置のB/Bレシオ(販売高に対する受注高の比)は1.14だと発表した。8月が1.38だったから落ちたように見えるが、7月、8月は1.4〜1.5という異常に高い値であり、むしろ健全な値に落ち着いたといえる。

半導体製造装置のB/Bレシオ

図1 半導体製造装置のB/Bレシオ


受注高、販売高とも3ヵ月の移動平均で表しているため、将来を正確に予測することは難しい。しかし今入手できる数字から判断する限り、すなわち3ヵ月前の古い数字から見る限り、受注高、販売高とも増えてはいる。これが今後の装置産業が下降局面を迎えるとは見えにくい。とはいえ、気になる数字は受注高の伸びがフラットになってきたという点だ。


FPD製造装置のB/Bレシオ

図2 FPD製造装置のB/Bレシオ


同様に、フラットパネルディスプレイ(FPD)は9月には受注高、販売高とも上向きに転じたが、B/Bレシオで見れば0.9と好ましくないという結果になる。FPDは2月に受注のピークを迎えた後は長期減少傾向にあると読める。B/Bレシオで一喜一憂すべき推移ではない。

SEAJの数字は3ヵ月の移動平均で表すため、9月単月の値はわからない。B/Bレシオは本来、受注の見通しを数値で表す先行指標だったはず。しかし3ヵ月の移動平均値で丸めてしまうと将来見通しがどちらの方向に向いているのかわからない。3ヵ月の移動平均値は9月なら7、8、9月の3ヵ月の平均値であるから、過去の値を丸めて表していることになる。過去から現在を眺めるのには毎月の変動をならす意味で3ヵ月の移動平均は、過去からの推移を見やすい形で表すことができるという特長がある。

しかし、3ヵ月の移動平均値は将来を占うのにはもはや余りふさわしくない。例えば、6、7、8月の受注高と販売高とが異常にかい離した数字はB/Bレシオを誤った方向に解釈する恐れがある。つまり、B/Bレシオは1.4〜1.5とずば抜けて素晴らしい方向になると解釈できるからだ。6月から販売高が落ち始めており、この結果、B/Bレシオは高くなっているだけにすぎない。

そもそも、過去の値を基準にして将来を占うことができるのだろうか。かつて半導体応用製品の商品ライフが5年や10年といった長いスパンの時ならこれでも良かった。しかし昨今は1〜2年と非常に短くなってきた。このため将来を見通すのにできるだけ直近の数字が欲しい。たとえ山谷のある数字であるとしても長年数字を見ている調査マンにとっては季節変動や微細な変動要因はある程度理解できる。このため毎月のできるだけ新しい数字が将来を占うのにはふさわしい。3ヵ月の移動平均は古い数字を見て判断することになり、将来を見るという意味ではふさわしくない。SEAJの改善を望む。

(2010/10/21)

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