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カーエレの中の新市場を切り開くNXPの自動車戦略

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成長すると期待されているカーエレクトロニクス市場にオランダNXP Semiconductor社が遅ればせながら注力し始めた。米国市場調査会社のStrategy Analyticsの調べによると、NXPはFreescale Semiconductor、Infineon Technologies、STMicroelectronics、ルネサス、NECエレクトロニクスに続く6位だという。NXPはカーエレの中のどの市場を狙うのか。

この市場調査会社の上位20社ランキングにMEMS圧力センサーや専用マイコンなどで実績のあるデンソーが入っていないため、順位そのものを鵜呑みにはできない。自動車産業そのものは先進国ではほぼフラットの成熟産業であるが(生産台数は2018年でも2004年と同じレベル)、自動車は新興国での成長は大きく見込まれているため、世界全体での自動車産業の成長率は4%と予測されている(市場調査会社Global Insightによる)。ただし、先進国でもカーエレクトロニクス分野は年率平均8%で成長すると予測されている。

カーラジオやカーオーディオをはじめとするカーインフォテインメント製品が得意なNXPは、自動車用のデジタルラジオ(見えるラジオとは違い、デジタル変調方式を使うラジオ)やビデオ機器向けに引き続き注力するが、さまざまな変調方式やアップグレードに対応するためソフトウエア無線方式で対応する。具体的にはオーディオDSPであるSAF7741のソフトウエアを変調方式に応じて書き直すだけで個別に対応する。今後のアップグレードにも対応できる。


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欧州では第二世代のETCともいうべき新しい通行料金収受システムと、事故などの緊急連絡システムeCallの導入に向けて注力する。特に、eCallシステムは日本でもこれからの普及を狙い、開発と啓蒙に力を入れていく。eCallシステムは、自動車事故が起きるとエアバッグが作動することで事故を交通管理センターへ知らせるというシステムで、GPSも内蔵することにより事故車の位置も確認できる。欧州では2011年までに全車種に設置が義務づけられている。日本でもいずれ同様な措置が取られるだろうと見ている。


NXP の保有する技術をテレマティックスへ集約


日本のETCシステムは独自方式であるため、必ずしもこれには適用できないが、欧州では新しい自動車課金システムとして交通渋滞緩和や税制優遇というメリットをドライバに持たせることを狙っている。このシステムは、いつどこをどれだけ走ったかを記録しておき、その結果を見て課金・課税請求する。ラッシュアワーを避けて道路を走行していれば税制優遇を受けられるというメリットを持たせる。GSM/GPRSのモバイル通信と位置情報のGPS、スマートカードなどを搭載する。EUでの応用であるが、税制など各国ごとの調整が必要となる。

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