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エルピーダ、DRAM不況の生き残りを賭け微細化で先行目指す

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エルピーダメモリは東京で開催した事業説明会で、DRAM市場は5〜10%供給過剰となっており、エルピーダはその市場環境に合わせて今月中旬から生産能力を約10%カットしていくことを明らかにした。

DRAM価格は1Gビット DDR2 667MHz品が9月8日現在1.51米ドルで、512MビットDDR2 667MHz品で0.73米ドルと、6月水準から20-25%の値下がりをしている。通常年間30%程度の下落は折込済みだが、「4半期としては大きな下落」とCFOの萩原俊明氏はいう。第1四半期は156億円の営業損が発生しているが第2四半期も同様、ないしは悪化の見通しを明らかにした。

DRAMスポット価格


他のDRAMメーカーの営業利益率と比較すると、「他社はさらに悪い」(萩原氏)。ただし、現在、エルピーダは市場シェア15%で30%強のサムスン、20%弱のハイニックスを追って第3位につけているが、この上位3社のなかでは2008年第2四半期の営業利益率でサムスンのプラス6%、ハイニックスのマイナス9%と比較してエルピーダのマイナス14%は最低である。

エルピーダは、2000円を割り込む急激な株価下落に対する投資家の不安を沈静化させるために事業説明会を開いたが、直近の状況よりもむしろ中・長期的なエルピーダの戦略を代表取締役社長兼CEOの坂本幸雄氏が語ることによって改めて株式市場の支持を狙った模様。

現在のDRAM市場は供給が5−10%需要を上回っているとエルピーダは見ており、その市場にあわせて広島工場の生産を9月中旬から約10%カットする。提携先のパワーチップセミコンダクタも10-15%の削減を発表しているが、エルピーダへの供給量は変わらない。

DRAMの市場はピークからおよそ5四半期ほどで底を打ってきた過去を見ると、今回も本来は2008年の前半、遅くとも第3四半期あるいは第4四半期くらいがボトムかと予測される。またここ1年、各社ともに新規投資を行っておらず、供給に問題が出てきた。坂本氏によればこのような理由で09年前半には相当改善すると見る。

今後の生産能力拡大のプランについては、「今やらなければならないのはウェーハの数を増やすのではなく、微細化」とプロセスでのリードの重要性を強調した。エルピーダでは年内に90nmラインの65nmへの変換が完了するという。

今は54nmにも転換できる68nmのラインに投資を集中しており、減産の10% もLCDドライバ用の90nmのラインでとめてもインパクトはないという。

昨今、エルピーダがキマンダを買収するのではという憶測が流れたが、坂本氏は否定して、「会社を買えという話は来ているが、買収すると、その会社のラインをすべて[微細化に対応した]ラインに変換しなければならない。Right wayではない。今は自社の微細化に集中する」と語った。

また、業界全体としても、「ここまで落ち込んだら各社とも他社を救うような再編を考えてはいない。各社とも、キャッシュが回らない。1−2社がこの業界を撤退していくことを望んでいる」と語った。台湾勢の状況が特にきびしく、政府の支援を求めたものもあり、第4四半期にむかって大きな変化があるという予測もあるという。

このような状況の中で、エルピーダはDRAMに加え、ファンダリビジネスの比重を高めていく。「まずDRAM ライクなものからファンドリ・ビジネスに入って行きたい。エルピーダが[ファンドリを]やるなら[ビジネスを]やりたいというカスタマはいる。エルピーダは他とまったく競合しないピュアなファンドリとなれる。余力がでたらロジックにも入りたい。ただし、自分でやるか、提携してやるか、今後明確にして行きたい」

坂本氏はエルピーダでトランジスタからメタル配線まで必ずしも全部やることはないと考えており、プロセスの分担など、今後オペレーションが変わってくるかもしれないとしている。

今回の不況をきっかけに、今後はDRAMだけでなく、ファンダリやIDMでのロジック製品の生産も300mmラインへ大きくシフトしていくことが考えられると坂本氏は語り、「早くできた社が次の世代に生き残れる」。


(2008/09/11 セミコンポータル編集室)

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