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AMAT、5-7月期売上は前年同期比28%減、半導体の大幅減をソーラーが一部補完

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アプライドマテリアルズジャパンは米国本社が8月12日に発表した第3四半期(5−7月)決算(プレスリリース:http://www.appliedmaterials.co.jp/news/080813.pdf)の詳細を説明した。既報の通り、売上で前年同期比28%減、第2四半期からも14%減の18億5000万ドル、利益は前年同期比65%の大幅減、第2四半期からも48%減の1億6500万ドルであったことを報告した。

最善・最悪の想定範囲の中で「(前期比)14%の減収は真ん中くらい」と日本支社の代表取締役社長の渡辺徹氏は語った。また65%の減益については、半導体装置の寄与分が大きいので、その半導体装置が落ち込んでいるのが響いていると語った。


アプライドマテリアルズジャパン代表取締役社長の渡辺徹氏


半導体市況の厳しさを反映して、シリコン部門の売上は7.56億ドルで前年同期比57%減となり、営業利益も大幅に減じて1.72億ドルとなり、これは前年同期の1/4のレベルであった。新規受注も7.93億ドルと前年同期から51%減であった。アプライドは新規受注の不振はDRAMおよびフラッシュメモリー・メーカーからの需要減を主な要因としてあげている。また売上の減少はDRAM,フラッシュへの投資抑制とファンドリの投資の遅れが影響しているとしている。
これまで受注の50%以上を占めていたDRAM, フラッシュからの装置需要が43%と半分を割った。また線幅では50nm台およびそれ以下のツールが58%と60nm台の35%を大きく上回っている。「ロジックで65nmが意外に伸びなかった。一方、45nmの技術は今まで不確定だったが、インテルも始めたし、45nmを使おうというところが出てきた。ロジックで大量少品種のアプリケーションも見えてきたので、ロジックは注目したい」と渡辺氏。「メモリーは価格が下がりすぎて苦労しているが、価格が下がればさらに新しいアプリも出てくる。特にSSD(半導体ドライブ)の需要の伸びに期待したい」


太陽電池ビジネスの躍進

半導体部門の落ち込みを補填するまでには至っていないが、エネルギー・環境ソリューション部門の伸びが著しい。「新しい分野がいよいよ出てきた」と渡辺氏。この部門は現在、太陽電池製造装置が主で総売上の9%、1.74億ドルを占めるようになった。ちなみに前年同期は2900万ドルであったから約6倍に伸びたことになる。太陽電池製造装置の新規受注額は3.22億ドル、新規受注総額における比率は16%とさらに存在感を増している。この額は前期から20%増加しており、また前年同期の5300万ドルからはやはり6倍に跳ね上がっている。
アプライドによれば、薄膜太陽電池製造ラインSunFabの受注が好調で、すでに契約額では7月に発表されたMoncada社との契約(プレスリリース:http://www.appliedmaterials.co.jp/news/080710.pdf)までを含めて30億ドル以上、生産能力で1,550MWp以上に達していると報告した。
ただし、SunFabはまだ売上に計上されていないため、この部門では営業損失も売上に対して大きく、第3四半期で8,500万ドルと売上のほぼ半分に相当する。前年同期は売上と同額の2,900万ドルを計上していた。損失拡大の要因としてはBaccini社およびPWS社の買収が大きく、損失の約1/3、残りの大部分は稼動中のSunFab8ラインのサポートのコストであったという。
同社は薄膜タンデム接合技術による太陽電池製造ラインを提供しているが、変換効率の向上が課題であった。すでに同社は5.7平方メートルタンデム試作パネルで10.2%の初期効率を達成したと報告した。「2010年に10%(量産ラインで)実現を目標にしている。そのためにはマイクロ・クリスタル膜をどれだけ均質にできるかがカギを握るが、その点では基板全面のばらつきを5%以下にすることが達成できた。いよいよタンデム方式でいけるという自信を持っている」と渡辺社長。
グリッドパリティの達成、つまり、送電線経由で提供される既存の発電所からの電力と同等のコストとなるのに2010年がクロスポイントになるだろうと渡辺氏は語った。これは米国エネルギー省(Department of Energy)が予想する2012年から2015年をかなり前倒ししている。「ただし、大型の基板でないと達成できない」と同社の5.7平方メートルの大型基板を使用する製造装置のメリットを強調した。
日本ではシャープをはじめとして30年以上開発にかかわってきたメーカーがその技術力を誇っている。しかし、渡辺氏はその技術力を認めながらも、新しいプレーヤーが市場に参入してくる動きに対し「日本メーカーは世界で起こっていることに乗り遅れている。太陽電池が単なるバブルと思っているのか、そんなに簡単な技術ではないと思っているのかもしれないが、現実に動いている。石油の値段がこのように高騰している今、待ったなしだ。我々は歯がゆい思いをしている」と語った。


(2008/08/29 セミコンポータル編集室)

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