セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト
セミコンポータル

Samsungファウンドリ、3nm量産開始を22年前半、2nmは25年後半と公表

|

韓国Samsungのファウンドリ部門が3nmプロセスでGAA(Gate All Around)構造のMOSFETを基本トランジスタとして使うプロセスを2022年上半期までに提供すると発表した。TSMCの基本ロードマップ、さらにIntelも20Åプロセスを発表したのに続き、遅ればせながらSamsungも計画を発表した。

2nm=20Åという長さを象徴するプロセスだが、実際の長さ寸法が2nmであるという訳では決してない。ゲート長は10数nmで止まっている。各社とも7nm以下くらいから実際の寸法とは大きくかけ離れたサイズを、まるでデザインルールのように使っているが、PPA(Performance, Power, Area)指標から総合的に前進したプロセスという表現で使っているものだ。

さて、3nmプロセスではGAA構造のMOSFETを使う訳だが、FinFETはドレイン電圧が基板に広がる空乏層を3方向から抑え込む技術で、それによってリーク電流を減す。GAAは基板に相当する部分を4方向から完全に封じ込めて空乏層の広がりを抑えてしまう技術であるため、オフ状態のリーク電流を完全に抑えることができる。ただし、生産上は難しそうだ。

Samsungは、2018年にファウンドリ部門をメモリ部門から完全に切り離したことを東京で開催したイベントで明らかにし、3nmプロセスからGAAトランジスタを使うことを明言していた(参考資料1)。今回のスケジュールは、第5回Annual Samsung Foundry Forum 2021で発表されたものだが(参考資料2)、スケジュールを発表しただけにとどまったようだ。2022年上半期までに3nmプロセスの量産を開始し、2023年には第2世代の3nmプロセス、さらに2025年下半期には2nmの量産を始めるというだけで、米国における最新のファウンドリ工場については何も触れなかったというメディアが複数ある。

3nmプロセスは、従来の5nmプロセスと比べて、チップ面積は35%減少し、性能は30%向上、消費電力は50%削減すると述べただけにとどまっている。さらに、ファウンドリの生産能力をこれから上げていく、と述べているが、具体的な場所や時期、規模などについては一切明らかにしていない。ファウンドリプロセスは今まで、韓国工場を中心に強化してきたが、最初のファウンドリ工場は米テキサス州オースチンにある。この米国工場に加えて、米国にさらなる新工場建設のうわさがあるが、近いうちに明らかにする、と同社ファウンドリ事業部門のプレジデント兼ヘッドのSiyoung Choi氏(図1)は語っている。


図1 Samsungファウンドリ部門トップのSiyoung Choi氏 出典:バーチャルイベントSFF 2021のスクリーンショットから

図1 Samsungファウンドリ部門トップのSiyoung Choi氏 出典:バーチャルイベントSFF 2021のスクリーンショットから


ただ、4nmプロセスは既に量産にあると述べ、EUV(Extreme Ultra Violet)リソグラフィも7nmプロセスから使っていることを明らかにした。さらに5nm/4nmプロセスを自動車用にも採用していく、とChoi氏は述べている。

また、既存プロセスでも、例えば17nmや8nmプロセスなどの導入でファウンドリの選択肢を増やしていくという。従来のプロセスで例えばRF(高周波)回路では微細化しても性能が落ちていたが、8nmよりも微細化しても性能が落ちない技術を開発中だとしている。従来はゲート抵抗の影響が現れ性能が落ちていたため、ゲート抵抗を減らす材料か配線回路で工夫している可能性がある。

参考資料
1. 「ファウンドリ2社が成長戦略を語る〜Samsung編」、セミコンポータル(2019/09/14)
2. "Samsung Foundry Innovations Power the Future of Big Data, AI/ML and Smart, Connected Devices", Samsung Newsroom (2021/10/07)

(2021/10/08)

月別アーカイブ

Copyright(C)2001-2024 Semiconductor Portal Inc., All Rights Reserved.