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ルネサス、2008年度売上・利益ともほぼ横ばい、後半の強さ見えず

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サブプライムローン問題に端を発した今回の不況の影響は、2008年の少なくとも前半までは続きそうだ。ルネサステクノロジの伊藤達会長兼CEOは、2008年の見通しについて市場は期待薄で、ルネサス自体も対前年度比2%と微増の9700億円という売り上げ見込みを示した。営業利益は前年の436億円に対して市場の弱含みと為替差損を考慮して410億円の微減を見込んでいる。

ルネサステクノロジの伊藤達会長兼CEO


システムLSI、マイコン、アナログ・パワーという3事業を柱とするコア事業を一層強化することはもちろん、海外事業の拡大も進めたいとしているが、今年は微増が精一杯のようだ。ただし、伸ばす分野は伸ばしていく。特に携帯電話関連事業はプラットフォーム化の促進により海外展開を推進していく計画だ。ルネサス全体としては2007年度に海外比率を前年の40%から45%にまで上げてきたが、2008年度はそれを維持することが精一杯で、海外市場を今年、伸ばすことは難しいとみている。

第2の柱であるマイコン事業はほぼ横ばいとなる見込み。自動車やAV機器向けのマイコンをSoCに取り込む動きが加速しているため、マイコン単体を伸ばすことは難しいとしている。特に自動車向けは競争が激しい。昨年発表した新コアであるRXシリーズは設計効率の改善の取り組みを始め、プラットフォーム的な設計手法を加速していく。

第3の柱では、台湾のPowerchip Semiconductor社、シャープの3社で合弁するLCDドライバ専門のファブレス企業が動き出し、2009年度の黒字化を目指す。加えて、RF用のハイパワーアンプは欧州の顧客を中心になって売れ、中国での事業拡大により成長した。

次世代の高速ネットワークは3.9GのLTE(long term evolution)方式が本命と見ている。「WiMAXも大事だとは思うが、方向はLTEではないか」と伊藤会長は述べた。海外、国内ともLTEが広がっていくと予測する。

昨今の原油および原材料の値上がりに対して、特にボンディングワイヤーに使う金の値上がりがきついという。より一層の細線化やパワーデバイスに対してはAlリボンへの変換を加速するなど、代替ないし金材料の削減に向けた努力を続けていく。

前半はサブプライムローンの影響により横ばいを推移しそうだ。後半はマクロ経済が好転していくとの前提に立った見通しだとしながらも、まだ後半はよく見えないという立場を崩さない。「マイコン市場を見ていると依然として力強さが見えない。5月の連休を過ぎても受注に勢いがなく、特に自動車が弱い」と述べている。

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