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東京2020の公式スポンサIntelがテクノロジーを一部公開

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Intelは、東京オリンピック・パラリンピック(東京2020)の世界規模の公式パートナーであるが、このほど技術の一部を公開した。今回の記者発表会(図1)は、いわば「チラ見せ」程度だが、「東京2020」ではスポーツイベントに利用されるさまざまなテクノロジーが登場しそうだ。

図1 Intelの発表会にはCiscoやCapcomなどからも参加した

図1 Intelの発表会にはCiscoやCapcomなどからも参加した


スポーツには新しいテクノロジーが知らず知らずのうちに入り込んでいる。テニスのラインプレイぎりぎりの判定には360度見渡せるように複数台のカメラで映像を撮り、同期させながら映像を合成する。この手法では、野球などでポール際ぎりぎりにスタンドに入るボールがホームランかファウルかを簡単に判別できる。Intelは360度カメラシステムを開発しているものの、テニスの判定システムには参入できていない。だからこそ、テクノロジーのトップリーダーとして東京2020に力を入れている。

今回明らかになった技術の内、3DAT(3D Athlete Tracking)では、選手の動きのバイオメカニクスを分析するという。水平・垂直方向にスキャンできる4台のポータルカメラを用いて、選手の姿勢と動きを撮影し、IntelのXeonプロセッサで最適化されたポーズ評価アルゴリズムを使って分析する。その分析したデータを再生した映像に重ね合わせて表示するとしている。再生映像を使うため、放送担当のOBS(オリンピック放送機構)とも協力する。分析用のサーバーは、Xeonプロセッサを搭載したアリババのデーターセンターにあり、クラウドインフラを通じて演算する。主に100メートル競技など短距離の素早い動きの種目の再生に使われるとしている。

もう一つはVR(仮想現実)トレーニングだ。これは実際の競技会場にいるかのような没入感が得られるVRトレーニングシステムで、対象とする競技を体験することで、それをフィードバックし、トレーニング効果を上げていく。XeonプロセッサとCoreプロセッサの両方を使い、コストに見合ったシステムとなるという。

Intelはさらに東京2020に向け、音楽もAIを使って5種類作曲した。IntelのAIによる「#2020beat」は、「競技」「日本文化」「人々の暮らし」「自然」などをテーマにして数千種類もの音楽サンプルを学習させ、作曲したもの。ロックバンド、クイーンの「We will rock you」を彷彿とさせるような、呼びかけのベースリズムと応答リズムの2つで構成され、観客が呼びかけに手拍子で応えるような音楽だとしている。

競技場などへの入場には、NECの顔認証システムが使われ、このシステムの心臓部にIntelのCore i5プロセッサが使われている。選手やボランティア、メディア、事務局スタッフなどの入場には、IDカードに加え顔認証システムを使って入場ゲートで長い列を作らないようにする。この顔認証システムには30万人分を登録できるという。

Intelは、格闘ゲームを競い合うeスポーツにも積極的に係る。五輪競技開始前にeスポーツ競技会「Intel World Open In Tokyo 2020」を開催すると発表した。2020年の6月に予選を行い、7月22〜24日に決勝戦が東京台場にあるZepp DiverCityで行われる。Intel World Openでは、カプコン(Capcom)のストリートファイターVとPsyonixのロケットリーグというゲームを行う。

(2019/09/17)

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