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世界・日本両市場で販売を伸ばすディストリビュータMouser

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Mouser Electronicsが世界および日本の両方で業績を伸ばしている(図1)。米国テキサス州ダラスに拠点を置く同社はインターネット時代に入り全世界に向け急速に伸ばしてきた。2019年の半導体はマイナス成長が予想される中、同社の売り上げ予想は世界的に横ばいだが、日本の売り上げは12%のプラス成長を見込んでいる。

地域別販売実績と予測 / マウザー・ジャパンのPOS / 顧客推移

図1 Mouserは世界市場で伸ばしている(上) 日本市場でも売上額、顧客数共に成長続く(下) 出典:Mouser Electronicsとマウザー・ジャパン


マウザー・ジャパンの強気の読みにはそれなりの理由がある。まず、インターネットを活用して米国内から世界中に販売できる体制を築き、日本にマーケティングとサポートオフィスを置き、スタッフを増やしたことである。今やMouserがテキサスの倉庫内に持っている半導体や電子・機構部品の種類は100万点にも及ぶ。エンジニアからの問い合わせといっても、回路設計技術の中身を聞くのではなく、部品の在庫やウェブの操作の仕方など日本人がそばにいたらすぐに解決することばかりだという。だからこそ、オフィスを日本に持つ意味がある。本当に技術的なことの問い合わせはほとんどないようだ。

もう一つは、2017年5月に提携を結んだマクニカとの協力体制を強めるようになったことだ。2019年6月はじめのJPCAショーでは、両社がブースを出展し、EDAベンダーのQuadceptをはじめ、TE、Molex、Analog Devices、太陽誘電、東芝にブースを提供した。Mouserは電子部品のディストリビュータであり、マクニカは半導体を用いた設計に長けている。Mouserの狙う顧客は、研究開発や製品開発、試作部門など新製品や新技術を開発する部門であり、大量生産メーカーではない。このため、潜在顧客はエンジニアであり、設計力を提供する顧客と重なる。

マウザー・ジャパンは、さらにCAD回路設計ツールベンダーであるQuadcept社と2018年7月に提携を結んだ。Quadceptが持つプリント回路基板の設計CADでは、25万点もの部品ライブラリを含んでおり、回路設計者はこれらの部品を使ってプリント基板上に部品を搭載、それらを接続することで回路設計データを作る。しかし、それら部品の名称は部品メーカーがつけたもので、設計者はこれらのメーカー名と部品名をディストリビュータに伝えなければならなかった。しかし、今回マウザーと提携することで、マウザーのパーツ番号がQuadceptのライブラリにも追加できるため、マウザーからワンストップで入手できるようになる。

Quadcept社はDigi-KeyやRS Components、日本のChip 1 stopとも契約しているが、マウザーを使えば、品種の数が多いため、米国製品や日本製品など世界中の製品が手に入りやすい。しかもマウザーの部品データの更新頻度が多く、常に新しい製品が入手できる、とQuadcept社EDAソリューション部門EDAスペシャリストの川井彰氏は言う。

Mouserのように成長している企業は、今後とも売上額と顧客数の伸びに対応して、部品を保管している倉庫の拡張や生産性向上のための自動化を進める必要がある。現在はウェブや電子メール、電話などから注文すると15分で出荷体制が整うという。荷物がある程度揃うと、決まった時間に宅配業者がトラックで部品を取りに来ることになっている。部品を倉庫の棚から収集するのは作業者だが、部品をピックアップする作業は、今年自動化する計画だ。


2018念」計画; 自動化の拡張 - ロボットによる部品ピックアップ

図2 部品のピックアップ作業を自動化する計画 出典:Mouser Electronics


工場の一部で、図2のように、ロボットがマトリクス上を自由に動けるように配置され、部品棚にくると自動的に部品をピックアップし、かごに入れる。アマゾンが商品を取り出すために使っているロボットに近いシステムになるという。2019年末には、自動化システムが立ち上がる予定だとしている。

(2019/06/28)

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