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U-bloxがセンチメートル精度の測位システムを三菱電機と共同開発へ

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衛星による位置計測システムが米軍仕様のGPSから、各国で打ち上げた衛星のGNSS方式へと移行が始まっている。国内でも準天頂衛星システムの提供が始まろうとしている。精度をセンチメートルレベルまで高めていることが最大の特長だ。この測位チップの開発で三菱電機と、GPS測位システム大手のスイスU-blox社が提携した。

従来のGPSは米軍仕様で、精度を予め落としていた。リスク回避のためだ。カーナビゲーションに利用されてから、ディファレンシャル(差分方式)GPS方式を採用、精度を十数メートルに上げているが、ビルや店舗を特定するにはこれでもまだ不十分。さらに今後、重要となる自動運転(自立走行)にとって、精度をセンチメートル級に上げなければ、クルマ同士の衝突は避けられない。


図1 U-bloxト三菱電機が共同で開発するセンチメートル級の測位システム 出典:三菱電機、U-blox

図1 U-bloxト三菱電機が共同で開発するセンチメートル級の測位システム 出典:三菱電機、U-blox


そこで内閣府宇宙開発戦略推進事務局は準天頂衛星システムを使った測位サービスの一環として、「センチメータ級測位補強サービス(CLAS)」(図1)を2018年度から開始する予定を立てている。自動運転には、道路に沿った正確な位置情報はマストであり、そのための測位システムを準備しておこうという訳だ。

センチメートル級の誤差精度を必要とするため、欧州や日本、中国などがGPSに代わる、自前の衛星を打ち上げてきた。衛星による測位信号だけではなく、既知の電子基準点(セルラーネットワークのような基地局)から基準となる信号も利用して精度を上げる。各基地局からの信号をゲートウェイのような主管局から衛星に補強信号として送り、衛星から各基準点に信号電波を送り、その差分をとることで精度を高めている。


図2 U-bloxの共同創業者のDaniel Ammann氏

図2 U-bloxの共同創業者のDaniel Ammann氏


CLASでは、中心周波数1278.75MHzのL6信号を測位補強データとして利用する。衛星からの信号は最低4つ必要だが、準天頂衛星からの信号は補正用のL6を含め、6つ利用するという。2018年4月からのCLASサービスが始まり、数ヵ月して完全認定が可能になったら、外販も行うつもりだとU-bloxの共同創業者の一人Daniel Ammann氏(図2)は言う。


図3 U-blox社の加速度/ジャイロのセンサを含むGNSS受信モジュール

図3 U-blox社の加速度/ジャイロのセンサを含むGNSS受信モジュール


U-bloxは最初の準天頂衛星「みちびき」からのGNSSレシーバチップとして、NEO-M8U(図3)を8月にリリースしている。衛星からの信号が届かないトンネルなどを通過する時でも、内蔵の加速度センサとジャイロセンサを使って、位置を推定するUDR(Untethered Dead Reckoning)航法技術も搭載している。

(2016/10/04)

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