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ON Semi、車載向けCMOSイメジャーを強化

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かつてモトローラからスピンオフしたON Semiconductor社は、買収に次ぐ買収で成長してきた。アナログプロセスとパワーモジュールに関しては旧三洋半導体を買い、最近はCMOSイメージセンサのAptiva社を手に入れた。クルマのイメージングシステム向け半導体はほぼカバーする。新製品開発で自動車向け半導体をさらに強化していく。

図1 車載向けのイメージセンサは2018年まで28%成長 出典:ON Semiconductor

図1 車載向けのイメージセンサは2018年まで28%成長 出典:ON Semiconductor


アナログやミクストシグナルに強いON Semiは、車載半導体の売上金額では世界7位だが、マイクロコントローラのサプライヤを除くと世界2位だという。クルマ用のCMOSイメージセンサでは第1位だとしている。CMOSイメージセンサは数量、金額ともソニーがトップ企業だが、ソニーのCMOSイメージセンサはもっぱらスマートフォン向けで、クルマ用では実績がほとんどない。ON Semiの狙い目は、クルマ用のCMOSイメージセンサ。

同社は、アクティブセーフティ機能、ADAS(先進ドライバ支援システム)などにより、センサとしてのCMOSカメラ市場は急成長すると考え、車載用のCMOSセンサ市場は2014年から2018年までの5年間で年平均28%のスピードで伸びていくと予測する(図1)。ADASやビューイングだけではなく、車内用の後部座席の子供を見たり、眠気防止のためのドライバの顔を検出したりするなどの車内用途も増えてくる。2019〜2020年には1台当たり19個のカメラやイメージセンサが使わせるだろうと予測する(図2)。


図2 クルマ1台当たりに使われるカメラ台数の推移 出典:ON Semiconductor

図2 クルマ1台当たりに使われるカメラ台数の推移 出典:ON Semiconductor


買収したAptivaが保有していた裏面照射型技術を利用したCMOSイメージセンサの新製品をこのほど発表した。このAR0136は、出荷実績600万個以上を持つAR0132の後継チップである。画素数は120万画素で、1/3光学系向けの製品だが、性能が大きく違う。前機種AR0132は表面から光を採り入れるタイプだったが、第2世代製品は可視光感度が40%向上し、低照度でのS/N比は4倍以上向上した(表1)。加えて、近赤外の感度も60%高まっている。ただし、近赤外はナイトビジョン用途ではなく、車内の対象物検出に使う。平均的な暗電流(リーク電流に近い)を1/4を減らしたことで、S/N比が上がった。


表1 前機種(AR0132)と新製品(AR0136)の違い 出典:ON Semiconductor

表1 前機種(AR0132)と新製品(AR0136)の違い 出典:ON Semiconductor


プロセスノードは110nmであり、画素幅も3.75µmと第1世代品と変わらないが、光を採り入れる方法を表面から裏面に変えた。サンプル出荷は2015年第3四半期、量産は2016年第1四半期を予定している。


図3 車載のリアカメラシステムはほぼON Semi製品で揃う 出典:ON Semiconductor

図3 車載のリアカメラシステムはほぼON Semi製品で揃う 出典:ON Semiconductor


カメラシステムでのON Semiは、CMOSイメージセンサだけではなく、パワーマネジメントや、パワーMOSFET、CANトランシーバ、イメージプロセッサ、ESD保護回路なども持つ。図3で唯一持っていない部品は、LVDSトランシーバだけ。

ON SemiはCMOSイメージセンサや画像処理プロセッサなどを得意とするが、レーダーシステムはまだ製品を持っていない。将来、自動運転技術が入り、レーダーやLIDAR(Light detection and ranging)がもっと強く求められるようになると、光学系のCMOSカメラと両方を使うことになるだろう、と同社Automotive Image Sensor Business部門Product Line ManagerのNarayan Purohit氏は述べている。

(2015/07/10)

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