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日本市場はやはり重要、デザインセンターを開設したams

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「やはり日本市場は重要だ。民生ではなく、クルマと産業用の市場は大きい」。こう語るのは、オーストリアams社COO(最高執行責任者)のThomas Stockmeier氏。このほどamsジャパンが東京・品川にデザインセンターを開設した時期に合わせ来日、日本市場へ期待を寄せる。

図1 ams社COOのThomas Stockmeier氏

図1 ams社COOのThomas Stockmeier氏


日本市場に期待するのはかつての民生機器ではない。自動車と産業機器だ。日本には、自動車は言うまでもないが、大田区や東大阪などに見られるような中小製造業が極めて多い。それも独自の産業用機械技術を持った企業が多い。産業用ロボットや自動化の製造装置、計測・計装装置、医療用イメージング機器などの企業も全国に散らばっている。おまけにビジネスマンが働くオフィスビルの照明やオフィス器具・機械なども市場にある。日本は産業機器の強い国でもある。

こういった日本市場を狙い、アナログ・ミクストシグナル半導体の専門メーカーのamsは、これからの成長市場として、IoT(Internet of Things)で代表されるように「センサ革命」に注力する。自動車や産業機器はセンサの塊といっても差し支えないくらいセンサの数は多い。amsはセンサ自身と、センサからの信号を処理するASIC回路、さらにはその信号の意味を翻訳するためのアルゴリズムの開発などを行っている。

さらに日本のユーザーは半導体プロセスの微妙なカスタマイズで製品の差別化を果たしてきた。IDMでもあるamsはプロセスを持っているからこそ、日本の顧客にも対応できると主張する。また、ASICにこだわるのは、FPGAのようなプログラマブルデバイスはコピーされる恐れがあるが、ASICだとコピーが難しく差別化しやすいためだという。

今後、IoT時代には、ウェアラブルやスマートフォンなどの端末に何種類ものセンサが組み込まれる。多数のセンサからの信号を受け取り、マイコンやコントローラにシリアルインターフェースで信号を送るためのセンサハブIC(信号処理回路)が最近注目を集めている。センサハブICはいろいろなセンサに対応するならFPGAなどのプログラマブルICで実現し、数量が多く回路が確定したICはASICで実現するという。

品川のデザインセンターでは、回路設計はもとより、チップの試作評価、品質チェックなどの業務も行う。回路設計はエンジニアの机で行う(図2)が、チップの評価や品質チェックなどに対してはラボを用意した。問題が起きた場合には、車載顧客へ24時間以内に初期不良解析のレポートを提供する。ただ、日本で十分にできない解析についてはフィリピンオフィスに設置した不良解析ツールを利用する。


図2 ams社の回路設計エンジニア用ブースの一例

図2 ams社の回路設計エンジニア用ブースの一例


これまでに、FAE(フィールドアプリケーションエンジニア)や品質保証業務などを含めたセールス部門(図3)は従来の9名から12名に拡大し、これまでいなかった回路設計エンジニアは9名採用した。5年後にはエンジニアを20名くらい採用したいとStockmeier氏は語る。


図3 セールスオフィスの環境

図3 セールスオフィスの環境


(2015/05/15)

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