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半導体商社マクニカ、個人モノづくりビジネスに参入

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3次元CADや3次元プリンタなどの普及が進み、個人がモノづくりで起業を支援し、趣味を追求できる環境が整いつつある。米国では、ガレージ起業を支援するMaker Faireなどの団体が現れている。国内でも同様のイベントが開催された。個人モノづくり市場を狙った支援システムを半導体商社のマクニカが立ち上げた。

図1 マクニカが立ち上げたオンラインストア2.0 出典:マクニカウェブサイト

図1 マクニカが立ち上げたオンラインストア2.0 出典:マクニカウェブサイト(https://store.macnica.co.jp/)


「マクニカオンラインストア2.0」と呼ぶ、このウェブサイトは、半導体をウェブから購入したり、それを使うための情報(アプリケーションノートやホワイトペーパーなど)を提供したりするだけではない。個人の好みや、よくアクセスする分野の商品やサービスの情報も提供する(図2)。インターネットと工業デザイン、アートとを結びつけるチームラボ社と共同で、サーチリコメンドエンジンを開発・導入した。


図2 ユーザーの好みからお薦めの商品を推奨する 出典:マクニカウェブサイト

図2 ユーザーの好みからお薦めの商品を推奨する 出典:マクニカウェブサイト


例えば、個人でロボットなどのモノを製作する場合、まずはエレクトロニクス回路ボードを作り、半導体や部品を搭載してその動作を確認し、出力のアクチュエータ(モータや機械部品など)につなげることが欠かせない。半導体商社が、個人のモノづくりである「メイカームーブメント(Maker Movement)」を支援するために、モノに必要な電子回路や、キーとなる半導体を選択・推奨する。

かつて、Apple社は、Steve Jobs氏とSteve Wozniak氏の二人がガレージにてコンピュータを作り始めたことから始まった。サイクロン掃除機を発明したDyson社のJames Dyson氏も同様にガレージビジネスから出発した。これらの例は、古くて珍しい例だが、こういった個人がモノづくり企業を起こすための仕掛けを、今用意すればモノづくり起業が容易になる。このビジネスがメイカームーブメントである。

アイデアを具現化するための半導体として、簡単にカスタマイズできるデバイスが望ましい。FPGAやアナログマイコンなどはこういった要求に当てはまるデバイスだ。少量でも安価にカスタマイズできる半導体チップである。マクニカはAlteraと共同でFPGAを使った開発ツールMpressionをすでに持っている。最近もAlteraのCPUコアとFPGA回路などを搭載したSoCのMAX10シリーズの開発ツールMpression Odysseyをリリースしている(参考資料1)。Cypress SemiconductorのpSoCアナログマイコンや、ルネサスエレクトロニクスのSmartAnalogなどもこういった個人のモノづくりを支援できる。これらの半導体で、ハードウエアとソフトウエアのカスタマイズが可能になる。

こういった個人モノづくりを支援するための設計ツール、Mpression for Makers製品(Uzukiと呼ぶ)をマクニカは販売している。これは、開発キットMpressionに Silicon Labs社の温度・湿度センサや近接センサ、Analog Devices社の加速度センサや、BroadcomのBluetooth Smartモジュールを搭載したボードである。このボードを搭載した家庭用の見守りロボットを製作できる。iPhone用のアプリをインストールすれば、外出先からでもiPhoneを通して家庭の様子をこれらのセンサで知ることができる。


図3 デバイス提案や技術サポートもある 出典:マクニカウェブサイト

図3 デバイス提案や技術サポートもある 出典:マクニカウェブサイト


簡単な電子回路ボードだけではなく、オンラインを使って、ユーザーのやりたいことを聞き、最適なデバイスやボードを提案するサービス、推奨する技術情報を提供する技術サポートも提供する(図3)。しかも、マクニカが出荷するデバイスや全製品の品質を保証する。加えて、同社は配送するロジスティクスセンターを持っているため、翌日配送が可能だとしている。

参考資料
1. 高級なFPGAをもっと使いやすく、開発キットに注力するAltera、マクニカ (2015/02/20)

(2015/05/08)

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