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カーエレ展にみるルネサスのソリューション提案

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1月中旬、東京国際展示場で開催された、国際カーエレクトロニクス技術展(図1)では、ルネサスエレクトロニクスがチップをほとんど見せずにチップで何ができるか、というソリューション提案を示した。これまでのルネサスならチップを見せ、そのスペックやプロセスを訴求していたが、今回は、世界の半導体企業と同様、ソリューション提案戦略に変わった。

図1 2015年1月中旬開催されたカーエレクトロニクス展の会場 出典:リードエグジビションジャパン

図1 2015年1月中旬開催されたカーエレクトロニクス展の会場 出典:リードエグジビションジャパン


ルネサスは昨年9月に開催したプライベートイベントDevConで、コックピットと称する未来のクルマのインパネを示した(参考資料1)。さらにRH-850フラッシュマイコンの性能を上げたチップの発表を昨年11月に行った(参考資料2)。いわばコックピットに集めるIT系技術と、ハイエンドマイコンで制御系の両方を強みとして持っていることを訴求した(参考資料3)。今回の展示会では、それらを組み合わせてADAS(先進ドライバ支援システム)システムをワンストップショップで製作可能なことを示した。

自動運転技術の最初の段階に相当する、ADASの自動ブレーキシステムでは、ITと制御が必要となる。システムLSI(R-CAR V2H)では、カメラあるいはミリ波レーダーを使って人やクルマを検出すると、それらを四角で囲み、その対象物が動いても追跡するという演算を行う。距離はその四角い枠が大きくなると近づくと判断し小さくなると遠ざかると判断する。これ以上危険だというところまで近づくと、このシステムLSIはマイコンなどの制御IC(RH-850/P1x-Cなど)に連絡する。マイコンは、ブレーキを動かすためのモータを動作させる。実際には、マイコンはパワー半導体を駆動するためのドライバ回路に信号を送る。ドライバ回路はパワー半導体を駆動し、パワー半導体がモータに電流を送る。

ルネサスはシステムLSI(R-CAR)とマイコン(RH850)の二つを持っており、かつ自動車システムを理解していることが最大の強みとなっている。さらに、これらのLSIやセンサとのつなぎとなるアナログICやパワー半導体もある。ただし、センサは持っていない。このため、センサメーカーとコラボレーションしていく。


図2 ルネサスは車載情報のIT系SoCと、車載制御のマイコンの両方を持っている 出典:ルネサスエレクトロニクス

図2 ルネサスは車載情報のIT系SoCと、車載制御のマイコンの両方を持っている 出典:ルネサスエレクトロニクス


この衝突防止システムや、視点変更できるサラウンドビューシステムなどが可能なシステムLSIとしてR-CAR V2H(参考資料4)を2014年8月に発表したが、以来国内外でデザインインを得ていると同社執行役員の大村隆司氏は言う。1月のInternational CESの前に欧州で11月に開催された、Electronicaではティア1だけではなくOEM(クルマメーカー)との商談もあった。ルネサスは、この展示会で商談ルームを10室程度用意し、価格交渉を含めた現実の商談を行ったという。半導体メーカーのルネサスが直接の顧客ではないOEMと話をするのは、OEMがテクノロジーをティア1サプライヤからの推薦ではなく、自分でテクノロジーを決めたいからだ。一方で、ルネサスにとってもOEMと直接話をし、同社の半導体を使ったソリューション提案すればOEMに理解してもらえる。

ルネサスは顧客やOEMとのミーティングでチップのロードマップを示した。ElectronicaやCESでのミーティングを通して、R-CARシリーズの第2世代製品の採用が決まったという。この製品は2017〜2018年発売のクルマに搭載されると見られている。さらにその先、2020年のクルマへの搭載を目的として、第3世代の製品開発にも力を入れる。2014年12月のIEDM(International Electron Device Meeting)で発表した16nmFinFETを使ったSRAM技術は、この第3世代のR-CARへの集積を目指したものだという。これはOEMからの期待に応えたものだとしている。

ルネサスのソリューション提案は、半導体チップだけにとどまらない。これまで培ってきたクルマの機能安全とセキュリティのノウハウである、ソリューションを提供することもカーエレ展で発表した。このソリューションは、機能安全規格ISO26262と、セキュリティを組み込んだソフトウエアだけではなく、確証方策レポートや検証レポートなども出力する。

このソリューションは、ユーザーがハードウエアの安全要求やセキュリティの供給を構築する場合にハードウエアと密接にかかわる部分のソフトウエアを含んでいる。CPU自己診断をはじめとする各種の診断やセキュリティのソフトウエアなどである。セキュリティでは、そのアプリケーションノートや安全分析、脅威分析なども含む。このソリューションがあれば、ユーザーは機能安全とセキュリティに関して開発が容易になる。ルネサスは半導体チップだけではなく、ソフトウエアも提供するソリューションプロバイダーになったといえよう。

参考資料
1. ルネサス、独自イベントDevConを開催、実力を示す (2014/09/03)
2. ルネサス、車載制御を1種類のマイコンで可能に (2014/11/12)
3. ルネサス、ITと制御の両方でクルマを賢くする (2015/01/13)
4. 走行中も周囲の歩行者を映し出す、ルネサスのサラウンドビューLSI (2014/08/29)

(2015/01/20)

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