セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト
セミコンポータル

旧三洋半導体部門、ON Semiに買収され海外売り上げを急増

|

かつてMotorolaの半導体部門から独立したON Semiconductorが2011年に旧三洋半導体を買収し、SSG(System Solutions Group)とした。旧三洋半導体の海外売り上げの比率は10%程度だったが、SSGとなって海外比率は50%を超えた、とON SemiのSSG担当シニアVP兼ゼネラルマネージャーのMamoon Rashid氏(図1)は言う。

図1 ON Semiconductor SSG担当シニアVP兼ゼネラルマネージャーのMamoon Rashid氏

図1 ON Semiconductor SSG担当シニアVP兼ゼネラルマネージャーのMamoon Rashid氏


1999年、Motorolaはマイクロプロセッサ関係をFreescale Semiconductorへ、標準品をON Semiconductorへと分け、半導体部門を切り離した。FreescaleがPowerアーキテクチャなどで注目を浴びる一方、ON Semiは標準品でスタートしたため目立たなかったものの製品ポートフォリオを広げて価値を高めてきた(図2)。ゲートアレイで一世を風靡したLSIや、アナログの雄Analog Devicesのパワーマネジメント部門などを買収、最近ではイメージセンサ企業を3社の部門を買うなどM&Aを繰り返しながら成長してきた。独立直後は12億ドルの売上だったが、2014年は約30億ドルにも成長しそうだ。


図2 戦略的な企業買収で成長してきたON Semiconductor 出典:ON Semiconductor

図2 戦略的な企業買収で成長してきたON Semiconductor 出典:ON Semiconductor


そのようなON Semiが三洋電機半導体部門を買収したのは2011年。設計センターはもちろん、新潟と群馬の工場も活用している。三洋の強かったパワーマネジメントとミクストシグナル製品をON Semiの製品ポートフォリオに取り込んだだけではなく、二つの工場も旧三洋の製品だけではなく、ON Semiの他の部門の製品もいわば、社内ファウンドリのように活用することが今年から始まった。

ON Semi日本法人代表取締役社長の雨宮隆久氏は、旧三洋と日本法人とのシナジーが現れ、FAE(フィールドアプリケーションエンジニア)と営業、ソリューションエンジニアリングセンターとのコラボレーションを通じて、前年同期比2~3倍のデザインイン達成金額、新規案件獲得金額は同70%増、新規製品提案金額は同5倍という優れた業績を達成した、と述べている。日本のOEM(顧客)がたとえ海外進出してもON Semiのサプライチェーンを活用することで、地球上のどこにいてもフォローできることも強みになったとRashid氏は言う。現在、PO(purchasing order)発注書の70%は海外からきているそうだ。


図3 ICは高くてもシステムコストが下がる 出典:ON Semiconductor

図3 ICは高くてもシステムコストが下がる 出典:ON Semiconductor


SSGグループが持つ製品例を挙げると、車載市場でのファンやポンプなどのブラシレスDCモータを駆動するためのIPM(Integrated Power Module)を使えば、駆動ボードのサイズと重量は60%小型軽量になるだけではなく、システムコストは従来の15.5ドルから11.4ドルと、4ドルも安くなることを訴求している(図3)。半導体ICの値段が高くても、システム全体のコストが安くなる、という売り方は海外メーカーが得意とするところ。顧客からの値下げ要求を受け入れるだけでは、ICの価値を下げることになるため、営業とエンジニアとのコラボが奏功したといえる。

三洋電機がパナソニックの傘下に下った時に、半導体部門は中に浮いた格好になっていた。しかし、ON Semiがそれを買収したことで三洋半導体は息を吹き替えした。しかも、グローバルな販売・サプライチェーンを持つため、旧三洋半導体部門であるSSGのグローバル比率は高まった。日本企業がグローバル化するうえでのヒントになりそうだ。

(2014/12/11)

月別アーカイブ

Copyright(C)2001-2024 Semiconductor Portal Inc., All Rights Reserved.