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Agilent、予防メンテナンス市場を狙ったハンディ計測器を発売

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IoT(Internet of Things)やIndustrial Internetの時代に適した予防メンテナンス市場を狙い、Agilent Technologiesがハンドヘルドタイプの赤外線(IR)サーモグラフィと絶縁抵抗計を開発した。サーモグラフィは日本アビオニクスとの共同開発。

図1 Agilentが発売するQVGA相当のサーモグラフィ 出典:Agilent Technologies

図1 Agilentが発売するQVGA相当のサーモグラフィ 出典:Agilent Technologies


工場のプラント機器や大電力の電気設備では、故障を知らずに放置していると火災や爆発などの災害を起こす恐れがある。そうなると直接の被害だけではなく、間接的に生産できなくなることへの収益的な被害ももたらす。そこで、故障する前に大電力設備をモニターし、異常な温度上昇や電気的なショートを発見して被害を食い止めることが求められる。IoTやIndustrial Internetでセンサによってワイヤレスにモニターする手はあるが、センサを設置しにくい場所や隙間もある。

ハンディタイプのサーモグラフィだと、測定したい場所にカメラを向ければ温度を測定できる。このサーモグラフィ新製品U5855A(図1)は、解像度160×120ピクセルのIR(赤外線)検出器を搭載しているが、画像処理を施すことで4倍の320×240画素相当の解像度を実現している。画像処理には、連続して撮影した複数のIR画像を再構築することで、にじみやノイズを除去し解像度を上げたという。

測定できる温度範囲は最大350℃で、温度計測誤差は±2℃または±2%。サーモグラフィ画像を撮影後、温度情報を時間軸に対して捕捉し、解析・ソフトウエアで即座にレポートを作成する。サーモグラフィ製品には無線機能はついていない。


図2  Agilentが発売する5機種の絶縁抵抗計 出典:Agilent Technologies
図2  Agilentが発売する5機種の絶縁抵抗計 出典:Agilent Technologies


もう一つの新製品である絶縁抵抗計U1450A/60Aファミリ(図2)は、10V〜1.1kVの電圧を測定できると同時に4.5桁のOLEDディスプレイを持つデジタルマルチメータ。絶縁抵抗を測定するのは、漏電のチェックや設備の絶縁不良を検出するためである。Bluetoothを内蔵しており、最大100m離れたところまでデータを送ることが可能。iOSやAndroidにも対応し、スマートフォンやタブレットでデータを確認できる。製品は5機種ある。

サーモグラフィと同時に使うシーンとしては、サーモグラフィで異常な温度を検出し、絶縁抵抗計で絶縁が十分かどうかをチェックし、測定データをBluetoothで離れた場所に送る。そこで部品や部材の交換を行うかどうかの判断ができる。サーモグラフィの単価は税抜きで40万4332円、絶縁抵抗計は6万2127円〜10万9115円。

これらのハンドヘルド測定器は、人間が計測する予防システムであるが、最近はセンサを多数散りばめるワイヤレスセンサネットワークの予防診断システムが提案されている。これに関して、Agilent社の他の部門が検討しているという。

(2014/06/04)

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