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スマホで我が社は何ができるか、考えてみよう

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これからの半導体ICを考える上で、成長著しい応用の一つがスマートフォンである。スマホを軸にさまざまな応用、さまざまな半導体を米国企業が生み出している。アプリケーションプロセッサやMEMSセンサだけではない。その実例をGlobalpress Connection主催のElectronics Summit 2013から紹介しよう。

図1 Silicon Labsが発売したデジタルラジオチップ 出典:Silicon Labs

図1 Silicon Labsが発売したデジタルラジオチップ 出典:Silicon Labs


モバイル端末への搭載を狙い、Silicon Labs社は1チップのFMデジタルラジオ受信ICを発売した(図1)。このチップSi468xは、一般のデジタルラジオだけではなく、スマホのドッキングステーション、スマホやタブレットそのものにも応用される可能性がある。1チップの中にRF回路、FMチューナ、デジタル復調回路、シリアルフラッシュインターフェースなどを集積している。FMアンテナをつなげば、D-A変換機からのオーディオ出力を通してラジオ放送を聞くことができる。スマホやタブレットにデジタルラジオ放送受信機を載せると、通信料金は発生せず、トラフィックを緩和してくれる。欧米ではすでにサービス開始されているが、日本ではこれからサービスが始まる。

このデジタルラジオチップには日本の1セグ方式は含まれていない。米国のHDラジオ、欧州やオーストラリア、香港などのDAB方式などに対応している。加えて、スマホやタブレットなどのモバイル端末に使われるアプリケーションプロセッサに直結できるというメリットがある(図2)。米国メーカーが自国にも海外にも売れるIC半導体といえる。


図2 スマホ用の回路ボードにそのまま実装できる 出典:Silicon Labs

図2 スマホ用の回路ボードにそのまま実装できる 出典:Silicon Labs


プログラマブルロジックを開発しているQuickLogic社のCSSP(Customer specific standard product)製品は、スマホやタブレットに使われる。同社は、モバイル用のアプリケーションプロセッサに、カメラやディスプレイ、メモリ、無線回路(RF+モデム)、多数のビデオ方式に合った回路などをつなぐためのインターフェース変換回路を提案している(図3)。


図3 スマホの中の回路はすべてアプリケーションプロセッサにつなぐことができる 出典:QuickLogic

図3 スマホの中の回路はすべてアプリケーションプロセッサにつなぐことができる 
出典:QuickLogic


このCSSPチップは、SRAMベースのFPGAとは違い、アンチフューズ方式のOTP不揮発性メモリをプログラム素子として使う。一度しか書き込めない。つまり書き換えはできない。メモリ部分の面積が小さく、したがってチップ面積が小さいため、コストは安い。しかもサムスンのように次々とモバイル端末新製品を発表するメーカーにとって、短期間で新機能を追加できる。


図4 インターフェースをCSSPで変換すればどのような新機能にも対応できる

図4 インターフェースをCSSPで変換すればどのような新機能にも対応できる


QuickLogicが狙うのは、新機能とアプリケーションプロセッサを結ぶインターフェース回路である。例えば、図4のようにメモリコントローラ(写真左)とカメラモジュールや光センサ(写真右)などを結ぶインターフェース変換に使う。アプリケーションプロセッサのUSBと、無線回路からのSDIO(Secure Digital Input/Output)とをつなぐインターフェース変換にも使う。

アナログとミクストシグナルを得意とするExarは、スマホやタブレットからクラウドに保存するデータがあまりに膨大になることに対処するため、クラウド側でデータを圧縮してさらに暗号化するというシステム向け半導体を開発している。今後のIoT時代をにらんだ技術といえる。


図5 ハードに強いExarとソフトに強いAltiorのM&A 出典:Exar

図5 ハードに強いExarとソフトに強いAltiorのM&A 出典:Exar


Exarは、データ圧縮とセキュリティを強化するため、このほどソフトウエアに強いAltior社を買収した(図5)。Exarの持つ半導体ハードウエアと、Altiorの持つソフトウエアを組み合わせることで、アプリケーションに関係なく全てのファイルを圧縮できるようなファイルシステムを構成できる。

モバイル通信インフラ機器への応用を狙ったVitesseは、キャリヤグレードのイーサネットインターフェーススイッチLSIを設計している。1GbpsのSGMII(Serial Gigabit Media Independent Interface)12本と、10GbpsのXAUI/XFIインターフェース2本、PCI ExpressやDDR2/3などの汎用インターフェースも備えたVSC7438チップを発表した。


表1 Globalpress主催のeSummit 2013での発表内容

表1 Globalpress主催のeSummit 2013での発表内容


eSummit 2013(表1)では、このほか、開発ツールやデザインサービス、MEMS製品に加え、スタンフォード大学教授による応用を意識したナノテク研究についても発表があった。

(2013/06/18)

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