セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト
セミコンポータル

自社が被害に遭遇しながらも義援金を寄贈する、わが日本の半導体・電子産業

|

半導体産業における地震被害の実態が少しずつ判明してきたと同時に、被災者支援を行う活動も半導体エレクトロニクス産業から生まれてきている。操業を開始した半導体メーカーも現れた。

エルピーダメモリのパッケージングおよびテスト工程の国内拠点である秋田エルピーダメモリが3月16日より操業を開始したと、エルピーダが発表した。エルピーダのDRAM生産のパッケージ組み立てとテスト工程の9割以上が海外であるため、今回の操業停止のビジネスへの影響は軽微だとしている。

秋田エルピーダは日本海側にあることと、パッケージング工程であることから、地震の影響はナノレベルの精密装置の多い前工程とは影響度が違う。震源地に近い太平洋側の工場はまだ操業開始には至っていない。

ルネサス エレクトロニクスは国内7拠点で生産を停止していると発表していたが、16日の第三報によると、7拠点のうち山形県鶴岡市にあるルネサス山形セミコンダクタ(前工程)と青森県北津軽郡にあるルネサスハイコンポーネンツ(後工程)では被害はないが、生産を停止した。今は、計画停電のため立ち上げ準備中だ。

比較的被害の少なかった工場は、青森県五所川原市にあるルネサス北日本セミコンダクタ津軽工場(前工程)と、群馬県高崎市にあるルネサス エレクトロニクス高崎工場(前工程)、山梨県甲斐市にあるルネサス エレクトロニクス甲府工場(前工程)、山形県米沢市にあるルネサス北日本セミコンダクタ(後工程)の4つの工場である。これらは建屋などに一部被害ありとしており、生産設備にも被害があるとしたのは甲府工場と米沢工場の二つで、高崎工場では生産設備の被害はない。津軽工場では確認中だ。

最も被害の大きかったのは太平洋に面した那珂工場であり、建屋、生産設備共に被害があり、完全に停止状態だ。比較的被害の少ない工場は、計画停電終了後立ち上げを開始する予定になっている。那珂工場は電力が回復した後でクリーンルーム内の状況を確認する予定としており、津軽工場は電力回復後に設備状態を調査する。

宮城県黒川郡にあるロームグループのOKIセミコンダクタ宮城は、水と電力が復旧していない状況なのでこれらのインフラ回復後をにらみ早期の立ち上げに向けて準備を進めているとしている。同時に、ロームの京都本社工場とローム浜松で代替生産できるように移転を進めている。

三洋電機の半導体工場を買収したオン・セミコンダクターは、三洋が所有していた新潟工場は停電がなく、群馬工場は停電があったが、製造への影響を確認中だとしている。オン・セミが所有している会津の6インチウェーハ工場は停電がなく設備への物理的損傷はわずかだとしている。6000名の従業員は今回の地震と津波による負傷者は一人も出なかったとしている。

LEDを生産しているスタンレー電気は、子会社のスタンレー宮城製作所とスタンレーいわき製作所において損傷が見られ、復旧に向け情報を確認中とのことである。ここでも人的被害はなかったとしている。

富士通セミコンダクターは、岩手工場と会津若松工場を東北地方に持っており、子会社で後工程の富士通インテグレーテッドマイクロテクノロジは宮城工場と会津若松の本社工場を持っている。また前工程の富士通セミコンダクターテクノロジの本社工場は会津若松にある。これらは工場・事務所で天井や壁面、配水管の破損など一部の建屋と生産設備が損傷し、操業に影響が出ていると14日に発表して以来進展していない。

東芝からも続報がきている。東北地方にある岩手東芝エレクトロニクスでは建屋関係は天井と壁、エアコンなどに損傷があり、修理中で復旧にはしばらく時間がかかる見通し。装置関係は全て停止中。一部の装置で位置ズレを起こし、被害状況をさらに確認中だという。IT関連は生産管理システムがダウンし、システムの再稼働は3月22日の見通し。インフラ系では一部送電が回復し工業用水も一部受給できるが、ガスは調達困難だとしている。また、物流の輸送手段の確保も困難だという。輸送を確保できれば来週以降に在庫分を一部出荷できる予定である。人的被害はない。

被災者に対する義援金の活動も活発に行われている。富士通は1億円を送ると共に、支援物資も提供することを決めた。ロームも義援金1億円に加え、全従業員からの募金活動も行いそれも提供する。青色LEDの豊田合成は5000万円を寄付し、パナソニックグループは義援金3億円に加え、支援物資としてラジオ1万台、懐中電灯1万個、乾電池50万個、ソーラーランタン4000個を寄贈する。

すでに東芝や日立、アドバンテスト、エルピーダがそれぞれ5億円相当、3億円、1億円、2000万円相当の義援金を送ることを伝えた(参考資料1)が、JEITA(電子情報技術産業協会)も会員企業に依頼し、以下の物資の寄贈を決めた;
シャープとソニー、東芝、パナソニック、日立製作所、三菱電機からテレビ750台、DXアンテナと日本アンテナ、マスプロ電工、八木アンテナからUHFアンテナ400本とBSアンテナ100台、ソニーとパナソニックからラジオ4万台である。

参考資料
1. 巨大地震発生、半導体工場は稼働を即時停止し、状況把握に懸命 (2011/03/14)

(2011/03/18)

月別アーカイブ

Copyright(C)2001-2024 Semiconductor Portal Inc., All Rights Reserved.