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TIの美浦工場の被害は相当大きく、再稼働は最短でも5月になりそう

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米テキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments)社の日本における工場の一つ茨城県稲敷郡美浦村にある美浦工場が今回の東北地方太平洋沖地震の影響により相当の被害を受けたことを明らかにした。半導体工場の被害状況を具体的に調べ、いつ回復できるかを示したのは地震が起きて以来、これが初めてである。

図 TIの美浦工場 出典:Texas Instruments社

図 TIの美浦工場 出典:Texas Instruments社

それによると、最短でも5月から複数のラインにおいて段階的に生産を再開する見込みであり、7月中旬に全面的に再稼働し、その結果に基づく半導体チップの出荷は9月を見込んでいる。TIは電力会社が実施する計画停電や、節電などへの協力を優先するとしており、同時に工場の再建を図るという考えだ。

回復までに、美浦工場から他の工場へ速やかに移行する計画を進めており、現在のところ美浦工場におけるウェーハ処理量の60%を代替できる製造拠点を特定できるまでになったという。さらに生産移行を進め、この比率を引き上げていく計画だ。

現在の美浦工場における被害状況は以下の通り;
1. 化学薬品やガス、水、空調を供給するためのインフラシステムが破損したため、その修理に約3週間かかる見込み
2. 電力の安定供給はまだ見えていない
3. 漏水が発生したため、一部の製造装置に被害をもたらした。これにより製造装置の再稼働が不透明になった
4. 処理中のウェーハの一部に損傷があったが、その40%は顧客に提供できる状態に回復できる見込み
5. 美浦工場の建屋にも若干の損傷があったが、構造上は問題ない

TIは再稼働に向けて、その回復作業には美浦工場に加え、日出工場、ダラスのTI本社およびマレーシア工場の社員から編成したチームが担う。さらに投入すべき人員も追加する予定である。

美浦工場では2010年度においてTI全体で生産量の約10%(金額ベース)を生産しており、その1/3以上はDLP製品(MEMSを使ったプロジェクタ用のシリコンデバイス)、残りが電源ICなどのアナログ半導体製品で構成されている。

TIは東北地方の会津にもスパンションから買収した会津工場があり、ここでも地震の影響を受けたが、製造装置はすでに再稼働し、電力の安定供給が確保され、さらに他の予期しない要因が発生しなければ、4月中旬までに全面稼働ができる予定だとしている。大分県にある日出工場は損傷がなく通常稼働している。

参考資料
Update from TI on earthquake damage to factories in Japan

(2011/03/15)

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