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英国特集2011・ワイヤレス&モバイルのベンチャー育成に力を入れる英国

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英国は国を挙げてワイヤレスとモバイルビジネスを支援し、生まれて間もないベンチャーや起業家たちを勇気づけている。3GSM Congressという名称からスタートしたMobile World Congress(MWC)では、開催当初からUKパビリオンを設置、自社でブースを出すほどの資金力のないベンチャーをここに集めてきた。

図 MWC2011の会場入口付近にある左側のテント館の一つがUKパビリオン

図 MWC2011の会場入口付近にある左側のテント館の一つがUKパビリオン


最初の3GSM Congress時代を含めMWCは、9年目を迎えた。開催地であるスペインのバルセロナに無名の英国ベンチャーたちが革新的な技術をもって集まった。これまでの取材(参考資料1)をさらに上回るイノベーションであふれている。

なぜ、このワイヤレス・モバイル・半導体の分野にベンチャーが集まるのか。英国にはWireless 2.0という出会いの場がある。半導体産業が盛んな南西部バースを拠点とする業界団体Silicon South Westが主催するこのセミナーでは、この分野に携わる企業の人たちがネットワークを作ろうとして集まる。ここでコラボレーションの相手を探し、自社の不足分を補う。Silicon South WestのCEO Simon Bond氏は、コラボできる人脈の形成が何よりもビジネスを成功へ導くと考えている。

これまで3年間で3回英国を取材し、英国が半導体・エレクトロニクスに軸足を定め、これからの成長をにらみながら産業を育成している実態を伝えてきた(参考資料2)。英国は半導体がこれからの成長産業である(参考資料3)ことをしっかり認識しており、将来に向けた再生可能エネルギーやスマートグリッド、ヘルスケアデバイスなどのカギとなることも知っている。だからこそ、半導体関連ビジネスを後押しする。これが国家の繁栄につながるからだ。

スマートグリッドやヘルスケア技術に共通する技術がワイヤレスや通信、モバイル技術であり、それらの中核となるのが半導体ある。だからこそ、通信技術にも力を入れ、国としてのパビリオン館を建てた。ここに半導体に関連するベンチャーや小さな企業を集めた。

今回の「英国特集2011」では、こういったベンチャー企業や、新規プロジェクトM2M(machine to machine:データ通信モジュールを利用するサービスや技術)のエコシステム、自身でブースを設けた既存の企業などの今を紹介する。これまで3回の英国特集では英国内を移動しながら取材するという手法をとってきたが、今回はMWCの会場にとどまり、出展している企業を取材した。ここに集まったのはワイヤレスとモバイルに関連する、材料メーカー、ソフトウエアメーカー、半導体メーカー、IPベンダー、ハードウエア機器メーカーなどだ。中には、従来は電子機器を設計・製造していたメーカーが自社の得意な設計・ソフトウエアに専念して電子機器のハコは台湾メーカーに作ってもらう、というようなビジネスモデルに変えるところも現れた。

この特集では、MWC2011に集まった企業を取材したため、カバーしきれない企業も当然ある。それを承知の上で、ここに集まった企業の持つイノベーティブなテクノロジーをこれから「英国特集2011」として紹介していく。

参考資料
1. 英国特集、セミコンポータル 
2. 津田建二「欧州ファブレス半導体産業の真実」、日刊工業新聞社発行
3. 同上「知らなきゃヤバイ! 半導体、この成長産業を手放すな」、日刊工業新聞社刊

(2011/03/10)

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