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新生ルネサス、新SoCパートナープログラムを作成、統合を力に変える道筋示す

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SoCビジネス戦略のアウトラインを発表したルネサスエレクトロニクス(関連資料1)は、課題となっているサードパーティへのコミットメントをどうするか、に関する一つの答えを見出した。R-Carコンソーシアムフォーラム2010において、同社MCU事業本部自動車システム統括部自動車情報システム技術部の平尾眞也部長は新SoCパートナープログラムを明らかにした。

図1 新SoCパートナープログラム

図1 新SoCパートナープログラム


参考資料1ですでに伝えたように、ルネサスは新統合SoCプラットフォームを発表しているが、同社が持つ具体的なR-Mobile、R-Car、R-Homeの三つのコアテクノロジのパートナープログラムを今回、明確にした。パートナーにコミットすることで将来に渡るソフトウエア開発やIPベンダーなどのパートナー企業を囲い込むことが最大の狙いである。パートナーがルネサスから離れてしまえば、ルネサスのSoCビジネスは成り立たなくなる。いかに彼らに安心感を与え、将来に渡ってソフトウエア開発に協力してもらえるかによって、ビジネスは大きく左右される。

ルネサステクノロジとNECエレクトロニクスが統合したことによって、それぞれが持っていたSoCは統合される訳だが、ルネサスは図1のようなプログラムを作った。まず、ルネサスのSoC開発に協力してもらうサードパーティには全員「新SoCパートナープログラム」に加入してもらう。その下に分科会のような組織のR-Mobileコンソーシアム、R-Carコンソーシアム、R-Homeコンソーシアムに参加する。パートナーがそれまで得意なテクノロジのコンソーシアムに加入すればよい。旧NECエレ系のplatformOViAに参加していたパートナーは自分で各コンソーシアムを選択する。

全体のプログラムに入っていることで、横のつながりも深めることができる。例えば図2に示すように、カーエレクトロニクス中心のR-Carでさえ、ETCや通信技術が入ってくる。通信モデムに3.9世代の携帯通信規格LTEを生かし、インターネットと連動しクラウドコンピューティングを利用してアプリケーションとつなぐことがこれからは当たり前になってくる。R-CarとR-Mobileは当然つながらなければならない上、R-Mobileがけん引してきた低消費電力技術はクルマが電気自動車になるとR-Carでも同じように低消費電力化はマストになる。つまり技術的にも似てくる。


図2 R-Carコンソーシアムに通信技術が入ってくる

図2 R-Carコンソーシアムに通信技術が入ってくる

これまで、両社の統合によってパートナーにとっては不安にかられ、実は思ったほどのパートナー数は得られていなかった。今回フォーラムを開いたR-Carコンソーシアムでは2009年は70社弱の会員数だったが、昨年のこのフォーラム(SH-Naviコンソーシアム)では2010年は100社を目指すと言っていた。しかし、今のところ79社しか参加していない。

今回、R-Car製品としてのロードマップを示し、両社の統合によってカーエレクトロニクス向けのSoCはローエンドからハイエンドまで、旧ルネサスのSH-Naviと旧NECのEMMA Carをうまく統合する道筋をパートナーに示した。これにより、R-Car製品シリーズは、R-Car HファミリとR-Car Mファミリ、R-Car Lファミリという形でそれぞれハイエンド、ミッドレンジ、ローエンドという製品の方向が見えてきた。ルネサスはスケーラブルなソリューションを提供できるとしている。


図3 R-Car製品のロードマップ

図3 R-Car製品のロードマップ


今回、新しいパートナープログラムを作ることで、パートナーに安心感を与えるだけではなく、ビジネスをグローバルに広げていくことへもコミットする。情報共有を通じ、「パートナーの海外進出をルネサスと一緒にやっていこう」と平尾部長は述べた。

関連資料:
1) 新生ルネサス、ノキアの先端通信技術をSoCに積極利用、成長戦略を明確に (2010/09/09)

(2010/10/21)

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