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新生ルネサス、ノキアの先端通信技術をSoCに積極利用、成長戦略を明確に

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ルネサスエレクトロニクスが今後のSoCビジネス戦略について方針を語った。今年4月に旧ルネサステクノロジと旧NECエレクトロニクスが統合して、明確になっていなかった同社のSoCビジネスを今後どのようにするか、100日プロジェクト以来、初めて明確に語った。SoCビジネスは、マイコン、アナログ&パワーという3本柱の一つだ。

通信・マルチメディアのSoCの成長エンジンで10〜15%のCAGR目指す

図1 通信・マルチメディアのSoCの成長エンジンで10〜15%のCAGR目指す


2010年9月9日に語ったのはSoC第二事業本部と呼ばれる、通信およびマルチメディアインフラと名付けた部門の戦略についてである。SoC第一事業本部は主に、産業ネットワーク分野とイメージング分野向けのソリューションを提供する。SoC第二事業本部では主力の応用製品ごとにSoCビジネスを分け、携帯電話やスマートフォンなどのモバイル機器用SoCと、カーナビなどの車載情報システム用SoC、デジタルテレビやセットトップボックス(STB)などのホームマルチメディア用SoCという3つの製品分野を強化する。

中でもモバイル機器用SoCは、SoC事業の売り上げの半分程度を占める。ノキアのモデム部門を買収した先端モデム技術(関連資料1)(3GからHSPA、HSPA+、LTE、LTE-Advancedなど)を国内外のスマートフォンやコンバージェンス市場に展開する。さらにこのモデム技術の波及効果はルネサス内部でかなり大きい。RF用のトランシーバやパワー送信機はモバイル応用以外に中国市場や新興国市場へも積極的に展開していく。RFチップが最新のブラックベリー製品に入っていたことは記憶に新しい(関連資料2)

では、どうやって旧ルネサス、旧NECエレのSoCを統一していくか。今回、新生ルネサスが記者会見した内容について多くの記者が誤解していた点が、CPUコアをどうするか、SHコアとARMコアをどう共存させるか、旧NECエレのマイコンV850はどうなるか、などの質問だった。SoCをきちんと理解していない質問そのものだともいえよう。V850は当然ながらマイコン事業が受け持ち、SoC事業本部は関係しない。

SoCは別名組み込みチップあるいは組み込みSoCとも呼ばれる半導体デバイスであり、この半導体が差別化すべき回路はCPUコアではない(関連資料3)。周辺回路とソフトウエアである。だからシステム全体を制御するためのCPUコアには標準的なARMを使う。開発ツールも豊富に手に入る。基本的なシステム制御の周辺回路も標準的な回路を搭載する。ARMコアにオープンなOS、例えばリナックスやもう少し広い意味でのOS(正確にはプラットフォーム)としてのアンドロイドを使い、3Dグラフィックスコアも標準化して組み込む。グラフィックスコアをはじめとして、APIはOpenMAXやOpenGL ES、OpenVGなどの標準ツールを使ってプログラムする。


新統合SoCプラットフォーム

図2 新統合SoCプラットフォーム


基本的な共通部分をグラフィックスコアも含めて標準化しておけば、差別化すべきところは周辺回路とソフトウエアである。独自周辺回路を、例えばリアルタイム処理回路としてその部分のCPUコアにSHなどのリアルタイムCPUを使い、リアルタイムOSを使う。マルチメディア処理としてAV処理用のエンジンなど独自周辺回路を搭載する。

こういったSoCプラットフォームは成長すべき3つのSoCごとに作製し、基本構成を共通化する。このようにして、モバイル用SoCはR-Mobile、車載情報システム用SoCはR-Car、ホームマルチメディア用SoCをR-Homeとして3つの統合SoCプラットフォームを作る。ホームマルチメディア用では、デジタルテレビやSTB向けに開発ボードのソリューションまで提供する。


ボードの形でソリューションを提供

図3 ボードの形でソリューションを提供


いずれのプラットフォームもよく見ると、ノキアから購入した先端モデム技術が先端コネクティビティのカギとなっていることに気づく。モバイル用のSoCは言うまでもないが、車載情報システム用SoCにおいても、今後のクルマ同士のコネクティビティやITSの進化への対応、テレマティックス車外通信、インフラとの協調安全運転、さらには住宅内へのコンテンツのダウンロード、などにも利用できる。R-HomeにおいてもOFDMなどのデジタル変調技術やモバイルで培ったソフトウエア資産や低消費電力技術、インターネット対応なども生かせる。旧NECエレのテレビ用のSoCプラットフォームEMMAを進化させたのがR-Homeになると考えてもよい。

SoCビジネスを大きくするためには、ソフトウエア開発、IPベンダー、ツール開発など外部サードパーティの協力が欠かせない。旧ルネサスはSH-MobileコンソーシアムとSH-Naviコンソーシアム、旧NECエレはplatformOViAプラットフォームグループを持っているが、いずれも従来製品の開発にはそのままの旧コンソーシアムがサポートする。しかし、今後の新しいSoC半導体チップの開発には新しいSoCパートナープログラムを作り、ミドルウエアベンダーやツールベンダー、IPベンダー、サービスプロバイダー、OEM・ODMなどのパートナーと協力しながら新生ルネサスの顧客に製品やソリューションを提供していく。このため、パートナーに対しては、各製品ロードマップを毎年提供し、製品プラットフォームの持続性を訴えていく。パートナーとのコラボと、ビジネスの持続性を明確にすることこそ、勝利への方程式と言っても過言ではない。


新しいSoCパートナープログラムを推進させていく

図4 新しいSoCパートナープログラムを推進させていく


2010年度に3500億円のSoC事業を2012年度まで、年率平均10〜15%で成長させていくとしている。特に、これら3つの拡大成長事業が成長のエンジンとなり、2010年度は売り上げの61%を2012年度に76%まで引き上げ、その代わり成長が見込めない事業を縮小していく。選択と集中を行うという訳だ。

関連資料:
1) ルネサスがノキアのモデム部門を買収、グローバル化に向け大きく前進 (2010/07/12)
2) 新型ブラックベリー Torch 9800を開けてみると、ルネサスチップが見えた (2010/08/20)
3) 津田建二「知らなきゃヤバイ! 半導体、この成長産業を手放すな」、日刊工業新聞社発行

(2010/09/09)

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