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新型ブラックベリーTorch 9800を開けてみると、ルネサスチップが見えた

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米市場調査会社のアイサプライは、カナダのリサーチインモーション社が発売した新モデルのブラックベリー「Torch 9800」を分解、高周波(RF)送受信機回路にルネサスエレクトロニクスの製品が入っていることを明らかにした。

図1 分解した新モデルのブラックベリー

図1 分解した新モデルのブラックベリー


図2 新ブラックベリーTorch 9800

図2 新ブラックベリーTorch 9800


RIM(リサーチインモーション)社は1999年ごろからスマートフォン、ブラックベリーを市場に出していたスマートフォンの老舗メーカー。特に営業マンにブラックベリーを支給し営業会議やメールチェックなど、ブラックベリーを使って行わせるという企業は多い。筆者は2002年に米国の外資系出版社の営業マンがブラックベリーを使っているシーンを目撃したが、これ以外の企業の使用シーンを何度も見た。

Torch 9800は、QWERTYキーを常時備えているブラックベリーのキーボードとして初めて今回、スライド式のキーボードを導入した。もともとビジネスユースがメインのブラックベリーではあるが、iPhoneやアンドロイドフォンを意識して今回、容量方式のタッチスクリーンと、光トラックパッドを導入した。もちろんMEMSの3軸加速度センサやGPSセンサも内蔵している。

アイサプライのティアダウン解析部門が分解した新モデルの推定価格も見積もっている(表1)。最も高価格な部品は液晶ディスプレイとタッチスクリーンのコストで、34.85ドル。3.2インチ、480×360画素のTFT液晶だが、メーカー名はわからないという。過去のブラックベリーで採用したことのあるメーカーは、サムスンモバイルディスプレイ、東芝モバイルディスプレイ、とシャープの3社。タッチスクリーンコントローラは実績のあるシナプティクス(Synaptics)社(注)のコントローラICを使っている。


表1 ブラックベリーTorch9800を分解、コストを分析

(クリックで表を拡大)

表1 ブラックベリーTorch9800を分解、コストを分析


今回のブラックベリーTorch 9800に搭載されたルネサスエレクトロニクスの半導体は高周波送受信機ICと送信用のパワーアンプモジュールである。GSM/GPRS/EDGEの周波数帯をカバーする。


注)Synaptics社は、インテル時代にマイクロプロセッサを発明したフェデリコ・ファジン氏と、VLSI設計のバイブル的教科書を出版したカリフォルニア工科大学のカーバー・ミード氏がニューラルネットの研究会社を目指し設立した企業。ファジン氏は今でも名誉会長である。ただし、ニューラルネットワークは今すぐ何かができるという分野ではないため、ヒューマンインターフェース分野に舵を切りなおし1995年に初のTouchPadインターフェースICを開発、世に送り出した。それ以来、タッチスクリーンコントローラの実績が豊富だ。2010年度(2010年6月期)の売上高は5億1490万ドル、利益5300万ドル。

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1) iPadやiPhoneに日本製半導体が入らない理由:システム指向ではないから (2010/07/12)

(2010/08/20)

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