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欧州がCMOSと光デバイスの集積化コンソシアムを統合する研究チームを結成

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シリコンフォトニクスに関する欧州の10ものコンソシアムが一つにまとまって協力することになった。シリコンフォトニクスとは、発光しないシリコンのCMOS集積回路と光デバイスを集積化したり、光ファイバを集積したりする技術の総称であり、発光効率の悪いシリコンを光らせようという非現実的な研究ではない。テラビット/秒の技術を構築するもの。

英国のシリコンフォトニクスプロジェクト サリー大学の研究例

図 英国のシリコンフォトニクスプロジェクト サリー大学の研究例


このほどEUはEUと欧州各国からの資金(3000万ユーロ)によって「欧州シリコンフォトニクスクラスター」を形成する。ここ1〜2年、各国で進められてきた10カ所のシリコンフォトニクスの研究コンソシアムを欧州シリコンフォトニクスクラスター傘下に置き、協力しながら研究を進めていく。

これによって、チップのファウンドリやエンドユーザー、ベンチャーなどの企業にシリコンフォトニクスの可能性を広く知ってもらう。さらにこのプロジェクトの成果を広め、この分野の若い科学者やエンジニア、研究者を研修・訓練していく。

CMOSのシリコンLSIに光回路を集積することで、低コスト、小型、低消費電力を進めようというもの。この背景には最近のブロードバンドの普及によりインターネットのトラフィック増大に対処しなければならないという緊急課題がある。特に、最近のiPadやiPhoneによってデータ通信のトラフィックは飛躍的に増加した。光ファイバのバックボーンだけではなく、メトロネットワークやWANなどについても帯域を確保し、バックボーンはさらなる帯域拡大を図らなければネットワークはパンクしてしまう。

シリコンフォトニクス技術によって、CMOS半導体チップ間の光配線や、回路ボード間の光配線、光信号処理技術、光ファイバセンサー、生体応用などの応用を低コストで実現できるようになる。セミナーを共同で開催したり、トレーニングプログラムを共有したり、情報を共有していく。

クラスターの形成により、フォトニックな設計やチップへの集積技術を維持し、欧州のグローバルな競争力を付けることができるとしている。しかも、シリコンフォトニクスによって欧州の半導体企業にとっての新しいチャンスを与えることができる。

今ある10プロジェクトは以下の通りである;
Boom(ギリシャ);テラビットオンチップを実現するため、マイクロ、ナノ寸法のシリコンICやサブシステムを作ってTbpsやスケーラブルなルーターを実現する。
Historic(ベルギー);光ルーター、光ロジックを実現するためのシリコン上にInPヘテロデバイスを集積、
Helios(フランス);CMOS上へフォトニクスエレクトロニクス機能デバイスを集積、
Intopsens(スウェーデン);病原性の細菌と抗体を一点集中的に見つけ同定するための、生体応用向けの集積型光センサーを開発、
PhotonFAB(EU);シリコンフォトニクスのプラットフォームePIXfabを改良することで、シリコンフォトニクスICへの抵抗を少なくする、
Platon(ギリシャ);プラズモンを利用する光配線用Tbps光ルーター回路を開発、
SOFI(ドイツ);シリコンと有機材料とのハイブリッド技術を利用する新低コストの光導波路と超低消費電力の光回路を実現、
UK Silicon Photonics(英国);
Wadimos(ベルギー);CMOS上に形成する波長分割多重回路層を開発、
Sabio(スペイン);複数の病気を同時に診断するための高集積チップ上に形成する超高感度のスロット型導波路バイオセンサーを開発。ただしプロジェクトは終了。

この新プロジェクトは産学連携プロジェクトとして学生を教育するという面もある。

(2010/07/22)

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