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音楽ソフトにミュージシャンの属性を載せるソフトメーカーとコラボする

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組み込み系SoCあるいはシステムLSIの比重が高まるにつれ、半導体チップに焼き付けるソフトウエアの行数が増えていく。携帯電話、自動車、DVDプレイヤーなどさまざまな電子機器ではソフトウエアの比重がますます増えている。半導体の価値を高めるソフトウエアを探すことが半導体製品のヒットにつながるような時代になってきたからだ。

マイコンに組み込むプログラム行数はうなぎ上りに増えている。例えば、車載用のスピードメーターやタコメーター、燃料残量メーター、トリップメーターなどの車載用メーターは10年ほど前からマイコンで制御するようになってきている。このマイコンにプログラムされるソフトウエアの行数がうなぎ上りに増えていることが、あるセミナーで発表された。1998年モデルでは機種Aでは9378行だったのが、2003年モデルの機種Bでは6万6355行、2008年の機種Cになると12万9651行と膨れ上がっている。メーターにブザーやチャイム、ドライバの乗降連動照明、診断機能などさまざまな機能を付加するようになったからである。

半導体SoCチップの価値は何ができるかという、機能で決まる。このため感動を与えるような機能やこれまで欲しかった機能を半導体に埋め込み、そのチップが搭載された電子機器がヒットする。その機能を短期間で実現でき、しかもモデルチェンジにも素早く対応できるようにするため、ソフトウエアを半導体SoCに埋め込むことで、SoCの価値を高めるようになってきている。だからこそ、半導体チップの顧客が作りたいシステムを作るための技術やチップを提供するというトータルソリューションを提案することが半導体メーカーに求められている。

半導体の価値を高めるかもしれないソフトウエアの一つに、音楽ソフトにミュージシャンの属性を埋め込み、ディスプレイなどで表示したり、関連する曲を探し演奏したりするなどの機能を持つソフトがある。米Rovi社(旧マクロビジョン)は音楽のメタデータ開発した実績と、家庭用AV機器を相互接続するためのソフトウエアConnected Platform(DLNAガイドラインやUPnPなどをサポートしている)を持つ。これらのソフトを統合して、今後、家庭用のAV機器やインターネット上の音楽コンテンツをクルマのAV機器にもつなげるようになる、と同社標準およびエマージング技術担当ディレクタのAdam Powers氏は言う。


米Rovi社(旧マクロビジョン) Connected Platform


物理的にAV機器同士をつなぐ規格やプロトコルはWi-FiやBluetooth、ワイヤレスUSBなど標準規格を用いるが、それだけでは音楽のメタデータ(音楽ソフトに埋め込まれたアーティストの属性や好み、影響を受けた歌手などの情報)は流れて来ない。メタデータまでも取りこんで、家庭内のAV機器で聴いたり見たりすることのできる音楽コンテンツを全てクルマの中でも体験できるようにしようというのがRovi社のソフトウエアである。

例えば、マライヤ・キャリーの曲が流れると、その曲が作られた背景や、マライヤに影響を与えた歌手は誰かといった情報をクルマの中でも知ることができる。家庭用のパソコンやAV機器、あるいはインターネット上のコンテンツから、そのメタデータを探し、見つけ、ダウンロードするという機能をクルマ用AV機器にも持たせることができる。


NXP SemiconductorsのメディアプロセサPNX9520


このソフトを半導体チップに載せた事例がNXP SemiconductorsのメディアプロセッサPNX9520である。ストリーミングビデオ・オーディオ処理を受け持つこのチップにDLNAレベルでもつなげられるようにした。NXPはRoviとパートナーシップを組み、このメディアプロセッサチップにRoviのソフトウエアスタックを埋め込んだ。Roviは、ミドルウエアとソフトウエア開発キットを提供した。

今回のRoviの発表はこれからクルマで音楽を楽しむ環境を豊かにするためのソフトを提供することであり、同社はパートナーシップを組めるようなエレクトロニクスメーカーや半導体メーカーを求めている。

(2009/11/26)

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