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AMAT、成長の指標をムーアの法則からPPACtを採用する長期戦略を発表

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Applied Materialsがポストムーアの法則として、PPACt(Power, Performance, Area, Cost and Time to market)戦略を採る、と同社CEOのGary Dickerson氏(図1)が述べた。これまでの2次元の微細化だけのスケーリング則から新しい指標としてPPACtを用いる。半導体産業はこれからAIと共に進化していく。AMATはこう考えている。

図1 Applied Materials社CEOのGary Dickenson氏 出典:Applied Materials Investor Meetingでのスクリーンショット

図1 Applied Materials社CEOのGary Dickenson氏 出典:Applied Materials Investor Meetingでのスクリーンショット


AIのインパクトは、全ての製品やサービスが賢くなることにある。これからはデータ中心の社会になる、と言われており、デジタルトランスフォーメーション(DX)があらゆる分野の経済に影響を及ぼし始めている。これまでの競争から共創あるいは協創というような言葉で表されるように、ライバルがエコシステムの仲間になる可能性がある。しかも新型コロナのパンデミックによってDX化は加速している。ここで忘れてはいけないことは、DX化は半導体に強く依存していることだ、とAMATは考えている。

これから生成されるデータ量はますます増え、人間が消費するデータ量はもはやほとんど無視できるほど小さくなり、工業用IoTのようなデータを自動で生成するような仕組みが増えてくる。

データをマシンが生成するようになると、マシンに搭載されるシリコンの量が増えることになる。データを生み出し、整理し、管理したり、保存したり、解析したりするのは全てシリコンだからである。このことは、たとえマシンやデバイスの数量が飽和しても、シリコンの価値は増え続けることを意味する。図2はスマートフォンに搭載されるシリコンの価値(使われている半導体の金額)を示したものだが、増え続けている。


SMARTER DEVICES BUILT UPON MORE ADVANCED AND SPECIALIZED SILICON

図2 スマホデバイスの数量は増えなくても搭載される半導体の量(価値)は高まる 出典:Applied Materials Investor Meetingでのスクリーンショット


搭載される半導体の金額が増えるとデバイスやマシンは賢くなり、価値を上げることになる。そうすると搭載される半導体は、顧客のニーズに合った価値の高いスマートな機能を集積することになる。スマホだけではない。これからのITメガトレンドである、AI、IoT(デジタルトランスフォーメーション)、5Gなどはますます賢くなり、半導体を多用、あるいは高集積化するようになる。

半導体の高集積化と同時に低消費電力が求められることから、これまでのような汎用プロセッサではなく、専用プロセッサによって単位消費電力あたりの性能を上げることが求められる(図3)。ただし、高集積化技術は微細化だけではない。もちろん次は3nmプロセス技術を目指すが、パッケージングも重要になる。Dickerson氏は「先端パッケージング技術はもはやプロセス技術と同じものになり、決してローテクではない」という認識を示しており、3次元化の方向に進むことは間違いなさそうだ。


AI DRIVING NEW COMPUTE TECHNOLOGY LANDSCAPE

図3 性能は専用プロセッサの方が上がるが消費電力も下げる方向に開発する 出典:Applied Materials Investor Meetingでのスクリーンショット


上の図で示したのは、AIの性能(TOPS:Trillion Operations per Secondで表示)と消費電力を示した技術だが、どの技術も1W当たりの性能を上げる方向に向かっている。現在1TOPS/Wなら、10TOPS/W、100TOPS/Wを目指すことになる。

そのために必要な技術は、従来のプロセス技術だけではない。特殊なICやトランジスタ、アーキテクチャの前進、さらには3次元構造、新規の材料、EUVや自己整合のような新しい微細化技術、そして先端パッケージング技術などを駆使していく。特に先端のパッケージングでは、TSV(Through Silicon Via)密度を上げたり、チップレットのスタッキングなどにも、今後つなげていくような微細加工が求められるようになる。

AMATは装置メーカーとして、こういった新技術を達成するための手段を揃えている。従来の薄膜堆積、除去、イオン注入のような改質、材料分析に加え、ソリューションと集積化プロセスを上げている(図4)。


Unique Product Portfolio + Integrated Solutions

図4 AppliedがプロセスとメトロロジーとAIを使って歩留まり向上につなぐ 出典:Applied Materials Investor Meetingでのスクリーンショット


中でもAI(機械学習)をAMATが提供する全ての装置に使っていくという方針を打ち出している。例えば、プロセス欠陥を見つけ、欠陥ではない紛らわしいノイズを除去することで、欠陥を学習させていく。重大な影響を及ぼす欠陥だけを取り除くようなプロセス条件を見つけることで、プロセスウインドウを広げ、歩留まり向上につなげていく。また研究開発では、プロセスレシピの開発時間を短縮したり、クリーンにするレシピ開発期間を短縮したりする場合にもAIを使うとしている。

(2021/04/13)

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