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Qualcommはなぜ自動車向け半導体市場に力を入れるのか

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Qualcommは、自動車のコックピットやコネクテッドカーなどに力を入れているが、なぜ自動車向け半導体に力を入れるのか、次期CEOとなるCristiano Amon氏(現President)(図1)が先ごろ、その答えとなるメッセージをウェビナーで流した。スマートフォンでの新しい経験をクルマにも持ってこようとしている。それは何か。

図1 Qualcomm社次期CEOのCristiano Amon氏 出典:Qualcomm Automotiveウェビナーから

図1 Qualcomm社次期CEOのCristiano Amon氏 出典:Qualcomm Automotiveウェビナーから


スマートフォン向けのデジタル変復調(モデム)ICからアプリケーションプロセッサSnapdragonへと手を広げたQualcommは、次のターゲットとしてクルマビジネスを定めている。数年前はクルマ産業へ参入しようとして電気自動車のワイヤレス充電に力を入れていた。しかし、これは時期尚早だった。EVの普及はこれからであるし、EVの充電技術は、ワイヤレスよりも急速充電に向かっている。

そこで今、Amon 次期CEOが考えていることとしてQualcommが目指す現実的な解は、コンピューティングとエッジ端末、クラウドをつなげて収束していくというものだ。収束と言っても一つにまとまっていくという意味ではなく、それぞれ重なっていくという程度だ。すでに4Gでもさまざまな産業とつながり始めているが、5Gとなるとあらゆる産業がつながっていく。そして高性能なHPCがエッジで実現できるようになるとしている。クルマでのAIは、クラウドとつなぎ、クラウドでコンテキスト(文脈)を推論・演算することに使われるとしている。コンピューティングは演算の助けとなる。

現在のコネクテッドカーは事故を減らすために使われる技術であるが、今後10年の間にコネクテッドカーはクラウドとつながり、クルマのビジネスモデルに変化をもたらすとみている。スマホで経験したことをクルマのキャビン内でリアルタイムの経験になっていくという。

ここには、クルマは、移動手段だけではなく、さまざまなものを集積し、データを分析するインテリジェンスを持つようになる。クラウドからエンターテインメイント情報や安全情報、交通情報などに加え、保険とも組み合わせると、カーナビゲーションとクルマの方向や位置、地図との対応、レポーティング機能も備えることになる。もちろんOTA(Over-the-Air)によるソフトウエアやミドルウエアのアップグレードは言うまでもない。クラウドとの接続は、セルラーネットワークを利用して、C-V2X(Cellular-Vehicle to Everything)で歩行者のスマホともつなげる。歩行者の安全も保たれるという訳だ。C-V2Xは5Gのリリース16仕様で定義されている。

Qualcommは、General Motorsとテレマティクスで長期的な提携関係を結んでおり、GM側もサプライヤとの関係を深めたいとしている。GMが特に標榜することは、3つのゼロからなる、「000 Vision」である。すなわち、事故ゼロ(Zero crashes)、CO2排出ゼロ(Zero emission)、そして渋滞ゼロ(Zero congestion)だ。特にC-V2Xは事故ゼロに役立つ。GMは、中国のECARX Technology(浙江吉利グループ内の技術企業)と手を組みコックピットを開発中で、Great Wall Motors(長城汽車)ともC-V2Xで提携していると述べており、中国とのパトナーシップを築き、エコシステムを作りスケーラブルなプラットフォームを作っていくとしている。

Qualcomm は、クルマを再定義する時期に来たと認識しており、次のクルマはもっとつながるようになり、もっと自律的に、もっと電動化が進むと見ている。これによって、5G、C-V2X、デジタルコックピット、ADAS、Car to Cloudへと発展していくと見ている。例えば数が膨大になりすぎるECU(電子制御ユニット)に対しては、ドメインコントローラを導入することは間違いないが、各ECUに相当するような機能をカードにまとめ、これを指すだけで使えるようにすることを目指す。こうすればソフトウエア資産を継続して使えるようになるからだ。

Qualcommは、クルマの機能を制御できるさまざまな半導体チップを、すでに保有している。図2のように、ワイヤレス半導体や、SnapdragonプロセッサでのADAS制御、クラウドへの接続サービス、コックピット向けのSnapdragonプロセッサなど、とそのスケールアップを示している。


Driving technology for the road ahead

図2 クルマ用のプロセッサは接続用からコックピット用などさまざま需要がありそうだ 出典:Qualcomm Automotiveウェビナーから


今年生産が予定される第3世代のコックピットプラットフォームを、OEM(クルマメーカー)20社が採用しているという。今年の1月には、5nmプロセスを使う第4世代のコックピット用Snapdragonを発表している。この最新Snapdragonには、ドメイン(あるいはゾーン)コントローラとして使うアーキテクチャ(Zonal Architecture)を採用しており、高速演算機能に加え、コンピュータビジョン、AI、マルチセンサ処理(センサーハブ)を可能にする中央ハブの役割を果たす。

今後のECUがドメインコントローラで束ねるからと言って、1台の中央コンピュータで全ての処理を行う訳ではない。図2で示すように、コックピット用のドメインコントローラや、ADAS用のドメインコントローラ、接続とセキュリティを含めたドメインコントローラなど、ECUの数を減らして軽量化することが目的である。Intelはクルマ事業に対して、ドメインコントローラに仮想化技術を持ち込む予定だ。

(2021/03/10)

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