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社員のやる気は、目的を明確に、自主性を尊重し信頼すること

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Alex Davern氏、National Instruments社、CEO

2017年1月1日にNational Instruments社のCEOに就任したAlex Davern氏。同社はソフトウエアとプログラム可能なハードウエアをプラットフォームとして様々な計測を1台でやってのける測定器メーカー。1976年の創業以来、ドクターTこと、James Truchard氏がCEOとして率いてきた。カリスマ的ながら非常に親しみやすいドクターTの後を継ぐことになったDavern氏はどのように舵取りしていくのか、聞いた。

Alex Davern氏、National Instruments社、新CEO

Alex Davern氏、National Instruments社、新CEO


セミコンポータル:まず、Alex Davernさんのこれまでの経歴を教えてください。
Davern氏:私はもともとアイルランド人で、NI入社前は欧州のPrice Waterhouse Coopers (PwC)に勤務していました。その後、PwCの米国にやってきたのが1990年です。NIには1994年に入社しましたが、当時は今よりもずっと小さな会社で、ざっとですが6000万ドル(約66億円)の売上しかありませんでした。NIでは、1997年にCFO(最高財務責任者)に就任しました。2001年から2002年には製造部門の責任者になり、2010年にはセールス&マーケティングの責任者とCOO(最高執行責任者)も務めました。そして2017年になってCEOに就任しました。

ドクターTruchardは、常にNIを持続させることにフォーカスしていました。持続させるための計画を立て、いつまでもずっと持続させることを考えていました。幸運にも私は取締役としてドクターTruchard氏と一緒に20年間、この作業を行ってきました。NIの重要なリーダーは平均して25年間NIに努めてきています。(LabVIEWの父といわれる)Jeff Kodosky氏、マーケティング担当のシニアVPのEric Starkloff氏、R&D担当のシニアVPのScott Rust氏、CPO(Chief Platform Officer)のDancan Hudson氏らと一緒に25年間、議論してきたので引き継ぎはスムーズにいっています。

NI入社前からの経歴を見ても、私は常にビジネスを見てきました。成功したどのような企業もやはり、優れたビジネスを行ってきています。これからの技術やイノベーションに投資するために、優れたビジネスを行わなければなりません。ビジョナリなミッション(将来を見据えた自分の役割)と優れたビジネスの組み合わせがあるので、当社は技術を開発している科学者やエンジニアにそれを提供することができるのです。

セミコンポータル:いま日本のエレクトロニクス企業は、例えば東芝やシャープは会社を立て直すために奮闘しています。どのようにしてあなたはエンジニアを鼓舞していますか?
Davern氏:モチベーションに関しては、まず目的が重要です。自分の会社が何を達成しようとしているのかを明確にしなければなりません。さらにモチベーションを考えると、まず競争力のある給料(compensation)であるかどうか、です。自分の給料を見て従業員がわが社は公平だと感じることが重要です。彼らが公平だと感じる給料であれば、給料のことは話題にしなくなります。

そうすると従業員のエネルギーは目的に向かいます。企業と従業員が一緒になって何を達成しようとしているのか、自分の仕事を成功させるために社員に自主性が十分あるかどうか、が重要です。

3番目はリソースです。あなたが仕事を行う上でのリソースが効率よく与えられているか、です。

当社NIの目的は、科学者やエンジニアの生産性をもっと上げたいと強く熱望することです。だから当社はエンジニアにツールを提供します。当社のコミュニティには、数十万人のユーザーがいます。彼らは、当社のツールで、より良い世の中を作ろうとしています。医療、エネルギー、交通、自動車、航空機などの世界で、若いエンジニアは、顧客によって強い熱意を持つようになります。顧客の応用機器を見て、ツールで設計することは大変やりがいがありそうだ、と刺激を受けます。

後の二つは、彼らの自主性を尊重して信頼することです。そしてツールとリソースが適切であることを確認して成功に導きます。これらの3つが、彼らが最善を尽くす重要な要素です。彼らを鼓舞し(inspire)、力を発揮させることが重要です。これらは日本にとって問題ですか?

セミコンポータル:はい、企業は社員を鼓舞し力を発揮させるようにもっていく必要があります。
Davern氏:私は1996年に日本へ初めてやってきました。若い頃ですが、ビジネスの構造は、高い階層構造になっていました。米国とは大きく違っていました。NIの魅力は自主性と責任です。あれから21年経ち、日本の企業文化は良い方向に変わったと思います。米国企業の影響を受け、日本の企業文化はゆっくりですが、進展してきていると思います。

米国でも変化は出ており、1995年のオースチン大学卒業のエンジニアと現在の卒業生のマインドセットは大きく変わっています。当時の企業は非常に長く20年も30年も勤めるものだと思っていました。今は、上司のマネージャーは全てを知っています。私の息子の世代を見ていると、一つの企業に長い年月を過ごすものではない、と考えているようです。彼らも少しずつ学んできており、何かに貢献したいと期待しているようです。

セミコンポータル:NIは時代を先取りしたプラットフォームのコンセプトを何十年も前から持ってきています。最近は計測以外の業界でもプラットフォーム戦略を採用するところが増えています。NIのプラットフォーム戦略はこれからも変わりませんか?
Davern氏:私とドクターTruchardは一緒に役員チームを何年も担ってきました。先ほど申したように、彼は企業を持続させるために常に前を向く戦略を採ってきました。今、プラットフォームの責任者であるCPOのDancanは、プラットフォームに統合するものと、イノベーションのニーズとのバランスを常に図りながら進めるという重要な役割を果たしています。いろいろな個々のイノベーションを採り入れることの強い力とのバランスです。当社は、それをマネージしなければなりません。

(NIWeek 2017の)初日の基調講演で述べた次世代LabVIEW NXGでは、プラットフォームという言葉を何度も聞いたと思います。当社のプラットフォームはハードウエアとソフトウエアが密接に統合しています。また、NIのエコシステムは(計測器)市場でもユニークです。これは成長の機会をもたらします。なぜならこのプラットフォームによって、新しいビジネス分野へ一気に進むことができるからです。

引き継ぎに関しては、これまでも絶えずディスカッションしていましたので、たいへんスムーズに行われました。ドクターTruchardの目的は、会社を成功させ持続させることで、これがガイドの原理となっています。NIはプラットフォームをコアとして持ち、役員チームは顧客や社員、パートナーや株主など全てのシェアホルダーに責任があります。真摯にこの責任を考えています。

セミコンポータル:NIの売り上げは2014年をピークにして2015年はやや落ち、2016年はほぼフラットです。なぜこのようになったのですか?
Davern氏:理由は二つあります。一つは為替です。円やユーロに対してはドル高になり、日本や欧州の売り上げは減少しました。もう一つは、(当社がターゲットとする)工業界の景気が後退したからです。2015年、2016年は為替に振り回されましたが、2017年の第1四半期はプラス成長です。為替の変動がほとんどなかったからです。それも第1四半期の売り上げは、1〜3月期として過去最高でした。第2四半期も4〜6月期として過去最高になる見込みです。

セミコンポータル:第1四半期における地域ごとの売り上げはいくつですか?
Davern氏:欧州が31%、米国が40%、アジア太平洋(日本、中国を含む)29%です。最大の国は米国ですが、次は中国になりました。

セミコンポータル:今後の売上は期待できそうですか?
Davern氏:当社は、プラットフォーム戦略を継続します。今回LabVIEW NXGという新製品を出し、半導体テスターSTS(半導体テストシステム)にも力を入れています。今後、4つの分野で成長できる新しい機会があると考えています。半導体テスト、ワイヤレス通信に必要なRFを含む5G(第5世代の携帯通信)、ADAS(先進ドライバー支援システム)や電気化する自動車技術、IIoT(工業用IoT)、これらの4つの分野は成長の機会が多いのです。これらの分野に向けてツール技術を提供していきます。

セミコンポータル:最後に、AIに関してNIはどのように見ていますか? AIはデータ解析に使う有力な技術になってきています。
Davern氏:はい、これも面白い技術です。アマゾンでは、一度購入した本が「あなたの欲しい本があります」というような仕掛けがありますが、これもAIです。NIとしては、全ての重要な技術トレンドを常に見ています。パソコンやインターネット、FPGA、クラウドなど、顧客が活用するものは何かを考えています。AIはもちろんデータ解析に使えますが、おそらくそれ以上のことができるでしょう。

(2017/06/14)

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