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アナデバ、民生市場の中から成長分野を選択、今後も成長を持続

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アナログ・デバイセズ社は民生の強い日本市場においても、民生から産業用へあるいは民生の中の成長分野へ比重を移すことにより成長を持続していく戦略をとる。先週、同社は今年度の製品戦略説明会を開き、世界市場、日本市場について同社日本法人代表取締役社長兼会長の馬渡修氏が語ったが、その方針をじっくりかみしめてみると、上のことが言えそうだ。

図1 アナログ・デバイセズの馬渡修社長

図1 アナログ・デバイセズの馬渡修社長


米国のアナログ・デバイセズ社(ADI)の世界市場における分野別の売り上げでは、産業機器が46%と最も大きく、続いて民生の21%、さらに通信インフラ系19%、自動車エレクトロニクス12%などとなっている。民生の中で伸びたのはスマートフォン向けの半導体、特にMEMSマイクなどがある。民生以外はほとんどが産業分野でありその割合は80%近い。

ADIは米国企業とはいえ、米国地域での売り上げはわずか19%しかないグローバル企業である。最大の地域は欧州の25%、次が中国の18%、日本16%、その他のアジア16%となっている。業績好調な村田製作所が国内売り上げが2割しかない状況とよく似ている。

ところが、ADIの日本法人がカバーしている日本市場は事情が全く違う。アナデバの52%が民生用途である。残りは産業機器が17%、通信インフラ9%、自動車4%、ヘルスケア3%であるが、聞きなれない言葉でアナデバがコアマーケットと称する分野が15%もある。このコアマーケットとは、中小企業を対象とした産業用のユーザーのいる市場である。日本には中小企業が149万社(中小企業庁調べ)もあるが、このうちアナデバは数千社をコアマーケットの顧客としているらしい。

こういった日本独特の市場構造を認識した中で、ADIのワールドワイドでの売り上げは2010年度(カレンダー年)には37%増えたが、日本市場は26%増にとどまった。しかも円高の影響を6%とすると20%増しかない。すなわち日本市場で日本の半導体ユーザーが得意としてきた民生分野はもはや成長が鈍くなっているのである。テレビやDVDプレーヤー、携帯電話などの民生機器はもはや日本が得意とは言いにくい分野となりつつある。

こういった状況でアナデバ日本法人はどうするか。馬渡社長が狙うのは、民生分野の産業的分野である。例えば、スマートグリッド、スマートエネルギーといった将来の成長分野の一つにスマートホームという考え方がある。ここを狙う。ワールドワイドでのADIの成長分野は5つある;FAなどの産業・計測機器、ヘルスケア・医療機器、自動車、LTEなどの通信インフラ、コアマーケット、民生である。産業機器ではエネルギー分野、モーター制御、プロセス制御などに注力する。スマートグリッドにつながる電力網向けのデバイスやスマートメーター向けの半導体チップは持っている。さらに通信用のトランシーバやPLLとVCOを集積したシンセサイザ、CTスキャナーの小型化を推進する128チャンネルのA-Dコンバータなどを揃えている。民生用ではフルHDやさらに高解像度の4k2k対応のHDMIインターフェースICやビデオデコーダを用意している。いずれも近い将来の需要を狙った分野である。

日本に149万社という膨大な数の中小企業法人。ここを狙ったコアマーケットのプログラムはウェッブベースでのサービス提供だ。不足しているアナログ技術者のための電子回路コミュニティサイトをEDNJapanと共同運営したり、P板.comとのコラボによってシミュレータを提供したり、チップワンストップと代理店契約を結んだりするなど、日本市場でコアマーケットを強力に推し進めてきた。この結果、2010年度におけるコアマーケット分野での売り上げは対前年度比75%増という成果を生んだ。


図2 手のひらサイズの超音波診断装置 簡単に胎児の姿を確認できる

図2 手のひらサイズの超音波診断装置 簡単に胎児の姿を確認できる


もともとADIはA-D/D-Aコンバータとアンプに強いが、それ以外の製品にも力を入れる。固定小数点演算用のDSPであるBlackfinや、浮動小数点演算用DSPであるSharcなどのDSPプロセッサがあり、エアバッグ用加速度センサーで20年以上の実績のあるMEMSセンサーも揃え、それらを利用した手のひらサイズの超音波診断装置もオーストラリアのSignostics社から発売された。高齢者転倒検知モニターや心臓マッサージのトレーニングマシンなど、ヘルスケア分野への成長を狙っている。

(2011/02/08)

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