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セキュリティをテーマとするA-SSCC 2015

第11回アジア固体回路会議A-SSCC2015が今年は中国の厦門市で開催される。このほど、その記者会見を組織委員会が開催した。アジアを開催地とするこの半導体回路会議は、ファウンドリもファブレスもアジアが主役の座を担い始めていることから、参加者が漸増している(図1)。来年は富山市で開催される予定になっている。

図1 A-SSCCの参加者は少しずつ増加している 出典:A-SSCC

図1 A-SSCCの参加者は少しずつ増加している 出典:A-SSCC


A-SSCCは、日本、台湾、中国、韓国の4地域を持ち回りで開催されている。日本では2012年に神戸で開催されている。集積回路関係の国際会議には、60年以上の歴史を持つISSCCをはじめ、Symposia on VLSI Technology and Circuit、CICCなどがあり、A-SSCCは最も若い会議である。VLSIでは回路とデバイス・プロセスの両方をカバーしているが、回路部門の参加者はむしろA-SSCCの方が多くなってきたという。

採択された論文数の順に、1位が台湾19件、2位日本13件、3位米国11件、4位中国10件、5位韓国8件、6位ベルギー7件、7位シンガポール5件、となっており、以下1~2件の地域が続く。論文発表の場としてアジアからだけではなく、米国、欧州も参加しており、文字通り国際会議となっている。

このような国際会議は、最新のトレンドを捉まえていることが多い。今年のA-SSCC会議全体のテーマは、世界中の半導体各社がいま懸命に開発している、セキュリティである。しかも業界動向が、これまでの産業向け・民生向けといった2方向だけだったのに対して、ITやエレクトロニクスが社会インフラに大きく向かっていることも考慮されている。テーマの正式名称は、「シリコンシステムで社会をセキュアにする技術」、である。

基調講演も大きなメガトレンドを表すテーマが多い。今年は、中国で急成長しているファブレスSpreadtrum社のCEO、Leo Li氏による「IC Challenges for 5G Mobile Devices(第5世代のモバイル端末に向けたICの諸問題)」、米Rambus社システムセキュリティフェロー、Ron Perez氏による「Silicon Systems Security and Building a Root-of-Trust(シリコンシステムのセキュリティと認証回路RoTの構築)」、ルネサスエレクトロニクスのCTO、日高秀人氏による「Mobility and IoT Systems Revisit Semiconductor Technology(半導体技術に立ち返るモビリティとIoTシステム)」、韓国Samsung Electronicsの「Fast Memory and Storage Architectures for the Big Data Era(ビッグデータ時代の高速メモリとストレージのアーキテクチャ)」の4つが基調講演である。また、パネルディスカッションは、「Asia Strategy for the Future of Semiconductor Technology(半導体技術の将来に向けたアジアの戦略)」であり、8名のパネリストが登場する。

ハードウエアセキュリティというテーマのセッションを特別に招待講演として設けている。IoT時代にはハードウエアすなわち半導体ICのセキュリティ技術が極めて重要になる(参考資料1)。ここではIntelの「Energy Efficient Security Circuit Technologies for the Sub-14nm Era: Challenges and Opportunities(14nm以下時代の高エネルギー効率のセキュリティ回路技術:問題とチャンス)」、中国南京航空航天大学の「Review Fault Attacks on ECC Implementations with Fault Sensitivity Analysis(故障感度解析を使ったECCへの故障アタック)」、シンガポールの南洋工科大学の「A Survey on Recent Advances in Hardware Trojan Detection & Prevention Techniques(最新のハードウエアトロイの木馬の検出と対策技術)」、三菱電機の「Recent Results of Dopant-Based Circuit Camouflage Technique(最新のドーパントベース暗号回路隠匿技術)」、横浜国立大学の「Overview of Hardware Security(ハードウエアセキュリティ総論)」がある。

一般講演として、インダストリープログラムから、アナログ、データコンバータ、メモリ、デジタル、SoC、有線通信、RF、新技術・応用などがあるが、IoT端末に向けた低消費電力技術がアナログ・デジタル共に共通している。

参考資料
1. SoCチップを攻撃から守る新セキュリティ技術をImaginationが公開(2015/09/11)

(2015/09/16)

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