セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト
セミコンポータル

進む人工知能の応用

PCやスマートフォン、スーパーコンピュータなどを利用する人工知能の応用開発が加速している。人工知能は問題の解に到達するので、検索とは全く違う。なぜなら検索は探索(Search)なので、探す言葉が見つかれば問題は解決する。検索は辞書と同様にデータベースが巨大な場合でもメモリーに全データを蓄え探すことで、正しい言葉が見つかれば解決する。メモリーには半導体技術が大きく寄与している。

一方、人工知能を理解するには、その応用を考えることが近道だ。市場ではチェスのゲームや将棋ゲームのソフトウエアが売られている。人工知能に基づく将棋ゲームは、ウェブに無料版もあり、ただでマシーンと対決できる。人間は勝ったり負けたりするが、それが面白い。常に勝つのなら面白くないし、逆でもつまらない。人工知能の英語は、Artificial IntelligenceだがAIと表示され、我が国でもAIという言葉は多く使われている。

国立情報学研究所において、人工知能を使う「東ロボくん」と称するロボットが研究されている(参考資料1)。このロボットは東大入試で好成績をとるかどうかが問題のテーマだが、最近の新聞によると、スレスレの合格点に至ったようだ。本物の東大受験生は落第生からトップ合格者まで広く分布している。この結果をみればトップの受験生に未だ人工知能は対抗できない。筆者は人工知能の最大の特徴は、自律的に学習する能力を保有している点にあると思っている

米航空会社のユナイテッドエアライン(UA)では、人工知能ベースの会話認識ソフトウエアのシステムが使える。社内規則で従業員だけの特権だが、自分の休暇旅行のスケジュールを予約できる。例えば、次の冬季休暇に、UAを使い西海岸から東京経由でマニラに行こうと思えば、12月XX日のサンフランシスコ発の成田便、UA-0000便を予約する。先ず電話で話してプラン1を提案し様子を見る。電話の先に、人間はいない。AIのシステムがあるだけだ。席は窓側の2席を指定する。システムは人間に代わって座席の空き具合を見て応答する。仮にOKならシステムは、OKを返答して予約は終わる。しかし、座席が埋まっていた場合は、プラン2に進むことになり、その従業員は別便か外の日を提案し、システムとやりとりをして交渉する。この会話の模様は、顧客が旅行する際にフライトの予約をするのと全く同じだ、唯一違うのは人工知能と話しているところだ。そして、この特権は上述のように従業員だけなのは、人工知能と行き違いなどでトラブルになった時に従業員の場合は予め設定する簡単な取決めで理解が得られるが、不特定多数の顧客の場合は、そうは行かないためなのだ。さすがにこのようなシステムは日本では使われていない。先進国の米国が一歩先んじた。

筆者が人工知能の応用例に期待したいのは将来予測だ。年頭に当たって今年の景気はおおいに気になる。現在は、2年くらいドル高で推移しているが、来年は円とドルの関係はどうなるか?株式の市場はどう進むか?雑誌などには、将来の経済動向の予測記事を発表する人もいる。この作業をするのにAIを使う例が出てくるだろう。2015年12月30日の読売新聞は、AIが自動的に作った楽曲や小説は「誰の作品」になるのかを論じた。政府は「AIアート」が将来、本格的に普及するとみて、年明けから著作権のあり方について議論を始める、としている。

インテル社等、欧米IT企業も人工知能を研究しているが、その対象は自動運転車だ(参考資料2)。この情勢で我が自動車産業は遅れるわけには行かないのだろう。トヨタなども自動車の自動運転車の研究開発を始めた。セミコンポータルはAIを物流に適用した例も紹介している(参考資料3)。

今後、仮に人工知能が人間を凌駕すれば人々は人工知能に頼るようになるだろう。ただし、世の中には優れた人が大勢いるので中には自分の方が優れていると思えば人工知能などに頼らない。だから、人々はバランスをうまくとることになるのだろう。

参考資料
1. ロボットは東大にはいれるか  
2. Intel、ADAS/自動運転市場に本格参入 (2015/08/27)
3. 過去の大量のデータから改善策を見つけるAIシステムを日立が開発 (2015/09/15)

エイデム代表取締役 大和田 敦之

月別アーカイブ

Copyright(C)2001-2024 Semiconductor Portal Inc., All Rights Reserved.