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今週の動きから/"進化の中の収縮"/物価と英語力

今年前半もあと僅か、デバイス業界の動きから始まって、ますます拡大するグローバル化の渦中での問題意識をいくつか取り上げている。

≪今週のデバイス業界の動きから(2008年6月16日〜6月20日)≫

今年2008年の前半、上半期も終わりが近づいてきた。IC Insights社(Scottsdale, Ariz.)は、この前半の半導体業界で浮き彫りになる内容として以下を挙げている。(Electronic News:6月20日付け)

合弁
設備投資減少
高いウェーハfab稼働率
450-mmウェーハventure      …Samsung, IntelおよびTSMC
原油価格高騰

合弁というと、Micron-NanyaやIntel-STMicroelectronicsの例が浮かんでくるが、今週も買収、連携に向けた活発な動きが見られる。

◇Applied raises stakes to buy ASMI (EE Times:6月17日付け)
 →ASM International N.V.(ASMI)が、Applied Materials社およびprivate-equity会社、Francisco Partnersから、$800MまででASMIのフロントエンド事業全部を買収するという新たなunsolicited indicative offerを受けた旨。
◇Cadence bids to buy Mentor Graphics (EE Times:6月17日付け)
 →Cadence Design Systems社(San Jose, Calif.)が、Mentor Graphics社を買収するという提案をMentor Graphicsの役員会に提出、$1.6B相当の取引の旨。
◇Will Seagate buy Intel's stake in NAND JV? (EE Times:6月19日付け)
 →Lazard Capital Marketsアナリスト、Daniel Amir氏。Seagate Technology社が、Intel社とMicron Technology社のNANDフラッシュメモリ製造合弁、IM Flash Technologies LLCにおけるIntel社のstakeを買収する可能性の旨。
◇NEC, Elpida form JV for display chips (EE Times:6月20日付け)
 →NECエレクトロニクスとElpida Memory社が金曜20日、TVsおよびPCsのディスプレイを制御する半導体製造で協力、業界統合の最新のあらわれの旨。
◇Japan's DoCoMo eyeing more M&As in Asia (EE Times:6月20日付け)
 →NTT DoCoMo社が金曜20日、海外、特にアジアでの買収をさらに模索する旨。

IC Insights社は、依然波乱含みの騒々しい前半6ヶ月、足取りがよろめき気味の半導体業界と評し、後半の重要項目を、
 経済
 システム伸長
 半導体ASPs
 IC市場の数量の伸び
としている。

確かに30兆円も見えてくる規模になった世界半導体市場は、かってのように二桁の伸びは見込めなくなり、如何に絞って効率を上げていくかがますます問われているということと思う。現状の伸びも新興途上市場の比率が高まってこそということで、グローバルな連携、統合の動きに一層拍車がかかっていく情勢というものを感じている。

≪"進化の中の収縮"≫

デバイス業界から話を広げて、最近目にした『学士会会報』2008−IIIから。

半導体業界も規模は拡大していくものの伸び率は明らかに鈍化しているが、日本の産業界として大きく見てもこの傾向や感じ方はどうしても否めず、上記のタイトル表現となっている。ここらあたりに鋭く切り込んでいると感じる次の論文記事である。要点を書き出して、以下の通り。

「真のエリートに求められるリーダーシップ」  野田 智義氏
※筆者は、1983年学部卒、1988年渡米してMIT、ハーバード大で経営学の修士号、博士号。英国、フランスで教鞭、組織戦略論について。現在は特定非営利活動法人の理事長を務める。
・2000年、最初の渡米から13年ぶりに帰国、閉塞感に包まれ、自信をすっかりなくした日本。
・社会全体を考えるスケールの大きなリーダーの不在は危機的。
 急速に台頭しつつある新興国に比べれば存在感に陰りが見えるとはいえ、まだ豊かなこの国を覆うのは、「豊かさの中での無力感」とでも言うべき空気。
・社会が育むリーダーの輩出
 →「自ら責任を引き受ける経験」と「経験を積ませる土壌」が必要
 ⇒「自律・挑戦・還元」という三段階のプロセス
・日本は、戦後の復興から高度成長期にかけては、この三段階プロセスが生み出される格好の時代状況があった。
 *猿真似と欧米から揶揄されながらも、独自の発想や技術で世界を驚かせた技術屋たち
 *パワーバランスを慎重に見定めつつ国の舵取りを行い、日本を経済大国へと導いた官僚や政治家たち
 *海外を放浪さながら、己の才能を開花させ、道を切り開いた様々なアーティストたち
・失われた10年が過ぎると、私たちはフロンティアを見失ってしまった。
 慣れ親しんだやり方で、努力し競い合うものの、互いにパイを食い合い、不毛に消滅する。
・ともにリーダーシップの旅に出よう!

我が国全体を捉えてこのような思いに強く駆られるというのは、共感するところ大である。グローバルに引っ張るリーダーシップの重みをますます感じる昨今である。

この『学士会会報』には、もう1編、フラッシュメモリの発明者として知られる舛岡 富士雄氏の我々半導体業界関係に通じる熱い思いが述べられており、上記の論文記事に共鳴伝播する雰囲気を感じている。項目のみ以下の通り。

「夢を実現するシリコン集積回路」  舛岡 富士雄氏
・東芝の出身。現在、東北大電気通信研究所名誉教授。
・フラッシュメモリの発明
・半導体ビジネスの第1波 バイポーラトランジスタ
            第2波 IC技術によるDRAM、CPU
            第3波 フラッシュメモリ
            第4波 SGT(Surrounding Gate Transistor) を目指す
・SGTにかける

≪物価と英語力≫

韓国の方の話、および韓国発の記事から感じる2点である。

原油価格の高騰に端を発する感じ方が強い最近の諸々の物価上昇である。たばこ税の増税論議が本格化しており、「1箱1000円」も視野に入れた議員連盟も発足したとのこと。小生も初めて知ったのが、イギリスなどではすでに1000円であるということである。

今週、韓国でのガソリン価格がすでに200円くらいと知って、これまた驚いている。今までの固定観念でいると、グローバルに活動、お付き合いしていくにはびっくりしてばかりになりそう、と新たな戒めである。実態を知ること、これからは地球人として必要なこと、ということと思う。
 
朝鮮日報日本語版の論説記事「英語力が世界最下位の韓国」(6月5日付け)を面白く読んだ。ざっくばらんにいろいろ通じるところがある。

*米国へ研修に行き、英語で大変な苦労をしたというKさんが、マクドナルドでハンバーガーを3個注文した。店員は「本当に?」と尋ねた。それに対しKさんは「Yes!」とはっきり答えた。しばらくして、店員に呼ばれてカウンターへ行ったところ、ハンバーガーが山盛りになっていた。「ハンバーガー30個です」。Kさんは「3(three)」と言ったのだが、店員は「30(thirty)」と聞き違えたのだった。
*ある国際会議で、日本のある大学教授が英語で発表した。それを聞いていた米国の学者が、隣にいた韓国人にこう言った。「日本語は英語と結構似ていますね」と。米国の学者は、日本の教授が日本語で発表していると思ったのだ。
*多くの韓国人は、「少なくとも日本人よりは、自分たちの方が英語力は上だ」と考え、安堵している。だが、イギリスの公的機関が実施した国際的な英語力認証試験「IELTS」(アイエルツ、国際英語力試験)の「移住・職業研修用試験」で、韓国人の点数は20カ国中19位、日本人は16位だった。
また、マレーシア(3位)、インドネシア(5位)、フィリピン(7位)、中国(13位)といったアジア諸国で、韓国よりも順位が高い結果となった。韓国よりも順位が低かったのはアラブ首長国連邦だけで、事実上世界の最下位といえるものだ。

事実、事例がこの後も続いているが、グローバル化が進む一途の中での強烈な問題意識ということと思う。世界で物言うリーダーシップ醸成となると、ますます重要な英語力ということであろう。

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