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経済安保の中核の半導体:Biden大統領日韓訪問、Davos会議、他関連

新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜27日午後時点、世界全体で5億2784万人に達し、7日前の午後から380万人増、前週比ほぼ横ばいである。我が国では、およそ2年ぶり、要件を満たす国々からの観光客受け入れが6月10日から再開である。欧米対中ロの緊迫した世界情勢の中、経済安全保障の中核としての半導体の取り上げ、注目が続いている。前回示した韓国に続いての我が国へのBiden米国大統領の訪問日程の関連記事それぞれに、キーワードとしてあらわれている。同じタイミングで開催の世界経済フォーラム(WEF)の年次総会、ダボス会議およびその周辺でも、半導体関連のやりとりが見られている。その他世界各地の同様の動きを追っている。

≪優位性確保に向けたそれぞれの取り組み≫

Biden米国大統領が今回まず訪問した韓国の出だしを前回示したが、引き続く関連内容を以下に示している。

◇Biden highlights US chip production on trip in S Korea (5月21日付 Taipei Times)
→米国のJoe Biden大統領が昨日、米国の技術分野に焦点を当ててアジアへの旅を開始、韓国のサムスン電子のコンピューター半導体工場を見学した旨。同社がテキサス州オースティン郊外に建設している$17 billionの半導体工場のモデルとなる旨。

Samsungのファウンドリーへの意気込みが、改めてプレゼンされている。

◇世界初の「3ナノ」半導体…サムスン、ファウンドリー市場ひっくり返すか (5月23日付け 韓国・中央日報)
→尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領とバイデン米大統領は20日、サムスン電子の平沢(ピョンテク)キャンパスを訪れ「半導体同盟」への意志を明らかにした旨。両首脳はこの日芳名録の代わりにゲートオールアラウンド(GAA)基盤の3ナノ半導体ウエハーに署名した旨。
22日の業界によると、サムスン電子が今回3-nmプロセスが適用された最先端半導体ウエハーを世界で初めて公開し、世界のファウンドリー市場が揺れ動くかもしれないとの見通しが出ている旨。市場ではファウンドリー分野世界1位の台湾TSMCに対抗するサムスンの「秘密兵器」という解釈が出ている旨。サムスンはGAA基盤の3ナノ第1世代半導体を5〜6月中に量産する計画だと明らかにした旨。

◇Samsung Elec foundry business may pick up after Biden visit (5月23日付 Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→Samsung Electronicsは、Joe Biden米国大統領と実業家や関係者の側近から平沢キャンパスの次世代半導体処理拠点への特別訪問を受けた後、米国企業から新しいファウンドリー作業を確保することへの期待を高めている旨。同社は来月、Taylor City, Texasで行われる$17 billionのファウンドリープロジェクトに向けた注目を集める起工式に備えている旨。

◇サムスン・イ副会長が韓米首脳をお出迎え…「半導体協力・発展を期待」 (5月25日付 コリア・エレクトロニクス)
→サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が20日午後、京畿道(キョンギド)のサムスン電子平沢(ピョンテク)半導体工場(平沢キャンパス)を訪れたユン・ソクヨル大統領とジョー・バイデン米大統領を出迎えた。韓国メディア「s-journal」が報じた。
イ・ジェヨン副会長は同日、平沢工場で韓米首脳の初会合に続き、約20分間の工場視察日程にも同行した。
イ副会長はすぐに続いた歓迎イベントでは両国首脳が平沢工場を訪問したことに対して深い謝意を明らかにし、韓米間半導体協力を強調した。

新政権がスタートしたばかりの韓国、力強い経済界の打ち上げである。

◇韓国新政権にご祝儀?、サムスン、総額45兆円投資、他財閥も相次ぎ表明 (5月25日付 日経)
→韓国サムスングループは24日、今後5年間で設備投資や研究開発に450兆ウォン(約45兆円)を投資すると発表、過去5年間の投資実績330兆ウォンから36%積み増す旨。韓国では新政権発足後に政府の歓心を買おうとする「ご祝儀」の発表が慣例化しており、財閥企業の投資計画表明が相次いでいる旨。サムスンは450兆ウォンのうち、80%に相当する360兆ウォンを国内に投じる旨。世界で若年者雇用を進め、5年間で8万人を新規採用する目標も明らかにした旨。

そして、我が国でのBiden大統領を迎えた間での半導体に関する記事内容である。

◇Japan, U.S. to deepen economic security ties amid supply disruptions‐Japan and US to cooperate on chip shortages, supply chain (5月23日付 Kyodo News (Japan))
→Joe Biden大統領と岸田文雄首相は、両国が高度なバッテリー技術およびmicrochipの不足など多くの経済安全保障問題で協力することになると述べた旨。岸田氏は、「こうした協力を通じて、日本は米国とともに、持続可能で包摂的な経済社会を実現するためのイニシアチブをとる」と述べた旨。

◇半導体再興へ同志連携、脱「日の丸」に戦略転換―日米首脳会談 (5月24日付 JIJI.COM)
→日本と米国が半導体サプライチェーン(供給網)の強化で合意したことは、長らく続いた衰退傾向からの再興を狙う日本の半導体産業にとって転機となりそう。政府は従来の「日の丸半導体」単独で生き残りを目指す戦略を転換。基本的な価値観を共有する米国や台湾など同志国・地域との連携による産業競争力強化にかじを切った旨。
バイデン米大統領は、先に訪問した韓国とも半導体供給網の強化で合意した旨。23日の日米首脳会談後の記者会見では、世界的な半導体の生産拠点でもある台湾の防衛に関与することを明言。日韓台との「半導体同盟」で、供給網の脱中国依存を進める構え。

自民党の議員連盟から半導体戦略を推進する決議があらわされている。

◇半導体官民投資「10年で10兆円」、自民議連が決議 (5月25日付 日経)
→自民党の半導体戦略推進議員連盟(甘利明会長)は24日、半導体の製造基盤の強化へ決議をまとめた旨。「10年で官民あわせて10兆円規模の追加投資を行うべく本年度補正予算をはじめ機動的に支援を拡充していくべきだ」と強調した旨。サプライチェーン(供給網)を確保するため企業を支援する基金の積み増しを提案した旨。米国など同盟国や有志国と協力して2020年代に次世代半導体の製造基盤を確立することも求めた旨。

次に、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会、ダボス会議およびその周辺でのどちらかというと切実な現状のやりとりが以下の通りである。まずは、IntelのCEO、Pat Gelsinger氏の発言である。

◇Intel CEO Pat Gelsinger says chip shortage risks expansion-Intel CEO: We need more IC gear for our wafer fab plans (5月23日付け The Economic Times (India)/The Associated Press)
→設計図に多くの計画されたウェーハ製造拠点があるため、IntelのCEO、Pat Gelsinger氏は、一部の半導体製造システムが特定のmicrochipの不足のために簡単に手に入らず、これらの将来のファブを埋めるために必要となる半導体製造装置を購入できるかどうかを心配している旨。Gelsinger氏はスイスのDavosで開催された世界経済フォーラムで記者団に、「私たちにとって、これは今や最大の問題であり、実際には機器の納入である」と語った旨。

◇Intel CEO Expects Chip Shortage to Persist Through 2024‐Intel CEO Pat Gelsinger warns the two?year chip shortage is likely to continue through 2024. (5月25日付け EE Times)
→IntelのCEO、Pat Gelsinger氏は、自動車から高度な武器に至るまでの製品の生産量が限られているこの2年間の半導体不足は、2024年まで続くと考えている旨。「半導体の不足は半分あたり」と、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムでのYahoo Moneyとのインタビューで同氏。「私はそれが2024年まで続くと予想している。」

半導体関連法案の長引く議会審議に対するGina Raimondo米商務長官の率直なスタンスがうかがえる内容である。

◇DAVOS WEF‘Downright scary and untenable’: Commerce secretary warns U.S. needs to secure a future for its chip industry (5月25日付け CNBC)
→*CHIPS(Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors) for America Actは2021年1月に可決された一方、国内の半導体製造能力を拡大するための超党派の支持にもかかわらず、議会はそのさまざまなプログラムにリソースを割り当てる法案にまだ合意していない旨。
 *「これは国家安全保障上の大きな問題であり、friend-shoringではなく、アメリカでの半導体製造に移行する必要がある。」Raimondo米国商務長官が、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムで独占的にCNBCに語った旨。

◇Chips Act Looking Iffy‐Viewpoint: Raimondo frustrated by chips bill progress ‐The US Secretary of Commerce, Gina Raimondo, sounds as though she's getting a trifle narky about the lack of progress of the Chips Act. (5月27日付け Electronics Weekly (UK))
→Gina Raimondo米商務長官が、下院と上院で可決された2つの別々の半導体資金調達法案を調整するための議会での進展の欠如に焦りを感じている旨。該議会委員会の交渉は3ヶ月間続いている旨。

ダボス会議では、ウクライナが最大の焦点。目に入った以下の内容である。

◇ダボス会議閉幕、ウクライナ、情報戦で優位狙う (5月27日付け 日経 電子版 00:34)
→世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)が26日、閉幕した旨。ウクライナ政府にとってはロシアとの情報戦で優位を築く絶好の機会となり、クレバ外相など多数の政府関係者を送り込んだ旨。多くの討論会で侵攻が話題となり「有事の会議」の様相を呈した旨。

◇キッシンジャー氏「ウクライナ分割も」、大統領は猛反発 (5月27日付け 日経 電子版 01:34)
→26日に閉幕した世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)では、ロシアと戦うウクライナの停戦後の姿についても議論が交わされた旨。一部の識者が領土の事実上の分割が避けられないとの見方を示す一方で、ウクライナ首脳がこれに強く反論した旨。

現下の世界情勢に密接につながるその他の半導体関連から。

中国の台湾における半導体人材の引き抜きである。

◇台湾、中国企業10社を捜索、半導体人材の違法引き抜き疑い (5月26日付け ロイター)
→台湾当局は、半導体の技術者や、ハイテク分野の専門職人材の違法な引き抜きをしている疑いで中国企業10社を捜索した旨。
中国の習近平指導部は、先端半導体の国産化を目指し、技術者の囲い込みに動いている旨。台湾は先月、違法な引き抜きの疑いで中国企業約100社に対する調査を開始した旨。

◇Taiwan raids Chinese firms in latest crackdown on chip engineer-poaching‐Taiwan accuses Chinese companies of poaching chip talent (5月26日付け Reuters)
→台湾で活動している中国企業10社が現地当局に急襲され、半導体エンジニアを不法に採用したとして非難されている旨。台湾の調査局は声明のなかで、「中国企業による台湾のハイテク人材の違法な密猟は、我々の国際競争力に悪影響を及ぼし、国家安全保障を危険にさらしている」と述べた旨。

◇Authorities raid 10 Chinese firms over recruitment‐BIG EFFORT: After a probe in March, the Investigation Bureau teamed up with prosecutors' offices in five areas to search firms for suspected talent poaching (5月27日付け Taipei Times)

英国半導体工場の中国企業傘下のNexperiaへの売却の件、英国政府が調査するとしている。

◇英政府、中国企業の英半導体ニューポート買収を調査へ (5月26日付け ロイター)
→クワーテング英民間企業・エネルギー・産業戦略相は25日、中国企業傘下のネクスペリアによる英半導体メーカーのニューポート・ウエハー・ファブ買収について、国家安全保障に関する調査を開始すると明らかにした旨。クワーテング氏は「英国は海外からの投資を歓迎するが、英国の安全保障を脅かしてはならない」とツイッターに投稿した旨。

Huaweiとの1件があったカナダであるが、5G通信機器から中国のHuaweiおよびZTEをこのほど排除するとしている。

◇カナダ、5Gからファーウェイ・ZTE排除、米欧日と足並み (5月26日付け 日経産業)
→カナダ政府は高速通信規格「5G」から中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)を排除すると発表、米国や欧州各国と足並みをそろえる旨。ファーウェイの孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)のカナダでの逮捕や、カナダ人の中国での拘束を経て、両国の関係は冷え込んだ旨。中国の反発は必至。

経済安保の視点からの半導体関連の動きに、引き続き注目である。


コロナ対応のなかなか完全には収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□5月23日(月)

ここでもBiden米国大統領の関連から。臨場感溢れる記者とのやりとりに注目させられている。

◇バイデン氏、台湾有事なら軍事的関与、日米共同会見 (日経 電子版 16:11)
→バイデン米大統領は23日午後、台湾有事が起きた場合に米国が軍事的に関与するかを問われ「はい(YES)。それが我々の約束だ」と発言した旨。東京・元赤坂の迎賓館で日米首脳会談後に岸田文雄首相と臨んだ共同記者会見で答えた旨。バイデン氏の発言は台湾防衛を曖昧にしてきた歴代政権の政策から踏み込む内容。

□5月24日(火)

8週連続の下落の後ということで、盛り返しに乗る気分があったか、6日連続で上昇が見られた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ続伸、618ドル高、銀行株高で心理改善 (日経 電子版 05:31)
→23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前週末比618ドル34セント(2.0%)高の3万1880ドル24セントで終えた旨。前週まで8週連続で下落し、その間の下落幅は3600ドル近くに達した旨。この日はハイテク株などに割安感や値ごろ感に着目した買いが入った旨。JPモルガン・チェースなど銀行株が軒並み上昇したのも投資家心理の改善につながった旨。

◇クアッド首脳会議、バイデン氏、中ロへの懸念共有訴え‐中国念頭に安保認識巡り議論 (日経 電子版 13:06)
→日米豪印の4カ国の枠組み「Quad(クアッド)」は24日午前、首相官邸で首脳会議を開いた旨。国際秩序に基づく「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指すと確認する旨。インドを引き込み、中国やロシアに関する安全保障上の脅威認識をすり合わせる狙いがある旨。

◇バイデン氏、台湾政策の変更否定、米の防衛関与明言巡り (日経 電子版 16:11)
→バイデン米大統領は24日、米国の台湾政策について「方針は全く変わっていない」と述べた旨。首相官邸で記者団から台湾防衛をあいまいにしてきた歴代政権の政策を転換したのかと問われ「違う(No)」と答えた旨。

□5月25日(水)

◇NYダウ続伸48ドル高、ナスダックは年初来安値 (日経 電子版 05:51)
→24日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比48ドル38セント(0.2%)高の3万1928ドル62セントで終えた旨。業績懸念から主力ハイテク株が売られ、午前には下げ幅が一時500ドルを超えた旨。だが、前週までハイテク株や景気敏感株と同様に売られてきたディフェンシブ株には下げすぎとみた買いが入った旨。ダウ平均は午後に下げ渋り、取引の終了間際に上げに転じた旨。

□5月26日(木)

米国連邦準備理事会(FRB)での利上げの審議の議事録が公開され、想定内の受け取りが株価にも影響している。

◇0.5%連続利上げ、大半の参加者が支持、5月FOMC議事録 (日経 電子版 04:33)
→米連邦準備理事会(FRB)は25日、5月3〜4日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公開、大半の参加者が「今後2回の会合でも0.5%の利上げが適切になるだろう」と指摘し、7月まで3会合連続の大幅利上げを支持した旨。先行きの景気を冷やす懸念よりも約40年ぶりのインフレを封じ込めることを優先する姿勢が一段と鮮明になった旨。

◇NYダウ続伸、191ドル高、FOMC議事要旨後に買い強まる (日経 電子版 06:37)
→25日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比191ドル66セント(0.6%)高の3万2120ドル28セントで終えた旨。米連邦準備理事会(FRB)が午後に公表した5月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨は市場の想定内の内容と受け止められた旨。注目されたイベントを無難に通過し、最近の相場下落で生じた割安感や値ごろ感に着目した買いが優勢になった旨。

□5月27日(金)

◇NYダウ5日続伸、516ドル高、決算支えに消費関連に買い (日経 電子版 06:45)
→26日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日続伸し、前日比516ドル91セント(1.6%)高の3万2637ドル19セントで終えた旨。小売企業で市場予想を上回る四半期決算の発表が相次ぎ、米経済を支える消費は堅調との見方から消費関連株を中心に買いが優勢だった旨。

米欧と中ロの狭間に揺れるアジアの今後が、以下で議論されている。

◇危機下のアジア、分断を警戒、米欧・中ロの綱引きの場に (日経 電子版 06:58)
→26日に都内で開幕したアジアの政治・経済について討議する第27回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)は米中対立、ロシアのウクライナ侵攻など地域が直面する地政学危機に各国の首脳や閣僚から懸念の声が相次いだ旨。安定した地域秩序と経済のグローバル化を成長エンジンにしてきたアジアにとって、深まる分断は強い逆風。米欧と中ロのはざまで、東西冷戦期以来の試練にさらされている旨。

□5月28日(土)

◇NYダウ続伸、575ドル高、過度なインフレ懸念後退 (日経 電子版 05:47)
→27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は6日続伸し、前日比575ドル77セント(1.8%)高の3万3212ドル96セントで終えた旨。朝方発表の米物価指標の伸び率が縮小し、インフレ加速への過度な警戒感が和らいだ旨。消費関連やハイテク株を中心に買いが入り、取引終了にかけて上げ幅を広げた旨。


≪市場実態PickUp≫

【BroadcomのVMware買収】

半導体企業では過去最大とされる、米半導体大手、Broadcomによるクラウド関連大手、米VMwareの$61 billion買収に、以下の通り大きな注目である。AvagoからBroadcomはじめ積極的な買収戦略の展開&経緯で知られるマレーシア生まれのHock E. Tan氏、今後に改めての注目である。

まずは、発表の前段階の内容から。

◇Broadcom in Advanced Talks to Buy VMware-The tech companies are discussing a cash-and-stock deal that could come soon (5月22日付け The Wall Street Journal)

◇Broadcom is in talks to buy cloud software provider VMware, sources say (5月23日付け FierceElectronics)

◇Report: Broadcom may pay $60B for VMware in a deal to be announced Thursday (5月23日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

◇Investors are betting Broadcom will pay at least $50M to buy VMware (5月23日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Broadcom(San Jose)がVMware(Palo Alto)を買収したいとしている報道で、VMwareの株価が月曜23日約25%上昇の旨。

◇Broadcom, VMware deal could be announced by Thursday, sources say-Broadcom said to be close to buying VMWare (5月23日付け CNBC)
→Broadcomが、クラウドサービスのプロバイダー、VMwareを買収する契約について交渉中であり、CNBCがこの契約は今週終了する可能性があるとさまざまなメディアの報道の旨。両社は、Broadcomが半導体を超えてenterpriseソフトウェアに拡大するための現金と株式の取引について話し合っている、としている旨。

◇Chipmaker Broadcom in talks to acquire VMware for $60 billion -sources (5月23日付け Reuters)

VMwareの前CEOで現インテルのCEO、Pat Gelsinger氏のコメントである。

◇VMware's Old CEO Has Mixed Feelings About Broadcom Acquisition‐Former VMware chief has mixed emotions on Broadcom deal ‐Gelsinger was VMware CEO for 8 years before returning to Intel‐Increased consolidation in industry is a ‘normal cycle’ (5月23日付け Bloomberg)
→Intelの最高経営責任者になる前に8年間VMwareを率いていたIntelのCEO、Pat Gelsinger氏は、VMwareの買収に対するBroadcomの伝えられる関心について曖昧に感じており、「VMwareがより説得力のある革新的な成長ストーリーになるのに役立つなら、それは良いこと。そうでなければ、それは良くはない。」と述べている旨。Gelsinger氏は、何年にもわたって行われている半導体業界の統合は、ビジネスにおける"通常のサイクル"を表していることを認めている旨。

以下、本買収正式発表を受けての内容である。

◇Broadcom to buy VMware in $61B blockbuster deal (5月26日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→規制当局によって承認された場合、それはBroadcomのCEO、Hock E. Tan氏の買収キャリアにおける最大の取引であり、史上最大のハイテク取引の1つになる旨。

◇Broadcom announces plans to buy VMware in $61 billion deal‐Broadcom strikes $61B deal to acquire VMware (5月26日付け CNBC)
→半導体メーカー、Broadcomが、利益率がより高いエンタープライズソフトウェアの分野に参入するために、$61 billionの現金と株式の取引でVMwareを買収する計画の旨。エンタープライズサーバー並びにクラウドのサーバーを動かす製品を製造するVMwareは、2021年にデルからスピンオフの旨。

◇Broadcom to buy VMware for $61B in record tech deal (5月26日付け BNN Bloomberg (Canada))

◇ブロードコムが7.7兆円買収、クラウド大手VMウェア全株 (5月26日付け 日経 電子版 23:28)
→米半導体大手、ブロードコムは26日、クラウド関連大手、米ヴイエムウェア(VMウェア)を約$61 billion(約7兆7500億円)で買収すると発表、成長が続くクラウドコンピューティング分野に強いVMウェアを取り込み、収益性が高いソフト部門の強化につなげる旨。

◇Broadcom agrees to buy VMware for $61B, boosting software prowess (5月26日付け FierceElectronics)

◇Broadcom's $61B deal to acquire VMware raises questions for customers (5月27日付け FierceElectronics)
→半導体大手、Broadcomが、クラウドソフトウェア会社、VMwareを$61 billionの現金と株式で買収する契約を結んだ旨。しかしアナリストがFierceに語るに、Broadcomは、ソフトウェアプレーヤーとして、および予測可能性と一貫性を高く評価する企業顧客の両方に、取引の結果として自らを証明するためにやるべきことがたくさんある旨。

◇買収王、クラウドに参戦、ブロードコム9兆円投入の勝算 (5月27日付け 日経 電子版 08:57)
→半導体業界の買収王として知られる米ブロードコムのホック・タン最高経営責任者(CEO)が久々の大型M&A(合併・買収)に乗り出した旨。9兆円近くを投じるのはクラウドコンピューティングを支えるソフトウエア企業、ヴイエムウェア(VMウェア)。株式相場の調整局面を捉え、成長が続くクラウドに触手を伸ばす旨。

【Samsungの積極投資戦略】

韓国の新政権に向けて各財閥から次々投資計画表明打ち上げと上記にあるが、Samsungグループは、今後5年間で$356 billionを投資、80,000人の雇用を創出するとコミット、以下の業界各紙の取り上げである。

◇Samsung to invest $356 bln over five years in strategic sectors‐Samsung budgets $356B over 5 years to advance tech (5月23日付け Reuters)
→サムスングループが、半導体、バイオ医薬品技術など先端技術の開発に5年間で$356 billionを費やす旨。該韓国のコングロマリットは、投資努力を通じて80,000人の新規雇用を創出することを計画している旨。

◇Samsung plans to create 80,000 new jobs with $356 billion investment (5月24日付け CNN)

◇Samsung ups its game with $356B investment for 80,000 jobs (5月25日付け FierceElectronics)
→サムスンが、今後5年間で$356 billionを投資し、主に半導体やバイオ医薬品などのコアビジネスで80,000人の雇用を創出することを約束した旨。

◇Samsung reportedly creating 1,000-strong team to make iPhone-beating mobile chip‐Report: Samsung forms team to challenge iPhone's chipset ‐Samsung Galaxy S25 could be the first phone with a new iPhone-rivalling chipset (5月25日付け Tom's Guide)
→サムスンが、独自のカスタムスマートフォンチップを設計し、アップルとグーグルからのそれらに対抗する大規模な新しいプロジェクトに着手していると伝えられている旨。ただし、実際に動作するのを確認するまでにはしばらく時間がかかる場合がある旨。

◇サムスン、5年間で8万人を新規採用…メモリー超格差維持戦略 (5月25日付け 韓国・中央日報)
→サムスングループは今年から2026年までに450兆ウォン(約45兆円)を投資して8万人を新規採用すると24日発表、このうち360兆ウォン(80%)は国内投資額。新政府の親市場基調に呼応し、果敢な先制投資を通じて未来産業を確保するという考えだとみることができる。
 ▼未来産業・新成長情報技術(IT)に集中投資
 ▼雇用創出
 ▼大・中小企業が共に成長する産業エコシステムの育成−−
が骨子。
まず半導体分野で新素材・新構造に対する研究開発(R&D)を強化し、極端紫外線(EUV)技術を早期導入し、メモリー半導体の超格差を強化する方針。最近、競争企業がメモリー半導体市場に積極的に参入して「世界初=サムスン」という公式が徐々に壊れつつある。・・・・・

Samsungグループを引っ張る李在鎔副会長のコメントである。

◇サムスン電子の李在鎔副会長「命かけて前だけ見て進む」 (5月26日付け 韓国・中央日報)
→李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長が今後5年間、半導体・バイオ・新成長ITなど未来の事業に450兆ウォン(約45兆円)を投資することに関連し、「前だけを見て進んでいく」と述べた旨。
李副会長は25日、龍山(ヨンサン)大統領室前の芝生広場で開かれた中小企業人大会に出席する前、投資計画について「数字は分からないが、ただ命をかけてやっていく」と話した旨。これまでも危機を迎えるたびに積極的な投資をしてきたサムスンが、徹底的な準備をして未来事業の基盤を固めるという意味として解釈できる旨。

【東芝関連】

株式非公開化を含めた再編を検討とされる東芝、取締役候補を巡る動きから、以下の今週の動き、および見方である。引き続き注目せざるを得ないところである。

◇Exclusive: Toshiba to propose Elliott, Farallon executives join its board‐Toshiba to reportedly propose 2 board seats for hedge funds (5月23日付け Reuters)
→東芝が、主要なヘッジファンドの株主のうち2名を取締役会に迎えることを提案する予定であると、本件に詳しい人々が述べている旨。問題を抱えた日本のコングロマリットを巡って外国人投資家により大きな影響力を与える可能性のある動きの旨。

◇Japan's Toshiba brings in M&A adviser and activists in board overhaul‐Toshiba overhauls its board, adding activist shareholders (5月26日付け Reuters)

◇東芝、取締役に物言う株主の幹部2人、議長は渡辺氏 (5月26日付け 日経 電子版 17:09)
→東芝は26日、定時株主総会で諮る取締役候補者13人を発表、社外取締役に主要株主で米資産運用会社ファラロン・キャピタル・マネジメントと米エリオット・マネジメントの2社から幹部を1人ずつ受け入れる旨。株主と経営陣の足並みをそろえるためだが、物言う株主(アクティビスト)の幹部が直接取締役を務めるのは珍しい旨。非公開化を含む再編策を進める中で、アクティビストの経営への発言力が一段と強まるとみられる旨。

◇東芝、「物言う株主」から取締役候補受け入れ検討 (5月26日付け 日刊工業)
→東芝は物言う株主(アクティビスト)とされる投資ファンドから取締役候補を受け入れる検討を始めた旨。米Farallon Capital Management, L.L.C.と同Elliott Managementからそれぞれ、1人を受け入れる案が出ている旨。ただ、東芝の指名委員会には受け入れに反対の意見もある旨。東芝は13日に予定した取締役候補の発表を急きょ見送っている旨。候補選定が遅れれば6月末予定の定時株主総会の開催もずれ込む可能性がある旨。

◇多難の東芝新体制、総会の承認焦点、特定株主に偏りも (5月27日付け 日経 電子版 00:39)
→東芝が6月の総会に諮る取締役候補者を決めた旨。当初13日に発表予定だったが、調整に時間がかかり約2週間遅れるなど、企業統治の混乱は続く旨。新体制は非公開化を含めた再編案の交渉を担うことになる旨。新旧合わせて13人の候補には物言う株主(アクティビスト)の関係者も目立つ旨。特定株主の出身者が複数いるなど偏りもみられる構成について、一般株主を含めて総会で承認を得られるかが焦点となる旨。

◇東芝非公開化、産業革新投資機構とファンド3陣営が軸に‐30日に締め切り (5月27日付け 日経 電子版 22:58)
→東芝が30日まで募集している株式非公開化を含めた再編策について、産業革新投資機構(JIC)や米大手投資ファンドのKKR、ベインキャピタルなどが提案を検討していることが27日わかった旨。外資系ファンドは3つの陣営が中心となりそう。東芝は原子力事業を手がけ、外資の出資に関しては改正外為法の審査がある旨。東芝は提案を精査し絞り込みを進めるが、JICを含めたファンド同士の連携などが最終決定まで続きそう。

【先行きの厳しさ】

コロナ禍、ウクライナ侵攻などの覆い、IC業界でも史上最高の販売高の昨年からの変わり目の見方が出始めている。

◇IC industry suppliers see varied prospects-After a torrid 2021, IC vendors see demand changes in 2022 (5月23日付け DIGITIMES)
→COVIDによる在宅経済のおかげで、世界の半導体およびITサプライヤーは前例のない売上げ成長を遂げた旨。しかし、この謳歌は終わりに近づいているようであり、さまざまな分野でさまざまな規模の景気後退に備えている旨。

Appleにも、中国のロックダウンの影響である。

◇Apple、iPhone開発に遅れ、中国の都市封鎖響く (5月25日付け 日経 電子版 15:03)
→米アップルが2022年の主力商品として計画しているスマートフォン「iPhone」の新機種のうち、少なくとも1機種の開発が予定より遅れていることが関係者への取材で分かった旨。中国がコロナの感染再拡大を受け、都市封鎖(ロックダウン)を続けてきた影響が出ている旨。
複数の関係者によると、アップルはサプライヤーに対し、遅れを取り戻すため開発のスピードを上げるよう指示した旨。ただ、新機種の製造計画や初期の生産台数に影響を与える可能性がある旨。アップルはコメントを控えた旨。同社は今年の新型アイフォーンとして4機種を準備しているとみられている旨。

Nvidiaはじめ半導体各社の利益減そして株価下落であるが、今後の推移に注意を要するところがある。

◇エヌビディアの2〜4月、純利益15%減、中国・ロシア警戒 (5月26日付け 日経 電子版 08:00)
→米エヌビディアが25日発表した2022年2〜4月期決算は、売上高が前年同期比46%増の$8.288 billion(約1兆円)、純利益は同15%減の$1.618 billion。データセンター向けが好調で過去最高の売り上げとなったが、5〜7月期は中国の都市封鎖(ロックダウン)やロシア事業停止の影響が膨らむとの見方を示した旨。

◇米大手半導体株が時間外で下落、予想下回るエヌビディア業績見通しで (5月26日付け ブルームバーグ)
→25日の米株式市場時間外取引で米大手半導体株が下落している旨。エヌビディアが示した四半期業績見通しが市場予想を下回ったことが嫌気された旨。エヌビディアが一時10%安を付けたほか、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)やマーベル・テクノロジーなどが2%を上回る下げとなった旨。マイクロン・テクノロジーとウエスタンデジタル(WD)も下落した旨。

【台湾・COMPUTEXから】

アジア最大規模のICT(情報通信技術)見本市、COMPUTEX Taipei(リアル5月24日〜5月27日、オンライン5月24日〜6月6日)が開催され、以下目に入った範囲、AMD、NvidiaおよびNXPからのプレゼンである。

◇AMD CEO announces new processor powered by TSMC at COMPUTEX (5月23日付け Focus Taiwan)
→Advanced Micro Devices、Inc.(AMD)の会長兼CEO、Lisa Su(蘇姿?)氏が月曜23日、同社が開発する最新のプロセッサは、世界最大の契約半導体メーカー、TSMCのプロセスノードを搭載すると発表の旨。Su氏は、台湾の国際的に有名な毎年恒例の技術見本市、であるCOMPUTEXと、その主催者である台湾対外貿易発展協議会(TAITRA)の招待によるvirtual基調講演で発表した旨。

◇AMD intros Ryzen 7000 desktop processors at Computex (5月24日付け FierceElectronics)
→AMDのChair and CEO、Dr. Lisa Su氏が月曜23日、virtual Computexをキックオフ、Zen 4アーキテクチャーおよびTSMCの5 nmプロセス技術に基づくRyzen 7000 Series desktopプロセッサを投入の旨。

◇AMD's Ryzen 7000 CPUs will be faster than 5 GHz, require DDR5 RAM, support PCIe 5.0‐AMD's Ryzen 7000 CPUs will run faster, support PCIe 5.0 ‐Integrated RDNA2-based Radeon GPUs will also become a standard feature. (5月23日付け Ars Technica)
→AMDは、1月のCESで、次期Ryzen 7000シリーズCPUsおよび新しいZen4 CPUアーキテクチャを最初に発表した旨。同社によれば、該半導体は新しいAM5 CPUソケットを使用し、TSMCの5 nm製造プロセスで構築され、今秋に発売される予定の旨。

◇AMD intros new-gen 5nm, 6nm processors (5月24日付け DIGITIMES)
→AMDが、今年後半に発売が予定されているRyzen 7000シリーズのデスクトッププロセッサと、Ryzen 6000シリーズのプロセッサを搭載した超薄型、ゲーム、および商用ノートブックモデルのラインナップを披露の旨。

◇Nvidia 'superchips' set to turn data centers into AI factories (5月24日付け FierceElectronics)
→Nvidiaが、台湾で開催されたComputexイベントで、そこに拠点を置くいくつかのコンピューターメーカーが、digital twins, AI, high performance computing(HPC), cloud graphicsおよびgamingにまたがる幅広いワークロードに対応、Nvidia Grace CPU SuperchipおよびGrace Hopper Superchipを使用した新しいシステムの最初の波をリリースすることを来年計画していると発表した旨。

◇NXP soon to roll out new-gen 5nm automotive processor (5月25日付け DIGITIMES)
→NXP Semiconductorsのpresident and CEO、Kurt Sievers氏が、Computex 2022での基調講演で、TSMCの5nmプロセス技術を使用して構築された新世代の自動車用プロセッサの開発を完了しようとしていると述べた旨。

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