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TSMCの日本新工場表明、<10-nmの6割強の台湾、半導体地政学更新

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新型コロナウイルスによる累計感染者数は土曜16日午前時点、世界全体で2億3998万人に達し、1週間前から約289万人増と5万人の減り幅である。我が国では、制限緩和&経済再開と引き続きの備え&警戒が並行である。先の週末から報道が見られたTSMCがソニーと協力、そしてデンソーが加わり、日本政府が最大半分程度補助するという熊本での半導体新工場について、10月14日開催のTSMCの決算発表会にて、2022年着工、2024年稼働、と正式に表明が行われている。生産するのは回路線幅が22〜28-nmの演算用(ロジック)半導体とされているが、IC Insightsによる最新生産capacity調査結果では、最先端<10-nmの6割強が台湾であり、先々の全貌の推移&更新に注目である。

≪グローバルな波紋≫

先週末時点で、TSMCがソニーと協力する図式がすでに以下の通りあらわされている。

◇TSMC・ソニー、熊本に半導体新工場、デンソーも参画 (10月9日付け 日経 電子版 05:13)
→世界最大の半導体生産受託会社である台湾積体電路製造(TSMC)とソニーグループが、半導体の新工場を熊本県に共同建設する計画の大枠を固めた旨。総投資額は8000億円規模で、日本政府が最大で半分を補助する見通し。TSMCの先端微細技術を使い、自動車や産業用ロボットに欠かせない演算用半導体の生産を2024年までに始める旨。半導体は米中対立で供給網が混乱し、経済安全保障上の重要性が増している旨。工場新設により、日本は先端技術と安定した生産能力を確保する旨。

◇巨額補助金、問われる果実、台湾TSMC誘致 (10月9日付け 日経 電子版 12:00)
→半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)がソニーグループなどと協力し、日本の熊本県に新工場を建設する方針が固まった旨。総投資額は8000億円規模とされ、日本政府が最大で半分程度を補助する見通し。日本政府が海外企業に巨額の支援をするのは異例のことで今後、曲折も予想される旨。

以下、今週に目にした記事内容であるが、先週末時点でTSMCの史上最高の9月販売高が示されている。アップルのiPhone 13プロセッサの踏み上げが大きく効いている。

◇TSMC's sales top NT$150 billion in September for 1st time (10月8日付け Focus Taiwan)
→TSMCの9月販売高が、同社史上初めてNT$150 billion($5.36 billion)越え、9月連結販売高がNT$152.69 billionで、前月比11.1%増、前年同月比19.7%増。
TSMCは、9月にグローバルに売り出されたiPhone 13シリーズの生産向けA15プロセッサの単独サプライヤとされており、アナリストはApple社からの受注増加が当月の同社の出荷を大きく引っ張ったとしている旨。

米国でも日本の新工場が先週末にあらわされている。

◇TSMC and Sony considering joint chip factory, Japan gov't to help -Nikkei (10月8日付け Reuters)

木曜14日のTSMCの決算発表、そして日本の新工場についてのいろいろな観測記事が続いている。

◇TSMC's investor conference could focus on U.S. call for information-US request for data may be a hot topic at TSMC conference (10月9日付け Focus Taiwan)
→TSMCが、木曜14日に投資家conferenceを予定、世界中の投資家がしっかり見つめる該イベントでは米国の半導体メーカーへの需給情報の共有要求に触れる見込み、とアナリスト発。

◇日本、補助金の対価は、TSMC・ソニーが8000億円投じ工場、半導体、優先確保にハードル (10月11日付け 日経)
→台湾積体電路製造(TSMC)がソニーグループなどと協力し、日本の熊本県に新工場を建設する方針が固まった旨。総投資額は8000億円規模で、日本政府が最大で半分程度を補助する見通し。日本政府が海外企業に巨額の支援をするのは異例のことで今後、曲折も予想される旨。

◇TSMCに届いた日本のラブコール、連携、本丸の生産へ (10月11日付け 日経 電子版 02:00)
→半導体生産受託会社(ファウンドリー)の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)がソニーグループなどと協力し、日本の熊本県に新工場を建設する方針が固まった旨。多くの国がTSMCに熱烈なラブコールを送るなか、研究開発を起点に関係を深くしてきた日本は、生産面の提携に手がかかった旨。工場の国内誘致を契機に、半導体産業の基盤を立て直すには課題も多い旨。

TSMCと我が国の長年の関係の成果と謳われている。

◇Japan's wooing of TSMC pays off with $7bn chip plant-Tokyo had an inside track with Taiwan semiconductor giant in joint R&D deal (10月12日付け Nikkei Asia)
→TSMCが準備している新しい日本の半導体工場は、世界最大のファウンドリーとグローバル半導体業界における影響力を取り戻そうとしている国の間の長年の関係の産物である旨。

◇半導体国内生産、経済対策で支援、TSMC計画に首相 (10月12日付け 日経)
→岸田文雄首相は11日夜のテレビ東京番組で、国内で半導体の生産拠点を確保する企業への支援を年内につくる経済対策に盛り込むと述べた旨。台湾積体電路製造(TSMC)とソニーグループの熊本県の新工場建設計画を「経済安全保障にとって大変重要だ」と評価した旨。

そして、木曜14日、決算&日本新工場の発表が行われ、以下の関連各国での取り上げとなっている。

◇TSMC announces chip plant in Japan, flags 'tight' capacity throughout 2022-TSMC confirms the plan for a wafer fab in Japan (10月14日付け Reuters)
→TSMCが木曜14日、半導体の長期的欲求に向けて日本で新工場を建設する計画を発表、そしてCOVID-19 pandemicの間の需要活況の中、短期的供給逼迫が2022年も続く様相の旨。以下の要点:
 *第三四半期の利益が、市場予測T$149 blnに対しT$156.3 bln
 *第三四半期の売上げが、米国ドルで前年比22.6%増
 *TSMCの2021年売上げ伸長約24%に上方修正
 *日本の工場は2024年後半までに生産開始予定

第三四半期の利益も最高を更新している。

◇TSMC Q3 net profit hits new high; gross margin recovers (10月14日付け Focus Taiwan)
→TSMCの第三四半期net profitsがNT$156.26 billion($5.58 billion)と最高を記録、前四半期比16.3%増、前年同期比13.8%増。市場アナリストは製品価格の上昇による伸びとしている旨。

新工場の具体的な運び、プロセス基準があらわされている。

◇TSMC、日本に新工場表明、2022年着工2024年稼働 (10月14日付け 日経 電子版 16:00)
→世界最大の半導体受託生産会社(ファウンドリー)である台湾積体電路製造(TSMC)は14日に開いた決算発表会で、日本に新工場を建設すると発表、2022年に工場の建設を始め、2024年から量産する計画。新工場の建設には、ソニーグループとデンソーが参画する方向。
同日会見した魏哲家・最高経営責任者(CEO)は「当社の顧客、および日本政府の双方から、このプロジェクトを支援するという強いコミットメントを得た」と話した旨。生産するのは回路線幅が22〜28-nmの演算用(ロジック)半導体。一般的に画像などデータ量の多い信号処理や、車の制御などに使う高性能のマイコンなどに用いられる旨。

◇TSMC半導体工場、来年着工、日本に新設発表、量産2024年から (10月15日付け 日経)
→世界最大の半導体受託生産会社(ファウンドリー)である台湾積体電路製造(TSMC)は14日、日本で初となる工場を2022年から建設し、2024年末に量産を始めると発表、半導体不足が長期化するなか、日本政府は経済安全保障上の観点から、有力企業の工場が国内に必要との立場。数千億円規模の補助金などを通じて支援する方針。

我が国政府の補助のあり方の課題である。

◇TSMC新工場に政府補助、経済安保と公正さ、両立課題 (10月15日付け 日経 電子版 05:14)
→半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)が日本に工場を建設、日本政府は投資額の最大半額ほどを補助金で支援する旨。経済安全保障上の重要性が増す半導体を国内で生産できる体制を確保する旨。補助金の出し方によっては、世界貿易機関(WTO)ルールとの整合性が問われる可能性もある旨。経済安保と公正な競争環境の両立が課題となる旨。

今回のTSMCの発表とほぼ並行するタイミングで、IC Insightsが、世界の地域別月次半導体生産capacityを以下の通りあらわしている。改めて現状を確認するところである。地域別1位、2位の台湾、中国を足し合わせると、北米の約3倍、とタイトルにあらわされている。

◇IC Industry at Heart of Possible China Takeover of Taiwan-Combined, China and Taiwan would hold about 37% of global IC capacity, almost 3x that of North America. (10月13日付け IC Insights)
→IC InsightsのOctober Update to The McClean Report。2020年12月時点での世界地域別月次installed capacity比率:
 台湾    21.4%
 韓国    20.4%
 日本    15.8%
 北米    12.6%
 中国    15.3%
 欧州     5.7%
 その他    8.9%

◇IC Industry at Heart of Possible China Takeover of Taiwan (10月14日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

プロセス基準、すなわち微細化の度合い別にもあらわされており、最先端の10-nm以降では、台湾が63%、残り37%を韓国が占める現状である。

◇The Importance of Taiwan-Taiwan is ahead of Korea in leading-edge chip production (10月14日付け Electronics Weekly (UK))
→TSMCが引っ張る台湾が、世界の最先端(すなわち <10nm)IC capacityの最大シェア63%、Samsungが代表する韓国が残る37%の旨。

我が国についてはどうか。プロセス基準別の世界全体のcapacity、20.81M枚/月の内訳、および我が国がそれぞれ占める比率が次の通りあらわされている。

≥0.18µm
<0.18µm-
<40nm-
<20nm-
<10nm
世界全体
≥40nm
≥20nm
≥10nm
4.80M
4.22M
2.31M
8.01M
1.47M
20.81M枚/月
17.1%
13.5%
-
23.6%
-


日本の新工場では22〜28-nmの演算用(ロジック)半導体が製造される予定とのこと。上記の<40nm-≥20nmの欄のcapacityにあらわれてくるかと思われる。

世界の半導体生産MAP、すなわち半導体地政学なるものに変化、影響を及ぼしていくことになるが、世界各地のさまざまな関連する動きが並行しており、以下取り出している。

まずは、中国と韓国であり、無錫市とSK Hynixのコラボである。

◇New China-Korea semiconductor industrial complex starts construction amid Beijing's push for tech self-reliance -SK Hynix teams with Wuxi to build microchip complex (10月8日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→中国東部、Jiangsu province(江蘇省)のcity of Wuxi(無錫市)当局が、SK Hynixとコラボ、半導体技術に向けた$310 million complex、China-Korea Integrated Circuit Industrial Parkを建設の旨。該complexには19の半導体関連プロジェクトが入り、投資総計$4.7 billionの旨。

◇SKハイニックス 中国無錫の半導体産業団地建設に3700億ウォン共同出資 (10月12日付け コリア・エレクトロニクス)
→SKハイニックスが中国メーカーと約3700億ウォン(約346億円)を共同出資して、中国江蘇省無錫地域に半導体産業団地を造成すると、アジアトゥデイが報じた旨。
中国無錫市政府のホームページに9日に掲載された官営メディアの報道によると、SKハイニックス半導体と中国企業の新発グループが共同出資して建設する「無錫韓中集積回路産業団地」が7日に着工した旨。

Samsungが、TSMCより早く3-nm半導体を量産化すると明らかにしている。

◇サムスン電子、TSMCより早く来年上半期に3-nm工程半導体を量産へ (10月11日付け コリア・エレクトロニクス)
→サムスン電子が世界最大のファウンドリ(半導体委託生産)企業の台湾TSMCと競争している3-nm半導体の生産時期を来年上半期に繰り上げたと、韓国nocutnewsが報じた旨。
サムスン電子のチェ・シヨン ファウンドリ事業部長(社長)は6日(米国現地時間)、オンラインで開催された「サムスンファウンドリフォーラム2021」の基調演説で、来年上半期に次世代GAA(Gate-All-Around)技術を適用した3-nm第1世代、2023年に3-nm第2世代の量産を開始すると明らかにした旨。

◇Samsung Foundry Promises Gate All-Around in '22 (10月14日付け EE Times)
→Samsungが、TSMCおよびIntelを飛び越えて、gate all-around(GAA)トランジスタ生産版を得る最初のファウンドリーになる計画の旨。

supply chainの現状の1側面をあらわす半導体のリードタイムである。

◇Chip Shortage Not Great for Chip Makers Either -Chip lead times continue to widen-Lead times have surged as production constraints have grown, but chip investors are more worried about what lies beyond (10月12日付け The Wall Street Journal)
→半導体のリードタイムが22週であり、昨年より9週多く、MCUコントローラなどのコンポーネントが長くなっている旨。「今と2022年半ばの間で、供給と需要が釣り合ってくるという様相が得られるという感覚にさせられる何ものもない。」と、MicrochipのCEO、Ganesh Moorthy氏。

ドイツから韓国への半導体材料投資である。

◇独メルクエレクトロニクス、韓国半導体材料事業に8300億ウォン投資 (10月12日付け コリア・エレクトロニクス)
→ドイツの素材・部品企業であるメルクエレクトロニクス(Merck Electronics)が2025年までに韓国に6億ユーロ(8300億ウォン、約780億円)を投資する旨。韓国における半導体と有機発光ダイオード(OLED)の製造用素材の生産設備拡張や研究開発(R&D)能力の強化に活用されることが予想される旨。韓国イーデイリー社が報じた旨。

次世代の半導体で勝利を収める重みがあらわされている。

◇Semiconductors 101: Computer chips shortages lead to national security concerns-Viewpoint: Chip shortages are a national security issue -An anonymous expert on computer chips, known as semiconductors, warns recent supply shortages present a major national security threat (10月13日付け Fox News)
→基幹コンポーネントの世界的不足が国家セキュリティへの挑戦課題となる、と匿名業界insiderがFox Newsに対し。次世代半導体製品の競争に勝つものが誰でも次第に大きな軍事力、そしてたぶんにグローバルな舞台で支配的な政治&経済力を持つようになる旨。

EUの半導体へのスタンスについて、オランダからの警告である。

◇Dutch warn against global decoupling in European Chips Act-European Chips Act may roil worldwide IC supply chain (10月13日付け Reuters)
→European Union(EU)は、欧州半導体製造ecosystemをつくり出し、自己充足を図っていく中、グローバル半導体supply chainから分断していくべきではない、とオランダが今週警告の旨。

SK HynixのインテルNAND買収から1年、中国当局の法制承認がまだおりていないとのこと。

◇SKハイニックス、インテルNAND買収契約から1年…中国の承認はいつ頃か (10月13日付け コリア・エレクトロニクス)
→SKハイニックスが米インテルNAND事業部の買収契約を締結して1年になる中、中国当局の企業結合承認が長期化している旨。一部では、年末までに該当国家の反独占審査を通過し、インテルNAND買収合併(M&A)の手続きを本格化しようとするSK側の計画に支障をきたすのではないかという憂慮が出ている旨。聯合ニュースが報じた旨。

中国の半導体自給率目標について、実態とのあまりに大きな乖離である。

◇中国半導体、遠い「自給70%」、昨年は10%台、2025年政府目標、米と対立で設備調達遅れ (10月13日付け 日経)
→中国政府が掲げる2025年に半導体自給率70%の目標達成が難しい情勢になっている旨。民間調査会社によると、2020年の自給率は10%台半ばにとどまった旨。米中対立で製造設備の調達が進まないことなどが原因。習近平(シー・ジンピン)指導部は政府系ファンドの投資拡大や補助金、名門大学に専門学部を設立するなど政策を総動員するが、実現は容易ではない旨。

米国政府の機密資料要求について、拒否のTSMCに対し、韓国側の対応が次の通りである。

◇「極秘資料を除いて提出」…K半導体と韓政府が米政府との合意模索 (10月14日付け コリア・エレクトロニクス)
→世界トップの半導体ファウンドリ(委託生産)会社である台湾TSMCが、米政府の核心機密資料の提出要求に拒否する方針を明らかにし、韓国国内半導体企業の今後の対応策に関心が集まっている旨。サムスン電子・SKハイニックスは米国政府の要請を完全に拒否しにくいだけに、韓国政府と協力して敏感な資料は提出対象から除外するなど情報提供範囲を制限する方向で米政府との合意点を模索するという見通しが出ている旨。韓国ファイナンシャルニュースが報じた旨。

EUも、EU圏への半導体工場投資について、台湾に秋波を送っている。

◇EU appeals to shared values to tempt Taiwan's chip firms-EU pitches to Taiwanese chipmakers for fabs in Europe (10月14日付け Reuters)
→European Union(EU)と台湾は価値を共有する民主主義国であり、半導体となると自然なパートナーである、とあるsenior EU officialが木曜14日。台湾の半導体会社に該blocへの投資を投げかけの旨。

かくも新しい工場で生産capacityが拡大されると、こんどは過剰懸念があらわされている。

◇Will foundry expansions lead to capacity glut?-Chipmakers expand capacity -- will it be too much? (10月15日付け DIGITIMES)
→integrated device manufacturers(IDMs)および専業ファウンドリーが、新しいウェーハfab拠点をもって生産capacityを拡大しており、向こう数年で半導体業界が過剰capacityをもつ懸念につながっていく旨。例えば、TSMCはcapacity追加に向けて3年にわたって最大$100 billionを予算化、新しいfabsが中国、日本、台湾および米国で建とうとしており、ドイツでウェーハfabが検討されている旨。

自動車用半導体の不足は数年に及ぶ、との見方の1つである。

◇Automotive IC shortage to persist for next 2-3 years-Sources: Auto chip shortages may last into 2024 (10月15日付け DIGITIMES)
→業界筋発。車載用microchipsの世界的不足が、2022年および2023年も、たぶんに2024年に及んで続きそうな旨。内燃エンジン搭載自動車の半導体560個に対して、電気自動車には平均770個、と特に言及の旨。

半導体の出荷、supply chainの動きに、当面目が離せないところがある。


コロナ対応のなかなか完全には収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□10月10日(日)

注目の中台関係、国慶節および双十節でのトップの演説基調である。

◇中台、抑えた対決色、蔡氏「現状維持」習氏は対米配慮 (日経 電子版 15:32)
→中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が9〜10日、それぞれ演説、中国軍機が台湾の周辺空域に大量侵入した直後で注目されたが、両氏ともに対決色を抑えた旨。対米配慮や中国が国内安定を優先したことが背景にありそう。
「我々の主張は現状維持だ。(中台の)両岸関係の緊張緩和を期待する」。蔡氏は10日、中華民国の建国記念日にあたる「双十節」の祝賀式典で演説、蔡氏が率いる民進党は台湾独立を志向するが、独立論を明確に否定して中国に配慮した旨。

□10月12日(火)

景気先行き気分から前半下げ、後半上げて、過去最高値に300ドルあまりに迫って締めた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ続落、250ドル安、景気減速懸念で銀行株に売り (日経 電子版 06:40)
→11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前週末比250ドル19セント(0.7%)安の3万4496ドル06セントで終えた旨。原油など商品相場の上昇を背景とした長期金利の先高観は根強く、午後に入り持ち高調整の売りが膨らんだ旨。今週に決算発表を控える大手金融に売りが出たことも相場全体の重荷となった旨。

国際通貨基金(IMF)が本年の経済成長率予測を引き下げて、株価にも影響を与えている。

◇IMF lowers global growth outlook as supply bottlenecks hobble pandemic recovery-IMF lowers growth forecast, warns on inflation outlook (Reuters)
→International Monetary Fund(IMF)が、グローバル成長予測を7月時点の6%から5.9%に僅かに調整、加えて、新興市場が先進経済よりうまくいく旨。その最新レポートではまた、インフレが2022年にはより管理できる水準に低下との予想も含まれるが、経済回復の不揃いから短期的見通しが"高度に不安定"としている旨。

□10月13日(水)

◇世界の成長、5.9%に下げ、IMFが2021年予測を下方修正 (日経 電子版 05:24)
→国際通貨基金(IMF)は12日改定した世界経済見通しで2021年の実質成長率の見通しを5.9%と前回7月の予測から0.1ポイント引き下げた旨。新型コロナウイルスの感染再拡大による供給制約が響き、全体として成長に下振れリスクがあるとの懸念を表明。高インフレが長引く可能性にも警戒感を示した旨。

◇NYダウ3日続落、117ドル安、重要イベント前で買い控え (日経 電子版 06:17)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比117ドル72セント(0.3%)安の3万4378ドル34セントで終えた旨。重要な米経済指標や主要企業の決算発表を13日以降に控え、様子見ムードが強かった旨。その中で国際通貨基金(IMF)が世界と米国の経済成長率の予想を下方修正し、景気敏感株を中心に売りを誘った旨。

□10月14日(木)

半導体の不足も1つに、原材料高が価格に上積みとなって、中国の9月の輸出額が大きく伸びている。

◇中国輸出額9月28%増、海外向け製品、原料高転嫁 (日経)
→中国税関総署が13日発表した9月のドル建て輸出額は前年同月より28.1%増えた旨。市場の事前予想では国内の電力制限が輸出を下押しするとの見方が多かったが、結果は8月の25.6%増より加速した旨。資源や半導体など原材料高を製品価格に転嫁する動きが輸出額を押し上げている旨。
中国メディアがまとめた市場予想は21.5%だった旨。地域別でみた牽引役は、全体の19%を占める最大の輸出先である米国。9月は3割増と伸びが拡大した旨。

◇NYダウ横ばい、過度のインフレ懸念和らぐ (日経 電子版 05:56)
→13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅ながら4日続落し、前日比53セント安の3万4377ドル81セントで終えた旨。13日に決算を発表した銀行のJPモルガン・チェースや悪材料が出たスマートフォンのアップルが下落し相場の重荷となった旨。半面、朝方発表の9月の米消費者物価指数(CPI)を受けて過度のインフレ懸念が和らぎ、長期金利が低下したのは株式相場の支えとなった旨。

□10月15日(金)

◇NYダウ反発、534ドル高、企業の好決算相次ぐ (日経 電子版 07:42)
→14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反発し、前日比534ドル75セント(1.6%)高の3万4912ドル56セントで終えた旨。市場予想を上回る米主要企業の決算発表が相次ぎ、投資家心理が改善した旨。朝方発表の米経済指標を受け、過度なインフレや景気減速への懸念が後退したことも、株式の買い安心感につながった旨。

□10月16日(土)

◇NYダウ続伸382ドル高、金融決算や小売売上高を好感 (日経 電子版 05:52)
→15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比382ドル20セント(1.1%)高の3万5294ドル76セントと、9月上旬以来の高値で終えた旨。米主要企業の好決算の発表が目立ち、投資家心理が上向いた旨。9月の米小売売上高が市場予想を上回り、米景気の減速懸念が和らいだのも株買いを促した旨。
ダウ平均は8月16日に付けた過去最高値(3万5625ドル)にあと300ドルあまりに迫った旨。


≪市場実態PickUp≫

【iPhone 13関連】

コンポーネントの不足からアップルのiPhone 13の受注対応が減らされる見込みがあらわされている。

◇Apple likely to cut iPhone 13 production due to chip crunch -Bloomberg News-Report: Chip issues may force Apple to cut iPhone 13 output (10月12日付け Reuters)
→Bloomberg News発。Appleが、iPhone 13モデル用のコンポーネントの不足に直面、新しいhandsets受注を10 million台減らすことになる見込みの旨。Appleは該報道にコメントを出していない旨。

◇Apple Set to Cut iPhone Production Goals Due to Chip Crunch (10月12日付け Bloomberg)
→*Appleが、iPhonesの製造を計画より10 million台減らす見込み
 *Broadcom, Texas Instruments(TI)がpartsを十分に届けられていない状況

iPhone 13シリーズの生産を引き受けるFoxconnでは、深センでのworkersの手当てである。

◇Hon Hai seeking workers in Shenzhen (10月12日付け Taipei Times)
→中国のビジネスニュースoutlet、Eastmoney.com発。Hon Hai Precision Industry Co(鴻海精密)が、新しいiPhone 13シリーズの生産を立ち上げ、深セン(Shenzhen, China)で200,000のworkers採用に乗り出している旨。

iPhone13の有機ELパネルについて、このほど中国からも調達とのこと。

◇有機EL、中国からも調達、BOE供給、米アップル、iPhone13向け (10月14日付け 日経)
→米アップルは新型スマートフォン「iPhone13」の有機ELパネルの主要サプライヤの1社に中国パネル最大手、京東方科技集団(BOE)を選び、BOEは供給を本格的に始めた旨。BOEは技術力を高めており、同分野での韓国勢の寡占状況を崩した格好。

【Samsungの最先端DRAM】

Samsungが、業界初のDRAM生産へのEUV適用、EUV層を5層に拡張することでウェーハ全体の生産性を約20%向上とともに最高のビット密度を実現したDDR5メモリの量産開始を発表している。

◇Samsung increases EUV layers to five on DDR5-Samsung produces DDR5 DRAMs with 5 EUV layers -Samsung has begun mass producing 14nm DRAM using EUV technology. (10月12日付け Electronics Weekly (UK))

◇Samsung begins mass production of 14nm DRAM with EUV technology (10月12日付け Yonhap News Agency)

◇Samsung Electronics、EUVを用いた14nmプロセスのDDR5メモリを量産開始 (10月12日付け マイナビニュース)
→韓国Samsung Electronicsは10月12日(現地時間)、極端紫外放射(EUV)リソグラフィを用いたDDR5メモリの量産開始を発表、DRAMの微細化は10nm台に突入しており、Samsung Electronicsでは昨年3月に極端紫外放射(EUV)を用いた業界初のDRAMを出荷している旨。今回の発表では、EUVを用いて14nmという極めて微細なプロセスのDRAMチップを製造した点がトピックとなっており、さらにそれを5層にスタックした製品の量産を開始。これまでで最も高いビット密度を実現しつつ、ウェハ全体の生産性を約20%高めたとしており、しかも14nmプロセスでは前世代のDRAMよりも消費電力を約20%削減できる旨。

◇Samsung Starts Mass Production of Most Advanced 14nm EUV DDR5 DRAM (10月13日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

【インテル関連】

前AMDのGPU技術トップが、インテルに入っている。

◇Intel Hires Top AMD GPU Architect To Lead Xe IP Road Map-AMD GPU architect is recruited by Intel for Xe IP roadmap (10月11日付け CRN (US))
→IntelがCRNに対し確認、前AMDのGPU architect、Vineet Goel氏が9月後半に、Intelに6月に設立されたAccelerated Computing Systems and Graphics Group傘下のXe Architecture and IP Engineering Groupのvice president and general managerとしてIntelに入った旨。

インテルが、英国での工場投資を除外するとしている。

◇Intel Rules Out Fab Investment in UK, Blaming Brexit (10月12日付け EE Times India)

インテルそしてSamsungが、ベトナム工場の完全再開を来月末までの目標としているとのこと。

◇Intel, Samsung eye return of Ho Chi Minh plants to full operations in weeks (10月13日付け Taipei Times)
→Intel社およびSamsung Electronics Coが、それぞれのHo Chi Minh City工場のフル稼働再開を来月末までに目指しており、グローバルsupply chainsには救いとなる動きの旨。

【注目の内容】

EUVリソを引っ張るASMLから、Moore's Lawがさらに10年は行けるとの見方である。

◇Moore's Law Could Ride EUV for 10 More Years (10月12日付け EE Times India)
ASMLのvice president、Teun van Gogh氏, EE Timesとのインタビュー。
2023年前半から、同社は、EUV numerical aperture(NA)を現状の0.33から0.55に高める装置を顧客に提示する計画の旨。該新装置により、半導体メーカーが少なくともさらに10年は現状のthreshold、2-nmよりかなり先のプロセスnodesに到達するものと考える旨。

もう1件、米国の制裁下にある中国・Huaweiの事業多角化の取り組みがあらわされている。

◇Huawei diversifies business with new focus on ports, data centres, highways, solar industry amid stifling US sanctions -Huawei forms 4 business units in effort to diversify (10月12日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→1.米国の制裁による依然制約されているHuawei Technologiesが、以下に重点化する新しい事業部門を設立の旨。
  データセンターエネルギー消費
  digital transformation(DX) for customs and ports
  highwaysおよびphotovoltaic solar cellsに向けたsmart技術
 次の4つの事業ユニット:
  new customs and ports unit
  data centre energy efficiency unit
  smart photovoltaic unit
  smart highway unit
 新しい売上げ源を求めて、スマートフォンおよびテレコムネットワークスから事業ラインを多角化する試みの旨。
 2.*Huaweiが米国の貿易制裁で苦境、operations多角化立ち上げに向けて4つの新しい事業部門を設立の旨。
  *売上げ源を拡大する最新の戦術的な動きとなる一方、スマートフォンおよびテレコムcarrier装置市場に依然関わっていく旨。

【DRAM価格関連】

8月くらいからの下げが取り沙汰されているDRAM価格であるが、裏づけるような動き&内容を取り出している。downcycleが待ち構えるのかどうか、関連の推移に引き続き注目するところである。

◇Correction stage looming for chip sector: Nanya-SHORT-LASTING: Despite conditions pointing toward a slowdown, chipmakers are suggesting that small profits are possible in a ‘chilly season’ next year (10月9日付け Taipei Times)
→Nanya Technology社(南亞科技)が昨日、同社のnet利益が前年同期比約4倍となった活況の第三四半期の後、メモリ半導体業界が来年はじめまで穏やかな調整期間に進んでいく旨。

◇DRAM、大口1割安、パソコン用、在宅勤務需要が一巡 (10月9日付け 日経)
→DRAM価格が一段と下落、パソコン向けの9月の大口取引価格は指標品が8月に比べて1割ほど安く、2カ月連続の値下がりとなった旨。在宅勤務によるパソコン(PC)需要の一巡などで需給バランスが緩んでいる旨。
指標となるDDR4型の8ギガビット品は、9月の大口取引価格が1個3.5ドル前後。8月に比べ10%ほど安い旨。

◇PCs decline in U.S. first time during pandemic due to (you know what) (10月11日付け FierceElectronics)
→IDC発。コンポーネントの不足および物流問題が、desktops, laptopsおよびworkstationsに引き続きインパクト、米国市場で第三四半期にpandemicが始まって以降初めて減少が見られている旨。米国で第三四半期のtraditional PC出荷が前年同期比7.5%減、と速報値にて、とIDC spokesmanがFierce Electronicsに対し。

◇DRAM bit demand growth to decelerate in 2022-Sources: DRAM demand to slow in 2022, dip from 2021 (10月13日付け DIGITIMES)
→業界筋発。DRAMのビット需要が2022年に15%を越えて増大の見込み、しかしその伸びは今年に比べてあまり大きくはない旨。

◇DRAM downcycle ahead: TrendForce (10月13日付け Taipei Times)
→TrendForce社(集邦科技)発。グローバルDRAM業界が来年、新たなdowncycleに入る見込み、半導体価格が供給過剰の中、年間15 to 20%下がる様相の旨。

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