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半導体製造fab増強を巡る各社の慌ただしい動き:M&Aの噂、拠点展開

新型コロナウイルスによる累計感染者数は土曜24日午前時点、世界全体で1億9294万人を超え、1週間前から約361万人増と約14万人の増加である。デルタ型の感染拡大の中、対策最優先に東京五輪が開幕している。半導体の世界的な不足の渦中、自国内の半導体製造強化を図る動きが進められているが、各社国内外のfab拠点の増強の動きも相次いでいる。インテルによる買収の噂報道を、GlobalFoundriesは何もないと一蹴、米国New York州はじめ世界各地のfab拡大計画を打ち上げている。TSMCは日本での工場建設の検討をさらに明らかにし、Samsungも米国での新工場の検討を進めている。米国では、件の関連法案の残る下院通過を求める広範な業界の働きかけである。

≪引き続く半導体製造を巡る動き&駆け引き≫

インテルによるGlobalFoundries買収の話し合いの1件は、次の記事が発端となっている。

◇Intel Is in Talks to Buy GlobalFoundries for About $30 Billion-Intel reportedly negotiating to buy GlobalFoundries for $30B -Move comes as Intel is launching a major push to become a chip manufacturer for others (7月15日付け The Wall Street Journal)

これを受けた反応、波紋が、以下の通り続いている。

◇Intel eyeing acquisition of GlobalFoundries: WSJ (7月16日付け FierceElectronics)
→Wall Street Journal発。Intelが、GlobalFoundries(New York)の約$30 billionでのAbu Dhabi投資ファンドからの買収を図っており、引き続き半導体製造capabilitiesを強化する狙いの旨。Intelは該報道にはコメントせず、GlobalFoundriesはWSJにIntelと話し合いにはないとしているが、該報道は取引の話はAbu Dhabi政府に直接つながるGlobalFoundriesの現在のowner, Mudabala Investment Co.と直接に行われている可能性と特に言及の旨。

◇The pros and cons of a rumored Intel-GlobalFoundries deal (7月16日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intel社とGlobalFoundriesの間のmega dealの噂に対して、金曜16日、Wall Streetおよびアナリストからさまざまな反応。この噂が本当なら、Intelには直ちにファウンドリー運営ノウハウおよび追加拠点が得られるが、重大なときでの気の散ることにもなる可能性の旨。

◇Is GF a good buy for Intel? (7月16日付け DIGITIMES)
→Intelが、$30 billionの評価規模の買収に向けてGlobalfoundriesに注目の旨。該買収は良い買い物で、今年始めに披露されたIntelのIDM 2.0戦略に従うものか?

◇Behind The Intel-GlobalFoundries Rumor-Analysis: Why this deal suddenly makes a whole lot of sense. (7月19日付け Semiconductor Engineering)
→IntelがGlobalFoundries買収を図っているというWall Street Journalの報道が、業界にわたって議論に火をつけている旨。しかしこれがまさしく意味するもの、そして数年前に対してなぜ今か、前後関係を要する旨。

◇Intel's foundry ambitions could be slowed by lack of deal targets-Can Intel prosper in the foundry business? (7月21日付け Reuters)
→Intelのファウンドリー部門が同社方向転換を助けるか、あるいはファブレス半導体会社を見い出して支えるのに行き詰るか、探る分析記事。「Samsungがファウンドリー事業を構築するのに10年かかった。」と、VLSI ResearchのCEO、Dan Hutcheson氏。

◇IFTLE 492: Will Intel Acquire GlobalFoundries? Intel/IBM R&D Partnership (7月21日付け 3D InCites:Dr. Phil Garrou氏ブログ)

ところが、当のGlobalFoundriesのCEO、Thomas Caulfield氏から真っ向にこの報道を打ち消す反応である。来年にIPOを行う計画、そして世界的fab拡張プログラムを披露、以下にも続いて示す通りである。

◇GlobalFoundries CEO: 'Nothing' to Intel reports (7月20日付け FierceElectronics)
→GlobalFoundriesのCEO、Thomas Caulfield氏が月曜19日遅く2つの異なるテレビ放送インタビューで、Intelが同社を買収しようとしているという報道の誤りを明らかにした旨。
Caulfield氏はCNBCに対し、IntelがGFを約$30 billionで買収する話し合いにあるという報道について聞かれて、「そんな話何もない」としている旨。
The Wall Street JournalがIntelの関心を報じた最初であった旨。
Caulfield氏はまた、Bloomberg TVに対し、GFは来年のいつかになりそうな計画しているIPO、そして世界的fab拡張プログラムの継続に専ら重点化、としている旨。
該拡張プログラムの最新段階が今週発表され、GFが現状のfabの拡張および半導体製造capacity倍増に向けたMalta, New York campusでの新しいfabの建設を披露の旨。

◇GlobalFoundries CEO Downplays Intel Takeover Report, Restates IPO Plan-GF CEO: We're heading to an IPO, not an Intel acquisition (7月20日付け CRN (US))
→GlobalFoundriesのCEO、Tom Caulfield氏が、Intelが同社を買収する可能性のニュース報道に反応、「その話し合いはまったくのうそである」旨。Advanced Micro Devices(AMD)スピンオフの同社は、2022年initial public offering(IPO)を依然計画、と断言するCaulfield氏。

◇Ignoring Intel Rumors, GlobalFoundries Will Do $1-billion Expansion-Plus the foundry will build a new fab in New York state (7月20日付け IEEE Spectrum)

そして、インテルからはファウンドリー事業顧客対応についてCEO、Pat Gelsinger氏の以下の弁である。

◇Intel CEO: We're talking to 100 potential customers for manufacturing services (7月22日付け VentureBeat)
→IntelのCEO、Pat Gelsinger氏が、同社の工場を用いて他社向けに半導体をつくるIntel Foundry Services(IFS)に向けて100の見込みある顧客に問いかけている旨。

GlobalFoundriesの世界的fab拡張プログラムについて、その中身関連が以下の通りあらわされている。

◇GlobalFoundries set to announce NY fab expansion as Intel buyout reports swirl (7月18日付け FierceElectronics)
→Intelの報道されているGlobalFoundries買収への関心は、Malta-NewYorkのGlobalFoundriesが複数の大陸でのファウンドリーcapabilitiesを拡大するmulti-billion-dollarプログラムに乗り出すことから出ている旨。

◇GlobalFoundries unveils plan to double NY fab capacity (7月19日付け FierceElectronics)
→予想通り、GlobalFoundriesが月曜19日、New York州北部にある最先端製造拠点の全面的な拡張計画を正式発表、該拠点の全体製造capacity倍増に向けて同じcampus上で新しいfabを建設するより長期の計画とともに、現状のFab 8拠点に直ちにウェーハを追加する$1 billion投資などの旨。

◇GlobalFoundries to build New York factory, boost chip output-GF to add N.Y. wafer fab, expand production (7月19日付け Reuters)
→GlobalFoundriesが、Malta, N.Y.の本社にて2つ目のウェーハfab拠点を建てる計画、microchip生産拡大に向けて$1 billionを充てる旨。同社はまた、$1 billionの資金を注入、Dresden, Germanyのfabを拡大、およびシンガポールでの新しいfabに$4 billionを充て、自動車製造などの応用向け重要コンポーネントの世界的不足の救済を支える旨。

◇GlobalFoundries touts U.S. chip manufacturing for supply chain and national security reasons (7月19日付け VentureBeat)

◇GlobalFoundries to build second chip fab next to NY HQ-And increase output of Fab 8 plant by 150,000 wafers per year (7月19日付け The Register (UK))

◇GlobalFoundries Plans to Build New Fab in Upstate New York in Private-Public Partnership to Support U.S. Semiconductor Manufacturing (7月20日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

一方、TSMCからは、南京での量産、新竹での新工場の備え、そして日本での新工場の検討のその後である。

◇TSMC says Nanjing wafer fab expansion plans on track as second quarter revenue surges 28 per cent (7月15日付け South China Morning Post)
→南京(Nanjing)での28-nmウェーハ量産開始は2022年後半、2023年半ばまでに40,000枚/月に達する、とTSMC。南京とは別に、同社は、Arizonaでの新しい工場が進んでおり、日本でも新しいfab建設に向けた話し合いにある、としている旨。

◇Proposed TSMC factory site passes preliminary environmental review -Taiwan regulators approve expansion of a TSMC wafer fab (7月16日付け Focus Taiwan)
→新しいTSMCの工場を受け入れるHsinchu Science Parkの拡張提案が金曜16日、Environmental Protection Administration(EPA)から予備承認を獲得、こんどはEPAのtop review committeeに送られる旨。

◇TSMC、2023年にも日本で半導体生産、ソニー向け想定 (7月21日付け 日経 電子版 22:15)
→半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が、2023年にも日本で半導体生産を始める方向で最終調整に入ったことが21日、わかった旨。ソニーグループのイメージセンサー向けを主に生産する見通しとの旨。同社は熊本県で半導体工場の建設を検討しており、複数の関係者によると9月までに取締役会で正式に決めるのを目指して具体的な計画を詰めている旨。

◇Taiwan's TSMC could complete Japan fab by 2023-Sources: TSMC's Japan fab could be up and running by 2023 -Construction of facility in Kumamoto expected to proceed in two phases (7月22日付け Taiwan News)
→TSMCが日本に建設する最初の半導体拠点が、2023年までに立ち上がって稼働する見込みの旨。 Nikkeiに語った筋によると、熊本での該fab計画は2段階で進む旨。TSMCの役員会が、今四半期の間に該日本拡張の最終決定を行う期待の旨。

英国の半導体工場の中国傘下、Nexperiaへの売却の件、政府出資を終わらせるなど、以下の状況が見られている。

◇British ministers cut off funding to chip factory after sale to China -Telegraph-UK ends funding to Wales wafer fab after China sale: report (7月20日付け Reuters)
→The Telegraph紙発。英国Research and Investmentが、Newport Wafer Fabに対し同社のNexperiaへの売却を受けて助成を終わらせる旨。
Nexperiaは中国権益が所有、英国政府は国家セキュリティに密接な関係がある半導体技術に懸念を抱いている旨。

◇The UK chip plant that's being sold to a Chinese-owned firm has over a dozen contracts with the British government (7月20日付け CNBC)
→*中国所有のNexperiaに売却されているWalesの半導体工場、Newport Wafer Fab(NWF)は、十数を越える英国政府リサーチ契約がある旨。
 *該契約は、英国政府のinnovation agency、Innovate UKが大方出資、約£55 million($75 million)にのぼるいろいろな助成方式を通して、とある筋がCNBCに対し。
 *NWF防衛契約の1つは、ジェット戦闘機で用いられるレーダーシステム向けの半導体技術の開発関連の旨。

Samsungについては、米国の新工場の検討状況である。

◇Samsung details possible locations for US chip fab-Samsung looks at possible fab sites in Ariz., N.Y., Texas (7月19日付け Mobile World Live (U.K.))
→Samsungが、新しい半導体fab工場の検討に向けた米国の場所についての情報をリリース、米国にさらに多くの半導体製造jobsおよびリサーチをもたらす$17 billionプロジェクト起工の備えの旨。同社は、現状の製造工場が立地するArizona, New YorkおよびTexasにおいて評価を行っている、としている旨。

米国・SIAがまとめ役、自動車はじめ広範な業界連合が、米国議会に半導体などへの連邦出資の法制化を手紙で督促している。上院は通過したが、下院がまだということでの煽りである。

◇Coalition of Tech, Auto, Medical, Defense, Other Business and Labor Groups Calls on Congress to Invest in Domestic Semiconductor Manufacturing, Research, Design (7月22日付け SIA Latest News)
→Semiconductor Industry Association(SIA)が、19のハイテク、自動車、医療、防衛などの事業および労働グループの広範な連合とともに本日、“Creating Helpful Incentives for the Production of Semiconductors”(CHIPS) for America Actにおいて認定された半導体製造、リサーチ、および設計initiativesへの出資の施行を手紙で議会に督促の旨。上院は6月8日、米国Innovation and Competition Act(USICA)の一環としてCHIPSへの出資$52 billionを承認したが、下院がまだ承認していない旨。該連合の手紙はまた、米国での半導体製造拠点の構築&最新先端化に向けてFacilitating American-Built Semiconductors(FABS) Actで与えられている投資税額控除の施行をWashingtonの指導者たちに求めている旨。

◇Industry, Unions Urge Congress to Speed Semiconductor Bills-Trade groups, unions call for Congress to pass chip bills (7月22日付け Bloomberg)
→業界leadersおよび組合workersが、米国における半導体製造の強化促進に向けた法制化の完了&通過を議会に急がせている旨。「半導体リサーチ、設計、および製造における米国の位置づけ強化は、国家の優先事項である。」と、Semiconductor Industry Association(SIA)がまとめた手紙にて。

◇Chip, auto groups urge Congress to get moving on CHIPS Act (7月22日付け FierceElectronics)

◇Coalition Calls on Congress to Invest in Domestic Semiconductor Manufacturing, Research, Design (7月23日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

各国の半導体自給自足の取り組みの実現は困難、とのTSMCの創業者、Morris Chang氏によるコメントの取り上げが、以下の通り続いている。

◇At APEC, TSMC founder attacks efforts to 'on-shore' chip supply chains (7月16日付け Reuters)

◇TSMC Founder Warns Semiconductor Plans Could Fail (7月19日付け Silicon)

◇TSMC founder attacks US/China onshoring efforts-TSMC founder Chang criticizes China, US for fostering fabs (7月19日付け New Electronics)
→TSMCのfounderで長きにわたるleader、Morris Chang氏が、より多くの国内ウェーハfab拠点を開発する中国および米国における動きを批判、世界最大のシリコンファウンドリー、TSMCのビジネスを減らす可能性の動きの旨。
「起こりそうなのは、hundreds of billionsおよび多くの年月を費やす後の結果として依然まったく自己充足といかない高コストのsupply chainとなるだろう。」と、APEC trade groupへの基調講演でChang氏。

◇Morris Chang speaks out against on-shoring IC manufacturing (7月19日付け Electronics Weekly (UK))

中国については、最先端半導体製造に必要なオランダ・ASMLのextreme ultraviolet(EUV) lithographyシステムの販売を米国が圧力をかけて止めている状況がある。

◇China Wants a Chip Machine From the Dutch. The U.S. Said No.-US blocks China from acquiring EUV lithography tech -Biden administration, continuing a Trump policy, seeks to stop ASML from selling China machines crucial to advanced microprocessors (7月17日付け The Wall Street Journal)
→中国の半導体メーカーがASML Holdingからのextreme ultraviolet(EUV) lithographyシステムの購入を欲しているが、米国政府からの圧力を受けてオランダが、Intel, Samsung ElectronicsおよびTSMCなどが最先端半導体、特に先端microprocessors(MPUs)をつくるのに用いている該$150 million machinesに必要な輸出ライセンスを拒否の旨。

引き続き、推移に目が離せないところである。


コロナ対応のなかなか収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□7月20日(火)

大幅な下げから始まったが、その後は上げ調子、業績期待が感染警戒を上回って、初の3万5000ドル台と最高値で締めた今週の米国株式市場ダウ工業株30種平均である。

◇NYダウ725ドル安、9カ月ぶり下落幅、感染拡大を警戒 (日経 電子版 05:31)
→19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅続落し、先週末比725ドル(2.09%)安の3万3962ドルで引けた旨。下落幅は約9カ月ぶりの大きさ。新型コロナウイルスの感染が再び拡大していることへの警戒から売りが強まった旨。景気回復の勢いが今後鈍るとの懸念も広がっており、米長期金利は大きく低下した旨。

□7月21日(水)

◇NYダウ大幅反発、549ドル高、前日の反動で幅広く買い (日経 電子版 05:30)
→20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前日比549ドル95セント(1.6%)高の3万4511ドル99セントで終えた旨。前日に700ドル超と今年最大の下落幅となった反動で、短期的な戻りを期待した買いが景気敏感株を中心に幅広く入った旨。

米国でもデルタ型感染拡大への警戒が高まっている。

◇米コロナ感染、デルタ型8割強に、マスク呼びかけ広がる (日経 電子版 07:07)
→米国で新型コロナウイルスのなかでもとりわけ感染力の強いインド型(デルタ型)への警戒感が強まっている旨。米疾病対策センター(CDC)によると、新規感染に占めるデルタ型の割合は8割を超えた旨。大半の州で感染は拡大傾向にあり、一時はコロナワクチンの接種の普及を受けて解除されたマスクの着用を再び呼びかける動きも各地で相次いでいる旨。

我が国の輸出、この上半期、コロナ前の2019年を上回っている。

◇1〜6月輸出、前年同期比23.2%増、コロナ前水準回復 (日経 電子版 10:33)
→財務省が21日発表した2021年上期(1〜6月)の貿易統計速報によると、輸出は前年同期比23.2%増の39兆8572億円だった旨。新型コロナウイルスの感染が拡大する前の2019年上期の水準を上回った旨。伸び率は11年ぶりの大きさ。経済回復で先行する米国や中国向けが堅調で、特に自動車の輸出が増えた旨。
輸入は同12.2%増の38兆8722億円。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は9849億円の黒字だった旨。

□7月22日(木)

◇NYダウ続伸286ドル高、金利低下一服、景気敏感株に買い (日経 電子版 05:41)
→21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比286ドル01セント(0.8%)高の3万4798ドル00セントで終えた旨。米長期金利の低下一服を受けて景気敏感株が買い直された旨。好決算を発表した銘柄が買われたのも相場を押し上げた旨。

□7月23日(金)

◇NYダウ続伸、25ドル高、決算期待でハイテク株に買い (日経 電子版 05:31)
→22日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に3日続伸、前日比25ドル35セント(0.1%)高の3万4823ドル35セントで終えた旨。前日まで上昇が続いた景気敏感株を中心に利益確定売りが先行したが、来週に決算発表が相次ぐ主力ハイテク株に業績期待の買いが入り、相場を押し上げた旨。長期金利の低下も、高PER(株価収益率)銘柄が多いハイテク株の追い風だった旨。

東南アジアでのコロナ急拡大、デルタ型蔓延が危惧されている。

◇東南アジアでコロナ急拡大、感染者・死者の最多相次ぐ (日経 電子版 06:46)
→東南アジアで新型コロナウイルスの感染拡大が続いている旨。感染力の強いインド型(デルタ型)がまん延しているためで、新規感染者数や死者数の最多更新が相次いでいる旨。ワクチン接種が感染者数の抑制に効果を発揮するにはなお時間がかかる見通しで、経済への打撃も日増しに深刻になっている旨。

□7月24日(土)

コロナ禍を対策前面で乗り切りを図る東京オリンピックが始まっている。

◇東京五輪が開幕、無観客で開会式、コロナ対策前面に (日経 電子版 05:28)
→第32回夏季オリンピック東京大会が23日夜、開幕、国立競技場(東京・新宿)での開会式は新型コロナウイルスの影響で近代五輪史上、初めて無観客で行われた旨。開催都市・東京は緊急事態宣言下にある旨。異例の祭典は感染拡大を防ぎながらの安全な開催が最大の課題で、8月8日までの期間中、対策の不断の見直しが求められる旨。

◇NYダウ最高値、初の3万5000ドル台、企業業績に期待 (日経 電子版 05:41)
→23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、終値で初めて3万5000ドル台を付けた旨。米企業収益の拡大期待が強まる中で、潤沢なマネーが金融市場に向かう構図が続いている旨。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大で景気への懸念もある旨。19日には株価が急落しており不安定な値動きが続いている旨。


≪市場実態PickUp≫

【Nvidia関連】

Game Developers ConferenceでのNvidiaの打ち上げである。

◇Nvidia brings ray tracing and DLSS to ARM-powered PCs - are cheaper gaming laptops coming?-Nvidia adds ray tracing and DLSS tech to Arm-based PCs -MediaTek ARM SoC plus RTX 3060 shown running Wolfenstein : Youngblood with ray tracing (7月19日付け TechRadar)
→NvidiaがGame Developers Conference(2021年7月19-23日:virtual)にて、RTX 3060グラフィックスカードとともに動作するMediaTek Kompanio 1200 Arm-ベースmicrochipを披露、gaming PCsにおいてDLSS(Deep Learning Super Sampling)技術およびray tracingを可能にする旨。該デモは、"Wolfenstein: Youngblood"ビデオゲームに関係の旨。

◇NVIDIA shows 'Wolfenstein: Youngblood' with RTX ray-tracing on ARM-It ran DLSS and ray-traced reflections with a MediaTek CPU and RTX 3060 GPU. (7月19日付け Engadget)

これも注目、AIソフトウェア第8世代、TensorRT 8が打ち上げられている。
世界最高性能の検索エンジンを構築可能としている。

◇Nvidia releases Tensor RT 8, with better performance, accuracy (7月20日付け FierceElectronics)
→Nvidiaが、高性能deep learning(DL)推論に向けたTensor RTソフトウェア開発kitのVersion 8をリリース、edgeおよびembeddedシステムで生じているAI推論の量増大に向けて性能および精度を高める強化が施されている旨。

◇NVIDIA Inference Breakthrough Makes Conversational AI Smarter, More Interactive From Cloud to Edge (7月20日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→NVIDIAが、同社のAIソフトウェア第8世代、TensorRT 8を打ち上げ、言語照会推論時間を半分に削減、世界最高性能の検索エンジンを構築できる旨。

【長期的転換計画】

各国、各社、カーボンゼロの取り組みが打ち上げられているが、韓国・SK Innovationの取り組みである。

◇Refiner SK Innovation to become completely carbon zero by 2050-SK Innovation sets 2050 goal for being carbon-free (7月20日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→電池技術も開発する精製所、SK Innovationが、2030年までに再生可能エネルギー源のみを使用、2050年carbon-zeroロードマップ終了を追及する旨。

メルセデス・ベンツが、EV専業化を宣言している。

◇メルセデス、2030年にもEV専業に、電池工場などに5.2兆円 (7月23日付け 日経)
→独自動車大手ダイムラーの高級車事業会社、メルセデス・ベンツは22日、販売する新車を2030年にもすべて電気自動車(EV)にすると発表、8つの電池セル工場を新設するなど、2030年までに400億ユーロ(約5兆2千億円)をEVに投資する旨。

【業績関連】

半導体、IT関連、好調な業績となっているが、まずは、IBMの4〜6月期決算から。

◇IBM boosts revenue; CEO hypes quantum computing (7月20日付け FierceElectronics)
→IBMの2021年第二四半期売上げが、前年同期比約3%増の$18.7 billion。IBMのCEO、Arvind Krishna氏は、この伸びの大方はビジネス活動および一般経済のpost-pandemicの戻しによるとしている旨。同社のGlobal Business Services consulting事業が売上げの増加に大きく貢献、11%を上回った一方、IBMのシステム関連売上げは約7%減、そしてGlobal Technology Services分野は僅かな売上げ増であった旨。

◇米IBM、3%増収、4〜6月 (7月21日付け 日経)
→米IBMが19日発表した2021年4〜6月期決算は、売上高が前年同期比3%増の$18.7 billion(約2兆500億円)。複数の事業部門にまたがるクラウド関連の売上高が13%増え、2四半期連続の増収だった旨。人員削減やサービス部門の事業分割に伴う一時的なコスト増などで、純利益は3%減の$1.3 billion。売上高と、特別項目を除く1株利益はともに市場予想を上回った旨。

Texas Instruments(TI)およびインテルのそれぞれの業績、そして両社の先行き分かれる見方があらわされている。

◇Texas Instruments reports Q2 revenue beat, outlook in line, shares sag-TI beats Q2 revenue estimates, outlook remains in line -TI reported double-digit analog and embedded chips sales growth in the quarter. (7月21日付け ZDNet)
→半導体に向けた数多くの市場に販売しているTexas Instruments(TI)が本日午後、第二四半期売上げおよび利益ともにWall Streetの予想を上回る一方、売上げ見通しは該consensusに沿っている旨。該発表で、TIの株価が遅い取引で約4%下がった旨。

◇TI sees revenue jump as it preps long-term fab growth (7月22日付け FierceElectronics)
→Texas Instruments(TI)の第二四半期売上げが、産業、車載およびpersonal electronicsの力強い需要から前年同期比41%増の$4.58 billion。

◇Intel beat Wall Street's expectations in Q2 and boosted its full-year guidance (7月22日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intelが木曜22日、予想を上回る第二四半期業績、車載事業部門、MobileyeおよびPC事業について第二四半期最高売上げを記録の旨。

◇Intel, TI split leaves chip outlook in doubt-TI, Intel: A tale of two chipmakers (7月23日付け Reuters)
→Intelが力強い四半期業績、2021年full-year予想を上方修正、一方、Texas Instruments(TI)は今四半期は横這い、としている旨。IntelのCEO、Pat Gelsinger氏はアナリストに対し、microchipsの世界的不足は2023年まで続く可能性の旨。

extreme ultraviolet(EUV) lithographyシステムを独占的に引っ張るオランダ・ASMLの好調ぶりである。

◇ASMLの今期、売上高上方修正、35%増、半導体装置好調 (7月22日付け 日経)
→半導体露光装置の世界最大手、オランダのASMLは21日、2021年12月期の売上高が前期比35%増える見通しだと発表、従来予想は30%増だった旨。世界的な半導体不足で半導体メーカーが生産能力増強に動いており需要が旺盛。同日発表した2021年4〜6月期の売上高は前年同期比21%増の40億2000万ユーロ(約5200億円)だった旨。

【価格動向関連】

不足で上げ調子の半導体価格が、スマホにも上げのインパクトである。

◇Chip Shortage Reaches Smartphone Makers -Chip shortage sends phone prices up, delays shipments -Shipments are slowing and prices are rising as companies hunt for parts; supply-chain wait times enter the danger zone (7月19日付け The Wall Street Journal)
→グローバルな半導体の不足で、スマートフォン価格が上昇、出荷が鈍化し、Apple以外のメーカー大多数が問題に遭っている旨。Strategy Analyticsは、4月から6月の間で価格がグローバルに平均5%上昇、としている旨。

ABF基板、MCUそしてDDR3メモリと、それぞれ当面の価格上昇があらわされている。

◇ABF substrate prices poised to rise further in 2H21-Sources: ABF substrate prices to go higher Q3, Q4 (7月19日付け DIGITIMES)
→業界筋発。ABF(味の素ビルドアップフィルム)基板価格が今年後半、四半期ごと上がる様相、該基板需要が引き続き新しいcapacity供給を上回る旨。

◇MCU prices to rise through year-end-Sources: Microcontroller prices to keep rising in 2021 (7月21日付け DIGITIMES)
→業界筋発。MCU価格が、マレーシア国中のロックダウンのインパクトおよび中国のファウンドリーからのサポート削減から、2021年末まで上がっていく旨。

◇DDR3 prices to continue double-digit growth-Sources: DDR3 supplies tight; prices rising (7月22日付け DIGITIMES)
→業界筋発。ニッチ市場のDDR3メモリ価格が、主に供給側の制約から、2021年第三および第四四半期に引き続き2桁の上昇となる旨。

【M&A関連】

コロナ禍、オンラインmeetingですっかり馴染みのZoomが、同社にとって最大のM&Aを次の通り行っている。

◇Zoom acquires Five9 in $14.7 billion deal (7月18日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Five9(San Ramon)の買収は、Zoomにとって最大の取引の旨。

◇Zoom buys Five9 in $14.7 billion deal to prepare for a post-pandemic world-Zoom acquires software provider Five9 for $14.7B (7月19日付け CNN)

◇Zoom、コールセンター市場参入、1.6兆円で米社を買収 (7月19日付け 日経 電子版 12:48)
→ビデオ会議システムの米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは18日、コールセンター向けのクラウドサービスを手掛ける米ファイブ9を買収すると発表、株式交換による買収額は147億ドル(約1兆6000億円)相当。ズームにとって過去最大のM&A(合併・買収)となる旨。

新分野、自動運転の目の役割を果たす「LiDAR(Light Detection And Ranging)」を開発する米国・Luminar TechnologiesによるM&Aである。

◇Luminar buys one of its chip suppliers to bolster self-driving car sensor-Luminar agrees to acquire OptoGration for lidar chips (7月19日付け Reuters)
→自動運転車用lidarセンサのメーカー、Luminar Technologies社(Orlando, FL)が月曜19日、該センサの重要部品をつくる小さな半導体メーカーを買収の旨。


≪グローバル雑学王−681≫

世界中が基本遵守の対応を余儀なくされているコロナ禍であるが、それ以後の時代をどう見るか。グローバルにあちこち行き来した、ついこの前の世界の先にある今後について、

『つながり過ぎた世界の先に』
 (マルクス・ガブリエル 著:PHP新書 1251) …2021年3月30日 第一版第一刷

より考えていく。「国と国のつながり」の3回目、ソーシャルメディアが覆う今、アメリカのソフトパワーは弱ってきているとの見方。EUは、ソフトパワー戦略を展開、倫理を尊重することで主導権を握ろうとしており、著者も賛同している。1つとして、フランスは、元々のいくつかの大学と協力、「パリ・サクレー(Paris-Saclay)」という世界トップクラスの大学が突然出現している。そして、今秋引退を表明している著者の地元、ドイツのメルケル首相について、倫理的で尊敬に値との評価である。2005年にドイツ史上初の女性首相として就任、難民危機、ユーロ危機、そしてコロナ危機と、倫理的に正しい決断を行って乗り越えてきている、としている。コロナ禍の後、EUが世界の主導権でプレゼンスを高めていくか、そして今後のドイツ政治の方向性に注目である。


第II章 国と国のつながり

5 EUが進めるべきソフトパワー戦略

◇今のEUはアメリカを擬態している
・EU自体は、世界の倫理的なリーダーのように振る舞っているよう
 →「ヨーロッパが近年行っているのは、ヨーロッパのように見せかける擬態」
  ※擬態…生物が攻撃や自衛などのために、体の色や形などを、周囲の植物・動物などに似せてカモフラージュすること
・その擬態もCOVID-19の影響で大きく変わってしまった
 →ヨーロッパは世界がアメリカに期待していた役割、つまり倫理的リーダーの役割を果たしている
 →ヨーロッパの地政学的戦略の1つ、世界の主導権をアメリカから引き継ごうとしている
・ヨーロッパは倫理を尊重することで主導権を握ることを考えているよう
 →私もそうすべきだと思う
・かつて、マルクス主義、国家社会主義を生み出したのはドイツ
 →今日のドイツは良いアイディアを提供できるのではないか

◇最も望ましいソフトパワー戦略とは
・長年アメリカのソフトパワーは映画などの文化、その後ネットフリックスに、そして今はソーシャルメディアだけに
 →ソーシャルメディアはステレオタイプ思考を招くので、退行的
・アメリカのソフトパワーが効果的だったのは、かつてアメリカ製品が素晴らしかったから
 →製品の質が良かったため、アメリカのソフトパワーが人の心を支配できた
・しかし現在アメリカは、ソーシャルメディアやサーチエンジンによる侵略的な監視システムによって人の精神を支配しようとしている
 →アメリカのソフトパワーは弱ってきている
・今一番良い地政学的戦略は何かというと、同盟国を作ること
 →EUは今、環境に配慮し、内省し、礼儀正しい国になろうとしている
 →擬態の次の段階、つまりEUが過去のアメリカの擬態になることかも

◇突如、フランスに世界トップクラスの大学が出現した
・マクロン仏大統領が、いくつかの大学と協力、「パリ・サクレー(Paris-Saclay)」という新しい大学を設立
 →元々の大学にいた人たちが作り、突然フランスはトップ大学を有することに
 →授業料は無料、なんと倫理的なこと!、賢い計画
・ドイツも、これから同様にソフトパワー戦略を用いることだろう
 →ヨーロッパが突然魅力的に見えてくる
・日本の伝統的ソフトパワーはまだ健在
 →例えばビデオゲーム
・パンデミック対策、ドイツは公式に、日本と同じ戦略をとるべきだと宣言
 →これは日本の大きなソフトパワー
・EUは多国間同盟だが、ドイツはその中で強大な力を握っている
 →ドイツに日本のウイルス対策を模倣すべきだと思わせた点、日本は強力なソフトパワーを持っているといえる

6 倫理的な政治家 アンゲラ・メルケル

◇メルケルはドイツ史上最高の首相かもしれない
・2021年に首相の座を下りる予定であるアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)
 →私が見るところ、メルケルは倫理的に正しいことをする代表的な人物
 →実際のところ、私は彼女の政策のほとんどを支持
・メルケルは数多くの決定的な瞬間において、倫理的に正しい決断を行ったと思う
 →難民危機、ユーロ危機、そしてコロナ危機
 →メルケルは倫理的・戦略的洞察に基づいて行動
 →数百年後の世界を念頭に置いて、遺産となるような持続可能なプロジェクトに取り組んでいる
・メルケルが首相に就任してから、ドイツは福島の原発事故への対応として、原子力の放棄を決断
 →人類は二度とこのような事故を経験すべきでないと言った
・私はメルケルは賢明な人物だと思っている
 →驚くべき知恵を具えており、政治家として尊敬に値する

◇最も素晴らしいと思ったのは、さらなる再選を望まなかったこと
・秀でた人というのは男女を問わず存在するもの、メルケルはそのうちの1人
 →当然、メルケルにも影の側面
  →権力にものをいわせて、これまで多くの人を政治的に抹殺
・彼女は2021年の総選挙に出馬しないとはっきり宣言
 →彼女の行動の中で最も素晴らしいと思ったのは、首相再選を望まなかったこと
・メルケルはコールと同じ期間首相をしているわけで、実に長い
 →2005年11月に首相に就任
 →ドイツ史上、威厳を持って退陣することを選んだ首相はこれまでいなかった
 →新風を吹き込んだ方が民主的だからという理由で退陣
・メルケルは信じられないほど高いIQを持つ、政治的天才と呼べる逸材
 →メルケルは明らかに政治的天才

【Column:哲学者と現代のつながり〈2〉】

カントとヘーゲルの人類への貢献
・カントとヘーゲルの知的遺産は、民主的な法の支配
 →自立した行為主体を認める法の支配
・カントの考え、法制度は、人の自由は他者の自由が始まるところで終わると規定するもの
 →複数の人間の主張の折り合いをつけるもの
 →一人ひとりの人間が超えられない境界線を引くもの
・カントはさらにこの考えに倫理を導入
 →良い法制度とは、倫理的洞察に制御され、人が法に自立した主体として関わることができる法制度
・真に進歩的な政治とは、倫理的な主張が法制化される政治のこと
 →権力と倫理の関係を確立したのがカントとヘーゲル

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